北朝鮮のミサイル攻撃について

外交防衛委員会の筆頭理事として北朝鮮のミサイル攻撃についての委員会質問に臨みました。

10月4日朝、J-アラートによってミサイルの発射と、避難指示に恐怖を感じた方も多いと思います。
テレビは一斉に中断し、避難を呼びかけるアナウンスが繰り返されましたが、すでに日本上空を通り過ぎた後だったため、「こんなことで国民の命を守れるの?」と不信感、違和感を感じた方も多かったと思います。

我が国の弾道ミサイル防衛は、自衛隊法第八十二条の三の規定による『弾道ミサイル等に対する破壊措置』対応に基づき、海上自衛隊イージス艦による上層での迎撃と航空自衛隊の PAC-3による下層での迎撃を航空自衛隊の自動警戒管制システム(JADGE)により連携させて行う多層防衛が基本です。

羽田次郎は、ミサイルに対する迎撃能力や、迎撃の決定プロセス、北京大使館を通しての抗議の概要、またJアラートの問題点について質問をしましたが、政府からはほとんど具体的な回答はありませんでした。
また北朝鮮から東京に向かうミサイルは長野県を通過する可能性が高いことから、ミサイルの残骸が生命や財産を奪う結果になった時の補償の在り方について質問しましたが、この点についても、状況に応じて対応するというような答弁でした。

機密情報であることはわかりますが、Jアラートで国民に混乱を与えたこと、また防衛予算を2倍に増やそうとしている以上、この程度の説明では政府の役割を果たしているとは到底言えないと思います。この問題については引き続き追及していきます。

羽田次郎

立憲民主・社民の羽田次郎です。

 時間がございませんので、早速質問に移らせていただきます。

 先ほど来お話あったとおり、今年に入り二十回を超える頻度で北朝鮮は弾道ミサイル等の発射を行いました。
そして、ミサイル発射のたびに、政府は北京の大使館ルートを通じて厳重な抗議を行ったと耳にいたします。

 外務省にお尋ねいたしますが、実際に毎回北京の大使館ルートで抗議をしているのか、お聞かせください。

林誠 政府参考人

お答え申し上げます。

 北朝鮮は今年に入ってから弾道ミサイルを二十二回にわたって発射しております。
これらの極めて高い頻度で続く一連の挑発行動の中で、四日、我が国上空を通過する形で弾道ミサイル発射を行ったことは、我が国安全保障にとって重大かつ差し迫った脅威であるとともに、地域及び国際社会全体の平和と安全を脅かす暴挙でございます。

 御指摘がありました北朝鮮の弾道ミサイル発射に際しましては、北京の大使館ルートを通じ、そのたびごとに厳重に抗議しております。

羽田次郎

先日、その抗議というのを電話で行っているという話を耳にしたんですが、本当に電話など対面でない方法で抗議を行っているのでしょうか。
抗議の方法とか、あと北朝鮮側の反応についてお聞かせいただけたらと思います。

林誠 政府参考人

お答え申し上げます。

 北朝鮮への抗議につきましては北京の大使館ルートを通じて行っておりますが、抗議の形式を含めこれ以上詳細については、今後の対応に支障を来すおそれがありますので、差し控えさせていただきたいと思います。

羽田次郎

電話なのか対面なのか、書面なのか若しくはテレビ会議なのかとか、その手法自体をなぜ差し控えるのかという、その理由が分からないんですが、なぜなんでしょうか。

林誠 政府参考人

繰り返しになりますけれども、その抗議の形式、対応につきましても、今後の対応に支障を来すおそれがございますので、お答えを差し控えさせていただければと思います。

羽田次郎

内容を聞いているわけでもないですし、相手の、その相手方の名前を聞いているわけでもないんで、なぜ答えられないかというのは、どうしても答えていただけないのか。
大臣、お答えいただくことというのは可能でしょうか。

林芳正 国務大臣

今事務方から御答弁差し上げたとおりでございますが、この北朝鮮の弾道ミサイル発射に際しては、北京の大使館ルートを通じてそのたびごとに厳重に抗議をしてきております。
冒頭申し上げましたように、四日の発射に際しても、直ちに北朝鮮に対して厳重に抗議し、最も強い表現で非難をしたということを申し上げたところでございます。

