外交防衛委員会・質疑

今日は外交防衛委員会で質疑を行いました。

安全保障については『付け入る隙を与えない』防衛力の強化は必要です。

一方で、日本だからできる平和貢献の可能性を追求すること、日本がリーダーシップを発揮して同じような状況に置かれた国と連携し、平和構築や民主化支援、紛争仲介外交などに取り組むことを国際的な安全保障、日本の安全保障の明確な戦略と位置づけるよう提案しました。

また、原発へのミサイル攻撃に対する対応や、アフガニスタンから退避した方々への人道的対応の在り方についても質問しました。

まともに質問に答えていないにもかかわらず「いずれに致しましても・・・」と答弁を勝手にまとめてしまう手法を濫発する政府の国会対応の在り方には大きな疑問を感じます。

羽田次郎

立憲民主・社民の羽田次郎です。
今国会最後となると思いますが、質問のお時間をいただきましてありがとうございます。

 今日はまず、議題となっている条約の一つ、刑事に関する共助に関する日本国とベトナム社会主義共和国との間の条約について質問いたします。

 ベトナムは既に二十三の国及び地域との同様の条約や協定を締結していると承知していますが、日本は、ベトナムに加え、米国、韓国、中国、香港、ロシア、そしてEUにとどまっております。
タイとの交渉が進んでいるとのことですが、ほかに交渉が進んでいる国や地域はあるのでしょうか。今後の方針も含め、外務副大臣にお伺いいたします。

鈴木貴子 副大臣

委員御指摘のように、現在我が国は、タイそしてまたブラジルとの間で刑事共助条約の締結に向けて交渉を行っております。
なお、タイに関しましては、この締結に向けて正式交渉会合を開催すべく調整を行っているという段階でございます。
そしてまた、国際捜査共助法等に基づきまして、刑事共助条約を締結しなくとも、我が国に共助を要請してきた国等との間で相互主義が保証されることを条件に、当該国等から要請をされた共助を実施することが可能となっております。

 しかしながら、政府としましては、近年の国際犯罪の増加に伴いまして捜査、訴追その他の刑事手続に関する国際的な協力の重要性が高まっていることに鑑みまして、先ほど申し上げた国や地域との間の刑事共助条約の締結についても引き続き積極的に検討してまいります。

羽田次郎

ありがとうございます。

 先ほど和田委員の議論の中でもございましたが、コロナ禍でインバウンド、アウトバウンドの交流がまだ低迷しているとはいえ、今後再び人的往来が増えることは十分予想されていますので、いざというときの備えとして是非前向きに取り組んでいただけたらと思います。

 共助請求は原則書面で行われるとのことですが、書面以外の信頼し得る通信の方法による請求も可能との規定がありますが、これが具体的にどういった方法を指すのか、まず教えていただけたらと思います。

加納雄大 政府参考人

お答え申し上げます。

 御質問にありました書面以外の信頼し得る通信方法というものが何に該当するかは本条約上具体的に特定されてはおりませんが、例えばファクシミリや電子メール等が想定されます。

羽田次郎

十年ほど前に日・EUで結ばれた刑事共助協定においては、第三条で、「共助の範囲」として「共助には、次の措置をとることを含む。」ということで、具体的に、「映像及び音声の送受信による通話(以下「ビデオ会議」という。)を通じた聴取を可能とすること。」というふうにしっかりと明示されておるんですが、そういう中で、今コロナ禍で首脳会談を含めてオンラインでの各種協議が活発に行われているにもかかわらず、どうして今回、具体的にオンライン会議等の規定が明示されなかったのか、その理由と、条約の規定内でオンライン会議等が可能なのかどうか、外務省の御見解を伺います。

加納雄大 政府参考人

お答え申し上げます。

 委員御指摘の日・EU刑事共助協定でございますけれども、ここではビデオ会議による聴取の規定というのがございます。
これは、EU側から求めがあったこと等を踏まえて設けられたものでございますが、ビデオ会議による聴取に係る共助を相互に義務付ける規定ではございません。

 なお、本条約には御指摘のとおりビデオ会議に関する規定はございませんが、条約上の規定がなくとも、対象が任意に応じ、我が国の主権との関係等が問題とならないことが確保できることが確認できた場合には、御指摘のようなビデオ会議を通じた聴取のために協力することは可能でございます。

