初質問
第204回国会 参議院 外交防衛委員会
第16号 令和3年6月3日
羽田次郎
立憲民主・社民の羽田次郎です。
本日は初質問の機会をいただきまして、長峯委員長始め、理事、委員各位、皆様に感謝申し上げます。
ありがとうございます。
不手際等あると思いますが、どうか初めての質問ということで御容赦いただき、しばらくお耳をお貸しいただければと思います。
まず、茂木大臣、昨夜のCOVAXワクチンサミット、大変遅い時間までお疲れさまでした。
本来であれば、こうした米国のハリス副大統領やビル・ゲイツ氏が出席されるような国際会議も日本にお客様をお招きし開催されるべきですが、いまだに感染拡大が収束していない世界の状況を考えれば致し方ないことと思います。
ただ、その状況下、東京オリンピック・パラリンピックはあくまでも開催されるということに疑問を抱かざるを得ません。
昨日も国内で百十三人、一昨日の数字ですが、世界では八千六百七十六人の死者が新型コロナウイルス感染症により落命しております。
そのお一人お一人が私の兄のような無念の思いのまま命を落とし、それぞれの御遺族が私と同じようにやり場のない悲しみに暮れているのだと思います。
兄の場合、十二月二十七日に急逝し、年をまたいで一月五日まで新型コロナ感染症専門の霊安室に隔離され、五日にだびに付された際も、斎場には誰も近寄ることすらできないまま、遺骨となって帰宅しました。
本人の無念もさることながら、遺族には受け入れられないほどの喪失感が残ります。
これ以上同じような思いを抱く人を増やしたくない、そのためにも国が一体となって抜本的な対策に取り組まねばなりません。
そして、ボトムビリオンと呼ばれる世界最貧層の十億人を始めとする困り切っている人々にも、具体的な救いの手を差し伸べる努力を日本は担わなければならないと私は考えております。
その意味でも、六月一日に政府が閣議決定したワクチン開発・生産体制強化戦略が実際に取り組まれれば国民の健康と安心につながりますし、外交上においても安全保障上においても重要なことだと高く評価しております。
ただ、昨年三月二十五日にはG7の外相会合で治療薬やワクチンの開発における官民の取組強化、国際協力について話し合われており、翌二十六日、当委員会においても、こちらにいらっしゃる白眞勲先生の質問に対して、官民の連携、多国間での共同開発や連携について茂木大臣が確認されております。
その日から一昨日の閣議決定まで一年以上も費やしてしまったのは他国に比べると時間が掛かり過ぎではないかとの思いが残りますが、国産ワクチンの開発と生産体制強化の取組を進めていただくのが肝要ですので、そこを私は問いただすつもりはございません。
さて、ここからが質問です。
一昨日閣議決定したワクチン開発・生産体制強化戦略において外務省はどのような役割を担っておられるのか、具体的なお話をお聞かせください。
お願いします。
国務大臣(茂木敏充君)
まず、羽田次郎先生のお兄様、羽田雄一郎先生、この国会でも御一緒させていただき、様々な議論をさせていただきました。
政党は違っておりましたが、本当に様々な政策について熱心に取り組み、また多くの方から慕われると。
改めて、お亡くなりになったことに対して心から哀悼の誠をささげたい、そのように考えているところであります。
ワクチンの国内での生産、外交をやっている立場としても、是非私も早く進めたいと思っております。
昨日のワクチンサミット、夜の八時から十時半近くぐらいまで掛かりまして、COVAXとして、途上国向け、大体途上国の人口の三〇%をカバーする、十八億回分を確保するための資金八十三億ドル、これが、四月の準備会合時点では十七億ドルの資金ギャップがあった、だんだん埋まってきまして、おかげさまで昨日のワクチンサミットにおきまして多くの国から拠出と、こういう表明がありまして、今年の目標としていた八十三億ドルを大きく上回ることができたわけでありますが、このワクチンについては、生産をする、このことも重要でありますが、COVAXのような形でそのワクチンを調達して、途上国を始めとする多くのワクチンを欲しがっている方々、求めている方々に分配をする。
さらには、各国に分配した後も、昨日も豊田通商の方にも会議に参加をしていただきましたが、最終的に国に届いてから接種現場まで届けると。
そうなりますと、保冷設備であったりとか冷凍用の、冷凍用のというか冷蔵の車、こういったものも必要でありまして、ラストワンマイル、こういった支援をしていくと、こういったことも重要になってまいりまして、今後、日本としても生産の部分でも協力をしていきたいと思っておりますが、このCOVAX始めとするワクチンの世界的な調達、分配、さらには各国での実際の接種に向けた運搬等々でも日本の担っている役割、極めて大きいと思いますし、また、それに対する期待も大きいと考えております。
今後、国内でワクチンを生産していく、こういうことになりますと、様々な形で既に先行している国々との間の知見であったりとか情報の共有ということも必要になってまいります。
また、例えば、ファイザーがビオンテックと連携をすると、こういったように、国際的な連携、こういったものも出てまいるわけでありまして、そういった点においても、外務省として、また政府としてしっかりした役割果たしていきたいと思いますし、さらには、緊急使用等々の問題につきましては、厚労省等とも連携して、WHO、こういった機関にも様々な形で情報提供しながら連携していくと、こういった取組が必要になってくると、こんなふうに考えております。
羽田次郎