 まさに、こういう形で、今回の四日については最も強い表現で非難をしたということを申し上げたところでございますが、この詳細、どういう形でということも含めまして、この詳細については、今後の対応に支障を来すおそれがあるということでお答えを控えさせていただいてきております。
御理解を賜ればと思います。

羽田次郎

これ以上聞いても多分お答えいただけないということはよく分かりました。
ただ、毎回北京の大使館ルートで抗議すると、抗議をする方もされる方もまたかという感じになって、断じて容認できないという我が国の強い抗議の意思が伝わっていないのではと懸念いたします。

 例えば、国際的な世論を喚起するためにも、他国の大使館ルート、金正恩総書記が留学されていたスイスとかの、そうした大使館のルートで抗議するとか、若しくは一国の外交ルートだけでなくて複数国のルートを通じて抗議をするというようなことはお考えにはないのでしょうか。

林芳正 国務大臣

北朝鮮との間では、北京の大使館ルートなど様々な手段を通じてやり取りを行ってきております。
これ以上の詳細については、今後の交渉等に影響を及ぼすおそれがありますので、お答えを差し控えますが、いずれにしても、関連する国連安保理決議の完全な履行を進めて、北朝鮮の非核化を目指す上で国際社会との協力が不可欠であります。
委員がおっしゃられたように、この国際社会との協力、また米国や韓国を始めとする関係国と緊密に連携して対応してまいりたいと考えております。

羽田次郎

繰り返し今までも何度も抗議していたにもかかわらずミサイルを発射されるということで、余り今までの方法が効果がなかったということであれば、しっかりと日本の意思が伝わる別の方法、例えば第三国に日朝の連絡事務所をつくるということを提唱されている専門家の方もいらっしゃるんですが、そうした別の方法、その連絡所を開設するようなことは御検討はいただけないでしょうか。

林誠 政府参考人

我が国といたしましては、日朝平壌宣言に基づきまして、拉致、核、ミサイルといった諸懸案を包括的に解決し、不幸な過去を清算し、国交正常化を目指す考えでございます。

 ただし、詳細については、今後の交渉に影響を及ぼすおそれがございますから、これ以上詳細については差し控えさせていただければと思います。

羽田次郎

それでは次に、弾道ミサイル等に対する破壊措置について防衛省にお尋ねいたします。

 自衛隊は、イージス艦とパトリオットミサイル、PAC3によって発射されたミサイルに対して多層防衛の体制を取っていると認識しております。また、ミサイル発射の探知は自動警戒管制システム、JADGEが行っていると理解しております。

 そこで質問ですが、JADGEがミサイルの迎撃をするかしないかの判断まですることはあるのでしょうか。
それとも、必ず人的な判断が関与するのでしょうか。

大和太郎 政府参考人

お答え申し上げます。

 自衛隊法第八十二条の三の規定による弾道ミサイル等破壊措置が発令されている場合には、防衛大臣の命令を受けた自衛隊の部隊の長が破壊措置の実施を判断することになります。この破壊措置の実施の判断に至るまでの探知、追尾、落下予測地域の計算などの一連のプロセスはほぼシステム化されており、極めて迅速になされることになります。

 防衛省・自衛隊としては、引き続き緊張感を持って、いかなる事態にも対応できるよう万全を尽くしてまいります。

 以上です。

羽田次郎

今のお答えですと人的な関与があるのかどうかというのがちょっとよく分からなかったんですが、あるということでよろしいんですか。

大和太郎 政府参考人

大臣の命令を受けた自衛隊の部隊の長が実際の実施を判断するということになります。

羽田次郎

例えば東京がミサイルの標的になった場合などは、多数の原発がある福井県ですとか私の地元の長野県ですとか、そういったところも軌道に入ると考えられるんですが、領海や領空内で撃墜された場合に落下物等による被害が想定されると思うんですが、そうした人的、物的被害が生じた場合、その補償については何か取決めはあるのでしょうか。

増田和夫 政府参考人

迎撃によりまして破壊されました弾道ミサイルの破片の飛散は、弾道ミサイルの種類、飛来する方向、気象条件等様々な要素に大きく影響を受けますことから、具体的にお答えすることは困難であることを御理解いただきたいと思います。
その上で、破片の飛散による被害につきましては、個別具体的な状況に応じ、関係省庁と調整の上、政府全体として対応するものと考えております。

