防衛省職員給与法
連日の委員会質問。
今日は外交防衛委員会で防衛省職員給与法や、定年年齢に達した自衛官の再任用の取り組みを中心に質問しました。
自衛官の定年は一般の公務員よりも早くなっています。肉体的に強靱でないと務まらない任務が多いのがその理由のひとつですが、任務が多様化する中、サイバー対応など身体能力よりも高度な専門性や経験を生かせる新しい領域の任務が増えてきています。
地元の長野県でも、2019年の台風19号による被災地では、陸上自衛隊の災害派遣部隊が、人命救助や不明者捜索、廃棄物の運搬、食事、入浴の提供など多様な任務に当たってくださいました。
自衛官の方々がやりがいを持って働いて頂ける可能性を追求する思いを込めて質問させて頂きました。
質問内容
羽田次郎
立憲民主・社民の羽田次郎です。
再び質問の機会をいただきましたことを御礼申し上げます。ありがとうございます。
先ほど来、新型コロナウイルスに感染された古川法務大臣に代わって林外務大臣がワルシャワに飛ばれて、今日のお昼頃お戻りになるということで、現地の大まかなスケジュールについても先ほど鈴木外務副大臣からお話、御説明がございました。
そしてまた、すぐまたNATOの外相会談に林外務大臣参加されるとの報道もされておりますが、もしお分かりでしたら、その際の大まかなスケジュールというのも御存じでしたらお願いします。
鈴木貴子 副大臣
済みません、通告をいただいていなかったもので、手元にしっかりとした資料がないものですから予見を持ってここで発言をさせていただくことは差し控えさせていただきますが、まさに鋭意、実り多き出張になるべく鋭意日程等々を今詰めているところであります。
羽田次郎
ロシアによるウクライナ侵攻が始まった当初はなかなか日本の外交の姿というのが見えないと危惧しておりましたけど、今こうして外務大臣が体を張って御活躍をされていらっしゃることに心からの敬意とエールをお送りしたいと思います。
それでは、本題の防衛省の職員の給与等に関する法律の一部を改正する法律案について質問させていただきます。
今回の改正では、二〇二一年十二月期の防衛大学、防衛医科大学の学生、そして陸上自衛隊高等工科学校の生徒などの期末手当の引下げ額を二〇二二年六月期の期末手当で調整することとしておりますが、退学、退職するなどの事情によってこの減額調整がなされていない方もいらっしゃると思いますが、防衛省の方でそのような減額調整が行われていない方々は何名いらっしゃって、その金額の合計は幾らぐらいになるのか、お答えいただきたいと思います。
川崎方啓 政府参考人
御指摘の点でございますけれども、本年夏のボーナスの支給前に退職するといった事情によって本年夏のボーナスで減額調整されない者の人数や金額につきましては、この減額調整の対象となる人間というものが実は昨年の十一月から本年の四月までの間に退職をした者ということになるわけでございます。
そういたしますと、私ども、四月にどのぐらい今月退職をするのかというデータはまだ持っておりませんし、直近の退職をした人間の数もまだ十分なデータを私ども集計ができておりませんので、現時点、本日のところ正確な数字をお答えすることが大変難しいということを御理解いただきたいと思っております。
羽田次郎
ありがとうございます。
いずれにしましても、〇・一か月分の引下げということで額が小さいということであるかもしれませんが、しっかりと把握されてまたしっかりとお知らせいただければと思います。
一般の大学や高校に通う学生などは緊急給付金とか修学支援制度が設けられているんですが、様々な支援が実施されている中で、今回の改正では防衛省所管の学生や生徒の手当が引き下げられるという状況について、意欲が下がったりしてしまわないかなんという少し心配も私はしておるんですが、防衛省としてもし何か御見解があれば教えていただければと思います。
川崎方啓 政府参考人
私ども防衛省の中でいろいろな隊員の意向を調べている中では、処遇の問題、特に給与の問題について、お給料が人事院勧告によって下がるということによって非常に不満であると、これは退職を考えたいというような声はなかなか聞いておらないところでございますので、恐らく多くの隊員は志を高く持って勤務に励んでくれているものと思っております。
したがいまして、新しく自衛隊に入隊してくれる学生さん等若い人たちに対しても、高い志を持って自衛隊で勤務をしていただけるよう、自衛隊の魅力を一生懸命アピールするといった努力を続けてまいりたいと考えております。
羽田次郎