羽田次郎

EUとの場合はEUから求められたというお話でしたけれども、今このコロナ禍の状況を考えたら日本側からオンライン等についても求めてもよかったんじゃないかなと思いましたが、きっと、それも可能だということで承知いたしました。

 先ほども触れましたが、日本がこうした条約を締結している国・地域は非常に限定されています。
締結国が相互に相応の便宜を図る内容だからなのかと勝手に推測しておるんですが、今、数々の経済制裁を行って外交官の退去まで求めているロシアとの条約を見直す可能性とかお考えは政府にあるのでしょうか。

鈴木貴子 副大臣

委員からも、今般のいわゆる二月二十四日以降のロシアによるウクライナ侵略というこの状況下においてという御質問だと、このように承知をしております。

 ロシアの力による一方的な現状変更の試みというものは断じて許されるものではありません。
日本としても、引き続き国際社会と連帯をして強力な措置、制裁措置を含めて講じてまいりたい、このように思っております。

 ただ一方で、こうして我が国が毅然とした態度をロシアに対して取っていく中においても、何が我が国の国益に資するのかという観点だけはぶれてはならない柱であるとも考えております。

 そういったことを鑑みますと、この近年の国境を越えた犯罪の増加等に伴い、捜査、訴追その他の刑事手続に関する国際的な協力の必要性というものは高まっている、このように思います。
また、刑事共助条約は、我が国での犯罪に関しロシアに共助を請求する必要がある場合に相手国による共助の迅速かつ確実な実施を確保するという意義があります。

 また、そういった観点からも、ロシアによるこのウクライナ侵略によって直ちにその必要性であるとか意義というものが否定されるべきものではないと考えており、したがいまして、このロシアとの間での捜査協力というものは引き続き維持されるべきと考えております。

羽田次郎

岸田総理がG7との協調、協調ということを繰り返しおっしゃっているのでどうなっていくのかなという部分が心配ではあったんですが、実際、知床の事故においてもロシアとの連携というのもございましたし、こうした共助などによってロシアとの意思疎通を続けて、停戦へと導く外交努力というのも同様に大切じゃないかなと感じておりますので、引き続き対話の継続をお願いできたらと思います。

 次に、日本の外交・防衛戦略について伺います。

 岸田総理は、今国会冒頭の施政方針演説の中で、新時代リアリズム外交の第一の柱として、自由、民主主義、人権、法の支配といった普遍的価値や原則を重視すると表明されています。
その後、ロシアのウクライナ侵攻によって日本を取り巻く状況も大きく変化しました。しかし、だからこそ、今、周辺国の軍事的脅威の抑止のために日本が何ができるのか。
新時代リアリズム外交の第二の柱として、ユニバーサル・ヘルス・カバレッジとか貧困削減、賢人会議等に総理大臣触れられておりますが、日本にしかできない国際貢献を追求し、それを日本の安全保障につなげていく確かな戦略を持って一歩踏み込んで行動していくことが、そういうときが来たと私も考えております。

 日本の役割としては、周辺の専制主義的な国家に付け入る隙を与えない、老朽化も指摘される防衛力の整備や更新を図りながらも、日本だからこそ果たし得る平和構築とか民主化支援、また紛争仲介の役割をより積極的に担っていく、日本がリーダーシップを発揮して、軍事的な脅威を受けている国々、平和を追求する同志国と連携して紛争の平和的解決を目指す枠組みを構築する、力による現状変更の野心を持った国家に口実を与えない、武力攻撃しにくい環境を積極的につくっていくことも日本の安全保障にとって大事なのではないかと私は考えております。

 平和を追求する日本が今後どのような国際貢献に力を入れていくべきか、日本の強みとは何なのか、鈴木外務副大臣にお伺いいたします。

鈴木貴子 副大臣

委員もおっしゃられておりますように、日本は戦後一貫してこの平和国家の歩みを進めてまいりました。
このアジア太平洋地域や国際社会の平和と安定に貢献してきたという自負も持っているところでもございます。

 例えばでありますけれども、国連平和維持活動、そしてまた、平和分野構築、平和構築分野における人材育成等にも取り組んでまいりました。
また、ODA、そしてこの紛争の予防、緊急人道支援、さらには平和の定着、国づくりの支援、こういったものにまさにシームレスな取組をしてきたところであります。
こういった取組の積み重ねというものが、今日、世界から寄せられているいわゆる日本のその信頼、これのまさに礎になっていると、このようにも認識をしております。