大臣に御質問する通告をしていなかったのに、お答えをいただいたことに感謝申し上げます。
そして、兄に対する御弔意、そして御厚情に改めて感謝申し上げます。ありがとうございました。
ただいま、昨夜のCOVAXサミットについて大変詳しくお話をいただきまして、ありがとうございます。
昨夜のサミットでは、合計十億ドルの資金拠出に加えて三千万回分のワクチン現物提供の方針を表明されたということ、これは本当に国際的にも高く評価されると私も思っております。
ただ、使途が未定のワクチンはまだ報道によると九千万回分ぐらいは残っているということなので、もう少し現物提供を増やしてもよかったのではないかという思いが私には残ります。
ただ、今後とも是非、茂木大臣主導の下、国際貢献の努力をお願いできればと思います。
次に、国産ワクチンの開発状況について教えていただければと思います。
よろしくお願いします。
政府参考人(大坪寛子君)
国内でのワクチンの開発の状況でございますが、ただいまメッセンジャーRNAワクチン、またDNAワクチン、組換えたんぱく、不活化ワクチン、この四種類のタイプのワクチンが人での臨床試験に入っている段階でございます。
国産ワクチンにつきましては、厚生労働省といたしましても、これまで研究開発、生産体制の整備への補助、また企業の治験の実施、費用の補助などを行っておりまして、一日も早く国産でのワクチンの開発が実現化いたしますように努力してまいりたいと考えております。
羽田次郎
お答えありがとうございました。
それでは次に、現在の大規模接種センターでのオペレーションについて今どのような状況になっているか、教えていただければと思います。
政府参考人(椎葉茂樹君)
お答えさせていただきます。五月二十四日から、自衛隊が運営する大規模接種センターにおきましてワクチン接種を開始したところでございます。
昨日までに、東京大規模接種センターにおきましては約七万三千五百人、大阪大規模接種センターにおきましては約三万八千五百人に対しましてワクチン接種を実施しております。
また、先月三十一日から、東京大規模接種センターにおきましては接種能力の最大となる一万回の接種体制を、大阪におきましては同じく五千回の接種体制を確立しているところでございます。
これまで特に大きなトラブルは発生しておらず、両センターとも円滑に運営しております。
今後三か月の間、東西の自衛隊大規模接種センターにおきましては、現場でワクチン接種業務に当たる自衛官、民間看護師や契約役務職員が一体となって、引き続き、安全かつ効率的に一人でも多くの方にワクチンを接種できるよう全力で取り組んでまいります。
以上でございます。
羽田次郎
ありがとうございます。
やはり大規模接種センターでのオペレーションは統制が取れていて手際も良い印象ですし、さすが自衛隊は違うという印象を受けております。
アメリカ政府では、昨年五月に、先ほどお話ししたG7外相会合の僅か二か月後ですが、国防総省が保健福祉省と民間と組んで、オペレーション・ワープ・スピードという取組を始めました。ワクチンの開発、早期承認、調達、供給、接種まで、ワープスピードという名のとおり、大変なスピード感でワクチン接種まで進んでおります。
米国のケースのように、防衛省や厚生労働省などが中心となり、省庁横断で国内外での感染症対策に取り組むような計画があるか、若しくはどういうお考えか、済みません、もし、防衛大臣に一言お考えを、あればと思うんですが、いかがでしょう。
(発言する者あり)
じゃ、まず、お願いします。
政府参考人(佐原康之君)
お答えいたします。
新型コロナウイルス感染症対策におきましては、総理を本部長としまして全閣僚をメンバーとする対策本部を設け、政府一丸となって国民の命と健康を守るための対応に当たっております。
コロナ対策の全体の取りまとめは内閣官房でありますけれども、厚労省としては、医療を始めとする感染症対策を所管し、それを主導していく立場にあると考えております。
御指摘の厚労省と防衛省の連携につきましては、多方面で緊密に連携してきたところであります。
これまで、例えば、ダイヤモンド・プリンセス号における対応の中で自衛隊にクルーズ船内における医療支援や生活支援、また下船者に対する輸送支援を担っていただいたこと、また、沖縄や北海道など感染急拡大地域におけます自衛隊医療支援チームの災害派遣、また、今御質問ありました今般のワクチン大規模接種会場に対する協力などがあります。
こうした今般の新型コロナにおける対応を十分に検証した上で、今後、新たな感染症が発生した場合に備えた対応もしっかりと検討してまいりたいと考えております。
国務大臣(岸信夫君)
大規模接種センターの運営につきましては先ほど答弁したとおりでございますが、全体として大きなトラブルもなく、円滑に運営しているところでございます。
今後、一人でも多くの、まずは高齢者の方に一日でも早くワクチンを接種していただけるように全力で運営に当たってまいりたいと、こういうふうに思いますけれども、この大規模接種センターにおいては、自衛隊員、一方で民間の看護師の方、またサポーターの方、連携を取りながらやっております。
この連携というものもまさに不可欠なものであると、こういうふうに考えております。
また、大規模接種センターの運営に当たって、どうすればスムーズに運営できるか、こうした知見をしっかり蓄積をしているところでございますけれども、こうした知見については、国内外通じてしっかり必要な方に伝えてまいれればというふうに思っております。
羽田次郎
時間となりましたので、これで終わりにします。
ありがとうございました。