先ほど田島委員からの質問の中で任官拒否の話もあって、ちょっとそうした意欲に対しての心配もございましたけど、今そうしたしっかりとした御答弁いただけて少しだけ安心いたしました。
新型コロナウイルス感染症の感染拡大防止のために、一般の大学や高校ではオンライン講義や授業が行われるなどの対策が取られていますけど、防大、防医大、陸自高等工科学校などではどのような感染拡大防止策を取られているのでしょうか。それから、学生、生徒に感染者が発生した場合、どのような対応を取られているのか、教えていただけたらと思います。
川崎方啓 政府参考人
お答えいたします。
まず、防衛大学校等におきましてどのような感染拡大の防止策を取っているかという前段の御質問でございますが、委員御指摘のオンラインの講義といったものの導入に加えて、一般的なことではございますけれども、マスクの着用とか手指の衛生、あるいは学生同士の間の距離の確保といった基本的な感染症対策の徹底、それから、学生等に対して必要に応じてPCR検査を行って陽性者あるいは濃厚接触者を特定して隔離をすると、あるいは学生等に対するワクチン接種の推進といったことを行っております。
それから、後段の感染者が発生した場合の対応という御質問でございますけれども、こちら今一部お答え申し上げましたけれども、自衛隊という組織が集団行動を基本とする組織でございますので、部隊の中で感染者が発生した場合には、その感染者を起点とする感染を拡大させないことが大変重要であるというふうに認識をしております。
したがいまして、陽性者あるいは濃厚接触者を早期に隔離をするということが重要であると考えておりまして、したがいまして、防衛大学校等におきましても、職員や学生に感染者が発生した場合には、必要に応じて感染者や濃厚接触者等の速やかな出勤停止あるいは校内における隔離といったことを講じつつ、濃厚接触者等に対するPCR検査の実施、あるいは、対面授業の停止、オンラインによる代替といった措置を講じて感染拡大の防止に努めているところでございます。
羽田次郎
今、全国でも第七波と懸念されるような感染拡大が続いていますので、引き続き感染拡大防止策に取り組んでいただきますようお願い申し上げます。
給与法の改正ですので、自衛官の定年年齢などについても質問させていただきます。
昨年の通常国会で国家公務員の定年年齢を現在の満六十歳から段階的に六十五歳までというお話、先ほど防衛大臣からもございまして、来年の四月一日から施行されると。これに伴って防衛省の事務官等の定年年齢も引き上げられると承知しておりますが、ただ、自衛官については、組織を常に精強な状態に維持する必要があるということで、若年定年制が取られている。
そんな中で、一般の国家公務員よりも若年で定年退職となる自衛官の不利益を補うことを目的として若年定年退職者給付金が支給されていますけど、事務官等の定年年齢引上げに伴いこの給付金の支給についてはどうなって、どういう措置が講じられているのか、お聞かせください。
川崎方啓 政府参考人
まさに今委員御指摘のとおり、若年定年制から生ずる不利益を補うために若年定年退職者給付金というものを自衛官に対しては支給をしております。
事務官の定年年齢が六十五歳までこれから段階的に引き上げられるということを踏まえまして、今申し上げた給付金につきましても、六十五歳まで給付できるように昨年防衛省職員給与法を改正をいたしまして、若年定年制自衛官の退職後の生活を支えるという措置を講じたところでございます。
羽田次郎
今御説明いただいた若年定年退職給付金について、再就職賃金が一定額を超える場合に給付金の支給を行わないですとかその返納を求めたりとか、そういうことがあるということ、過去にも国会で指摘をされておるんですが、定年までしっかりと自衛官として勤め上げて、優秀な人材、そしてその能力が民間企業で活用されることは奨励されるべきことであって、妨げられるべきことではないと考えておりまして、その辺、先ほど松川議員からも質問がございましたが、人口減少と少子高齢化が急速に進展する中で自衛官の採用環境厳しさを増しているので、こうした人材の再任用ということも含め大変必要になってくることだと思いますが、その辺についての防衛省の御見解をお尋ね申し上げます。
川崎方啓 政府参考人
ただいまの給付金を返納する場合があるのかという御指摘があったかと思いますけれども、この点につきましては、給付金というものが、事務官よりも若年で定年退職となる自衛官の退職後の不利益を補うという一方で、そういう趣旨で支給をされておりますので、退職後の所得が、再就職したときの所得が幸いなことに大変高い金額になった場合には、それは不利益を被っていることにはならないであろうということで、給付金の一部を支給をしないとか、あるいは場合によっては全く支給しないとか支給したものを返していただくというようなことが法律上制度として決められているわけでございます。