 こういったこれまで脈々と培ってまいりましたこの強みというものを生かしながら、法の支配に基づく自由で開かれたインド太平洋の実現に向けた取組を始め、また、同盟国、同志国との連携を重視しながら、委員御指摘のように、その日本ならではの外交というものを積極的に取り組んでまいりたいと思っております。

羽田次郎

先日来、同僚の鈴木委員も、片方だけの言い分ではなく、バランスの取れたやはり外交というのも日本には必要じゃないかというような御指摘をされていたように私は感じておるんですが、そういったバランスの取れた外交というのを、日本ならではの外交というのを是非進めていただければと思います。

 次に、山口原子力防災担当大臣が、ミサイルが飛んできて、それを防げる原発はないと、世界に一基もないと、これからもできないと五月十三日の会見でおっしゃっていますが、これは、政府として、防衛大臣としても同じ御認識ということでよろしいのでしょうか。

岸信夫 国務大臣

我が国に飛翔します弾道ミサイルに対しましては、まず海自のイージス艦による上層での迎撃、それから空自のPAC3による下層での迎撃、これらを組み合わせた多層防衛で対処するということとしています。
また、巡航ミサイル等については、航空機、艦艇、地上アセットから発射します各種の対空ミサイルで対応している、することとしております。

 迎撃の回避については、我が方の能力が察知されるおそれがあるためお答えすることは困難でございますが、急速なスピードで変化、進化するこのミサイル技術が、迎撃能力を高める不断の努力が必要ではございます。
その上で、PAC3の能力向上や衛星コンステレーションの検討といったもの等、取組を引き続き進めてまいります。

 ただ、いずれにいたしましても、我が国に対する武力攻撃が発生した場合には、武力攻撃と認定し、日米で共同対処する必要がありますが、そもそも我が国に対する武力攻撃等が発生しないようにしていくことが何より大切でございます。

 今後とも、様々な取組を通じて、日米同盟の抑止力、対処力を強化してまいります。

羽田次郎

その山口大臣の、担当大臣のその記者会見のお話だと、今後も迎撃というか、ミサイル攻撃から守れることはないというふうにおっしゃっているように感じたんですが、その認識とは防衛大臣とは違うということでよろしいのでしょうか。

増田和夫 政府参考人

お答え申し上げます。

 五月十三日の山口大臣の会見の中で、委員おっしゃるとおり、ミサイルが飛んできて、それを防げる原発はありませんと、世界に一基もありませんと、このように申しておりますが、この趣旨がどういう趣旨なのかと。
例えば原発の構造上の問題なのかどうか、ちょっとここだけの発言だけ見ると分からないんですが、その前の段階で質問、記者から質問を受けて山口大臣は、原発の防衛を高めるということということはもう当然のこととして受け止めておりますと、これはもう防衛省に関わることでありますと。

 ですから、原発の防衛という観点から申し上げますと、先ほど岸大臣が申し上げたとおり、我々としては、上層、下層での弾道ミサイル防衛、そして巡航ミサイルに対しては各種のアセットで対応すると、その中には当然原発の防衛というのも入っていると、こういうふうに思っているところでございます。

羽田次郎

結局、明らかに、ミサイルが飛んできてそれを防げる原発はない、これからもできないというふうに明言されているのとは何かちょっと違うような感じはしますが、防衛省、そして防衛大臣がしっかりと守っていけるとおっしゃるんであれば、その言葉を信じたいとは思いますが。

 ただ、当然、原子力発電所に対する攻撃というのはジュネーブ条約違反であるのは明白ですし、それをこれからも防げる、防ぐことはできないというふうに原子力防災担当をする大臣が明言されますと、発電所を有する自治体や地域住民は不安な日々を過ごさざるを得ないというふうに思っておりますので、原発を攻撃する暴挙が現実に起きる中で、今後その原子力発電所どうしていくのかという、これは国民的な議論をしていかなければならないと私は改めて感じております。

 ロシアは、病院、学校、劇場、原子力発電所などあらゆる施設に無差別的な攻撃を続けていて、多くの子供も犠牲となっています。
ウクライナ軍は、侵攻してくる部隊に対して抗戦、反撃をしていますが、ロシア国内の民間施設に対する無差別的な反撃をしているとは聞きません。

