日米貿易協定等について
羽田次郎は外交防衛委員会で日米貿易協定等について質疑を行いました。
TPPにおいて米国は、日本が輸出する自動車および自動車部品の関税撤廃について同意していましたが、その後TPPから撤退してしまいました。自動車、自動車部品の関税撤廃については、米国と実質合意していますが、未だ関税撤廃の範囲を決める交渉さえ始まっていません。
林大臣によると、米国は、競争力を高める投資を行うまでは新たな協定を結ばないとのことです。
一方で、米国の牛肉の輸入数量が基準を超えると関税を一時的に引き上げるセーフガードについては、発動するための条件を厳しくする内容で日米が実質合意しています。
食料安全保障の観点からも、日本は食料自給率を上げていかなくてはなりません。
しかし、牛肉の生産、流通業者にとっては厳しい内容です。
米国は安全保障における重要なパートナーですが、譲歩ばかりでは国民の生活を守れません。
日本として果実を取れる交渉をすることを強く求めました。
羽田次郎
立憲民主・社民の羽田次郎です。
時間がございませんので、まず最初に、日本国とアメリカ合衆国との間の貿易協定を改正する議定書の締結について質問させていただきます。
自動車、自動車部品について、TPP協定においては米国側が関税撤廃を約束していたにもかかわらず、米国はTPPを離脱してしまいました。
そして、日米貿易協定に合意した際、自動車、自動車部品の関税撤廃に関して更に交渉するという、米側の附属書に示されていますが、二〇二〇年一月に協定が発効してから間もなく丸三年がたとうとしています。
実質的に米国の中間選挙も終わりましたので、そろそろ自動車、自動車部品関税の撤廃について具体的に進める時期ではないかと思いますが、外務大臣、いかがでしょうか。
林芳正 国務大臣
この二〇一九年九月の日米貿易協定交渉妥結の際の共同声明におきまして、今後の交渉については、どの分野で交渉するのか、まずその対象を日米間で協議するということになっております。
また、同共同声明に書かれております四か月以内に協議を終える意図というのは、四か月以内に交渉の結論を出すということではなくて、日米間でどの分野を交渉するかについての協議、これを終える目途を示したものでございます。
その協議が終わった後に日米間の交渉が行われると、こういうことになっております。
現状、この交渉の範囲を決めるための協議、これがまだ終わっていないわけでございます。
その背景といたしましては、米国でバイデン政権に交代してから通商政策の大幅な見直しが行われまして、米国内の競争力を高めるための投資を行うまでの間は新たな貿易協定は結ばない方針であると、こういうふうに理解をしておりますが、そうした中で、アメリカとしては、日米貿易協定に関しても今後の交渉に向けた日米協議をまとめられる段階に至っていないと、こういう事情があるわけでございます。
我々としては、引き続き、自動車分野を念頭に米側に協議の進展を求めてまいります。
交渉事であり、相手があることではありますけれども、今、羽田委員からの御指摘のありましたこの一九年九月の日米共同声明、これらを踏まえて、あらゆる機会を捉えながら米国政府としっかり協議を続けていきたいと思っております。
羽田次郎
是非、日本としてもその果実を取れるような交渉を今後とも御尽力いただければと思います。
次に、今月十日から十九日に行われました十六回目となる日米共同大規模統合演習、キーンソードについて、まず浜田防衛大臣にこの統合演習の成果や評価についてお伺いしたいと思います。
浜田靖一 国務大臣
自衛隊と米軍は、我が国を取り巻く安全保障環境が一層厳しさを増す中、今月十日から十九日までの間、グレーゾーンから武力攻撃事態等における一連の状況を想定した日米共同訓練として最大規模の令和四年度日米共同統合演習、いわゆるキーンソード23を実施をしました。
本演習を通じて、島嶼防衛などの作戦を実施する場合における自衛隊の運用要領及び日米共同対処要領を演練し、自衛隊の即応性及び日米の相互運用性の向上を図れたものと考えます。
防衛省・自衛隊としては、あらゆる事態に即応するための抑止力、対処力を強化するとともに、日米の強固な意思と連携を示すことで、我が国の防衛及び地域の平和と安全の確保に寄与してまいります。
以上です。
羽田次郎
ありがとうございます。
自衛隊と米軍の指揮命令系統について、それぞれ独立していると伺っておりますが、日米共同演習ですから、当然それぞれの部隊が連携されていると思います。
その際のコミュニケーションというのは、ちなみに何語で行われているんでしょうか。
安藤敦史 政府参考人
ちょっと申し訳ございません。通告がございませんでしたので、ちょっと今即答しかねるところでございます。
羽田次郎
コミュニケーション、日本語で行われているとは思えないので、きっと英語で行われているんじゃないかと思うんですが、いずれにしましても、自衛隊の持つ兵器の多くはアメリカ製ですし、有事には米国の、米軍の指揮下になることを想定しているというような話をされていたことを聞いたことがあります。
有事の際の実際の指揮命令系統というのはどういう形になるのでしょうか。
安藤敦史 政府参考人
お答え申し上げます。
自衛隊による全ての活動は、米軍との共同対処を含め、我が国の主体的な判断の下、日本国憲法、国内法令等に従って行われており、自衛隊及び米軍は、各々独立した指揮系統に従って行動しております。
自衛隊が米軍の指揮下に入ることは想定しておりません。
羽田次郎
一九五二年七月二十三日に吉田茂元首相とマーク・クラーク大将が行った会談について、本国の統合参謀本部に宛てて報告書を送っていることが米国の公文書で明らかになっていまして、有事の際、単一の司令官が不可欠で、現状ではその司令官はアメリカが任命すべきであるということが、吉田茂首相が同意したというふうに読み取れる文書が残っているんですが、日本国民に与える衝撃を考え当分の間は秘密にしておくということもその話の中で吉田首相から発言があったと。
この密約について、一九八七年の十二月十一日の参議院予算委員会ですとか二〇二一年四月二十八日の衆議院の内閣委員会でも、自衛隊及び米国は各々独立した指揮系統に従って行動しているという趣旨の政府答弁がなされていますが、そして、日本が独立して僅か三か月後の会談ですので、この密約があったのかなかったのか、若しくは有効性などについて今日議論することはございませんが、これまでの当委員会での様々な議論をお聞きしていても、米軍が自衛隊に、指揮下に置かれることは、まあないんじゃないかと思いますが、もしあったら困るなということも含めて、日本として主体的に防衛力を高めていただくことをお願いし、私の質疑を終わらせていただきます。
ありがとうございました。