いずれにいたしましても、返納を求める場合というのは今申し上げたような不利益がないような場合ということに限られておりまして、その点も含めまして、退職後の自衛官の処遇に不都合が生じないよう、しっかり今後とも努めてまいります。
羽田次郎
それで、今最後の方に質問、ちょっと質問をまとめて質問しようと思ってまとめてしまったんですが、再任用、そういう意味では、精強性が強く求められないような職種、先ほどの再任用についても実際に行っているというお話、答弁でもございましたが、どういった職種に就かれているのか、御説明いただけたらと思います。
川崎方啓 政府参考人
先ほどお答え漏らしまして、大変失礼いたしました。
御指摘のとおり、少子高齢化の急速な進行によって自衛官の採用環境がますます厳しくなってまいりますので、人材の有効活用を一層推進するという観点から、定年退職した自衛官の再任用を進めているところでございます。
この自衛隊の任務の性格上、組織を精強な状態に維持する必要があるため、御案内のとおり若年定年制を取ってはおりますけれども、その中でも体力への依存の度合いが比較的低いと考えられる業務につきましては定年退職した自衛官を再任用することが可能であると、そういう業務に指定をしております。
具体的には、教育であるとか研究であるとかあるいは補給であるといった幾つかの業務につきましては再任用が可能であるというふうに考えて措置をしておりまして、令和二年度末の時点で千百五十二名の再任用の自衛官が在職しているところでございます。
羽田次郎
そういう意味では、そうした体力とかそういう精強性を伴わない職種があるんであったら、逆に普通の採用の際も採用基準を緩和していくような、そういったことを取り組んでいただけたらと思います。
あと、自衛隊は、ワクチンの大規模接種会場においても医官、看護官を中心に大勢の国民にワクチン接種を行ってくださっておりますけど、現在もそれが続いていて、ただ、そうした医官、看護官と民間の医師、看護師とでは待遇が大きく異なるという報道もございます。
民間との較差を要因として給与、ボーナスを改定するのであれば、手当等についても民間に倣うべきではないかとも思いますが、岸大臣の御見解はいかがでしょうか。
岸信夫 国務大臣
自衛隊による大規模接種会場においてワクチン接種の任務に当たる医官及び看護官に対しては、自然災害などの一般的な災害等、災害派遣時に支給される災害派遣等手当よりも高い水準の日額三千円などの手当を支給することとしております。
この手当のみならず、隊員に支給される手当の額は、その活動の実態等を踏まえて、任務の困難性等に応じつつ、隊員に支給されるほかの手当との均衡なども考慮して適切な水準に設定するよう努めております。
いずれにしても、医官等を含む隊員の処遇については、任務の困難性等を適切に評価し、引き続きしっかり措置してまいります。
羽田次郎
時間となりますので最後のテーマとなりますが、三月三十一日に中国とソロモン諸島が安全保障協定を結ぶことに合意したとの報道がなされ、近隣諸国からは懸念が表明されておりますが、日本政府としての評価と自由で開かれたインド太平洋戦略に及ぼす影響について、鈴木外務副大臣からお尋ねしたいと思います。
鈴木貴子 副大臣
三月三十一日、委員が御指摘のように、中国政府及びソロモン諸島政府によりまして、両国間の安全保障協力に関する協定というものの基本合意に達した旨が発表されたと承知をしております。
この時点でその協定の全容が明らかになってはおりませんが、太平洋地域の安全保障に影響を与え得るものとして、日本政府としても高い関心とともに注視をしております。
このような動きが見られる中で、法の支配に基づく自由で開かれた国際秩序をインド太平洋地域で実現していくことは極めて重要でありまして、我が国として引き続きこのFOIPの実現に向けた取組というものを力強く進めていく考えであります。
また、米国、豪州、ニュージーランド等の関係国とも連携をしながら、ソロモン諸島を始めとする太平洋島嶼国との間で必要な協力というものを今後も行ってまいりたいと思います。
羽田次郎
中国等が軍事拠点みたいなものをソロモン諸島に造ると地政学的にも日本にとって脅威となりますので、是非今後も注視いただけたらと思います。
よろしくお願いします。