 新時代リアリズム外交の第三の柱として、岸田総理は、いわゆる敵基地攻撃能力を含め、あらゆる選択肢を排除せず、現実的に検討する、スピード感を持って防衛力を抜本的に強化するとおっしゃっています。

 私は、日米同盟の役割分担として、日本は盾、防御する力を整備し増強すべきだと思いますが、抑止力は米軍に頼るというのが日米安保の基本だと考えています。
敵機や敵艦の探知能力を上げる、静かな潜水艦の建造をする、サイバー、宇宙の人材を育てるなど、日本が得意とする分野に注力して技術力を向上すべきで、他国の兵器を購入してそこに膨大な予算を費やすことは賢明でないと私は思っております。
八発ミサイルを撃たれたら八発撃ち返す、そういうことに日本が注力するべきではないと私は確信しております。

 そう申し上げた上で伺いますが、プーチン大統領は先日のインタビューで、ウクライナに長距離攻撃兵器が供与された場合、攻撃対象を拡大するという趣旨の発言をされました。
この発言に対する防衛大臣の受け止めと、岸田内閣が整備を検討されているいわゆる敵基地攻撃能力の実効性についての御見解をお願いいたします。

岸信夫 国務大臣

まず、ロシアによるウクライナ侵略は、ウクライナの強固な抵抗やロシアの作戦面における様々な失敗などによりまして、首都キーウを含む電撃戦を狙った全面侵攻から東部等における消耗戦へと移行しつつあり、ロシア軍においても相当な犠牲が出ております。

 御指摘のプーチン大統領の発言は、米国等による装備品の支援が効果を発揮している中で、より射程の長いロケット砲の供与によりロシアの領内への攻撃が可能となり得ることへの強い警戒感を示したものであると考えております。

 他方、今般の侵略は、無差別攻撃によりまして多数の民間人が犠牲になるなど、そもそも事態をエスカレートさせているのは侵略を強行しているロシア側であることをいま一度想起する必要があります。

 いずれにせよ、政府としては、急速なスピードで変化、進化しているミサイルなどの技術に対して、国民の命や暮らしを守るために十分な備えができているのか、いわゆる反撃能力を含めて、あらゆる選択肢を排除せず現実的に検討しているところであります。
今般の検討は、あくまで抑止力を高め、ミサイルなどによる攻撃の可能性を一層低下させるためのものであります。

 引き続き、新たな国家安全保障戦略の策定をする過程で、憲法、国際法の範囲内でしっかりと検討してまいります。

羽田次郎

先日の委員会でも、敵基地攻撃能力と反撃能力の違いについての質問に対して、特に違いはないというようなお答えだったから、今大臣も反撃能力というふうに言い換えてお話しされたのだと思いますけど、近い将来、日本がその反撃能力というのを持つとすると、ちょっとこれ通告していないんですけど、関連として言えば、その装備するミサイルというのは日本製になるんでしょうか、それとも海外からのミサイルを導入するということになるのか、もしお答えになれればお伺いしたいと思います。

岸信夫 国務大臣

我が国の国民の命と暮らしを守っていくために何が今必要とされているのか、そういったことをしっかり議論した上で装備を整えていくことになります。

羽田次郎

いや、日本製かどうかということは、まだこれから検討するということでよろしいのでしょうか。

岸信夫 国務大臣

今の時点で、どこ製のものか、日本製なのか外国からのものなのか、そういう議論ではなくて、国民を守るために何をすべきかということについてまずしっかり検討してまいります。

羽田次郎

いずれにしましても、ミサイル攻撃というのは民間人を巻き添えにする可能性も高いですし、その撃ち合いになるような事態は絶対に避けていただきたいと、このことだけははっきりとお願い申し上げます。

 岸田総理の施政方針演説で、深刻な人権問題への対処として初めて国際人権問題担当の補佐官を任命されたとおっしゃっておりました。

 そこで、中谷元補佐官のことだと思うんですが、そこで改めてアフガニスタンからの退避者について質問をさせていただきます。

 駐アフガニスタン日本大使館のスタッフやJICAの関係者など、我が国に協力し連携してきたアフガニスタン人の受入れ状況について、現在の受入れ人数やその内訳、そして支援状況について教えてください。

西永知史 政府参考人

お答え申し上げます。

 昨年のアフガニスタン情勢悪化後、政府といたしましては様々な外交努力を継続してきておりまして、現在までに我が国の支援を受けて七百名以上の日本関係のアフガニスタン人が本邦に到着しております。
そのうち約百七十名が在アフガニスタン日本大使館の現地職員及びその家族でございまして、約二百名がJICA現地事務所の現地職員及びその家族でございます。