 その上で、あくまで一般論として申し上げますと、イージス艦のSM3により宇宙空間で破壊されました弾道ミサイルの破片のうち小さなものは、大気圏再突入時に大気との摩擦によりまして焼失すると考えられます。
他方、PAC3により破壊され、生成された弾道ミサイルの破片は、迎撃高度が大気圏内であるため、大気との摩擦による焼失はほとんどなく、落下する可能性は否定できないというふうに考えております。

羽田次郎

そうすると、その落下物が落ちてきて人が亡くなられたりとか、物が、家が潰されたりとか、そういったことが起きた場合というのは補償はされるということでよろしいんでしょうか。

増田和夫 政府参考人

お答え申し上げます。

 弾道ミサイル等に対する破壊措置に伴い国民に生じた被害の損失補償につきましては、憲法第二十九条第三項の適用を検討することになると考えられます。
この規定は、社会的に受忍すべきものとされる制限の範囲を超えて特別の犠牲を課する場合には正当な補償を要することとしたものと考えられておりますが、弾道ミサイル等に対する破壊措置がとられた際に私人に生じた被害がかかる特別の犠牲であるか否かにつきましては、個別具体的な事例ごとに判断されることになるものと考えております。

羽田次郎

それでは、浜田防衛大臣にお尋ねしたいんですが、米国又はグアムの米軍基地に向けてのミサイル発射が探知された場合というのは迎撃するのでしょうか。
そして、日本だけの判断で迎撃するのか、若しくは米国に確認した上で迎撃するのか、お答えください。

浜田靖一 国務大臣

御質問のような仮定の場合における我が国の対応について予断をすることは適切ではないため、お答えできないことを御理解願います。

 その上で、弾道ミサイルが米国に向けて発射されるということだけでは武力の行使の三要件を満たすことにはなりませんが、一般論として申し上げれば、その時点における状況の全体を評価した結果、これが三要件を満たす場合には、あくまでも我が国の存立を全うし、国民を守るための自衛の措置として当該弾道ミサイルを迎撃することも可能と考えております。

 他方、御指摘のグアムに向けてのミサイル発射について、武力行使の三要件を満たすか否かは個別具体の状況に即して判断すべきものであり、一概にお答えをすることは困難であります。

羽田次郎

お答えありがとうございました。

 今回、今国会から浜田防衛大臣にもいろいろと御質問させていただくと思いますので、今後ともよろしくお願いいたします。

 次に、Jアラートについてお伺いします。

 Jアラートが送信されてから着弾若しくは通過までの時間で、避難する猶予は実際にあるのでしょうか。
今回の場合、青森県は上空を通過したタイミングでJアラートが送信されたとのことでしたが、いかがでしょう。

齋藤秀生 政府参考人

お答えを申し上げます。

 ミサイルが発射されましてから我が国の領土、領海若しくは上空へ到達するまでの時間は、一概には申し上げることはできませんが、僅か十分もしないうちに到達する可能性もありますことから、Jアラートの送信から避難に掛けられる時間というのはおのずと限られてまいります。
まいりますが、そういう中でも、例えば屋外にいる場合にはできれば頑丈な建物又は地下施設、それらが近くにない場合は近くの建物に避難をしていただくこと、また、近くに建物がない場合は物陰に身を隠すか地面に伏せ頭部を守ること、屋内にいる場合にはできるだけ窓から離れ、できれば窓のない部屋に移動することなどの少しでも身を守ることにつながる行動を取ることが重要でございまして、そうした行動を取っていただくよう、内閣官房の国民保護ポータルサイトやツイッターを活用して呼びかけを行っているところであります。

 また、今回の事案では、防衛省からの逐次の情報伝達を受けて、直ちに北海道、さらに青森県にJアラートによりミサイル発射情報を送信したところでありますが、結果的に、特に青森県においてはJアラートの送信が上空通過と近接をすることとなりました。

 当然のことながら、避難の時間をできる限り確保することが望ましいため、今後とも極力早くミサイル発射情報を送信できるよう検討してまいります。

 政府としては、国民の安全確保に万全を期すため、政府一体となって、引き続き適切な情報伝達に努めてまいります。

羽田次郎

今回の弾道ミサイルの発射を受けて、衆議院の連合審査会も含めていろいろと質問がありましたけど、なかなか納得がいく答弁がいただけなかったと思っております。

 日本のミサイル迎撃システムの意義、そして国民を守る戦略について、今後はもっと国民が納得できる説明をしていただくことをお願い申し上げ、私の質疑を終わります。

 ありがとうございました。

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