 日本に入国したアフガン人、アフガニスタン人のうち、今御答弁申し上げました大使館やJICA事務所の現地職員につきましては、それぞれ日本政府及びJICAとして、住居や食事、日本語教育の機会の提供等の支援を行ってきているところでございます。

 大使館やJICA事務所の現地職員以外のアフガニスタン人につきましては、一義的には身元保証人の方々に日本における生活全般を支援していただいておりまして、日本政府といたしましても、個別の事情を踏まえ、必要に応じて支援を行ってきているところでございます。

羽田次郎

その日本に来日されているアフガニスタン人の中で、既にアフガニスタンに帰国された方というのはいらっしゃるんでしょうか。

西永知史 政府参考人

日本に退避した大使館現地職員及びその家族のうち約十五名が、また、JICA事務所の現地職員及びその家族のうち約十名が自ら希望してアフガニスタンに帰国しております。
そのほかにも複数の現地職員が帰国を検討してございます。

羽田次郎

タリバンと同じパシュトゥーン人はそれほど身の危険を感じられなかったかもしれませんけど、宗教上の理由でハザラ人とかは帰国が難しいということも伺っておりますが、帰国された方の内訳としてはどういうふうになっているんでしょうか。

西永知史 政府参考人

今御答弁申し上げました、現在までにアフガニスタンに帰国した方あるいは帰国の意思を表明していらっしゃる現地職員の中には、少数民族であるタジク系やハザラ系の者も含まれているということでございます。

羽田次郎

それぞれ希望されて帰られたということだとは思いますが、日本が受け入れられている方々について、ウクライナからだと避難民、アフガニスタンからだと退避者というふうに呼称が使い分けられているように感じますが、使い分けをする理由ですとか支援内容の違いがあるのであれば御説明をお願いします。

君塚宏 政府参考人

今御質問ございました退避という言葉と避難という言葉は同義であると考えてございまして、アフガニスタンからの退避された方、ウクライナ避難民というように呼称が異なることについて特段の意図を有するものではございません。

 その上で、我が国といたしましては、この度のロシアによる軍事侵攻という極めて重大な国際法違反の暴挙によりまして近年において未曽有の人道危機が生じていることに際しまして、この一連の危機的かつ緊迫した状況を踏まえ、難民条約の難民に該当するか否かにかかわらず、このウクライナから逃れてきた人々を人道的な観点から幅広く柔軟に受け入れて、我が国における避難生活の場を提供する方針としているところでございます。
そこで、こうした政府方針の下、我が国がウクライナから緊急に避難されてきた方々を積極的に受け入れることを的確に表現するものとして、この避難民という言葉を使っているものでございます。

 その上で、支援のことでございます。

 支援内容についての違いにつきましての御質問でございますけれども、このアフガニスタンあるいはウクライナ、それぞれの国から我が国に入国してきた今回の事態を踏まえて、入国してきた方々につきましては、申請に応じまして在留資格、特定活動の在留資格を付与しておりまして、これによりまして、一住民といたしまして社会保障の対象ということについては変わりはないわけでございます。

 ただ、それに加えまして、ウクライナ避難民の方々につきましては、先ほど申し上げた経緯も踏まえまして、日本への渡航を切に希望するものの自力で渡航手段を確保することが困難である方々に対する渡航支援でございますとか、避難民の方々の在留資格についての柔軟な対応でございますとか、自治体や企業、NPO、NGO等からの支援申出を一元的に把握するための窓口及び物資、サービスの支援に関するマッチングサイトの開設がございますし、それから、これに加えまして、身元保証人が現にない方々につきましても、私どもの方において、一時滞在施設の確保、生活費や医療費の支給、日本語教室、カウンセリング、受入先となる自治体、団体等とのマッチングなど、受入れ後の各場面に応じた具体的な支援策を実施しているということでございます。

羽田次郎

今の後半の御説明いただいたのは、ウクライナ避難民に対するその支援ということでよろしいんですか。それとも、国に関わらずということでしょうか。

君塚宏 政府参考人

失礼いたしました。

 先ほど縷々(るる)申し上げましたこの出入国管理庁における、縷々(るる)の対応につきましては、ウクライナ避難民に対する支援ということでございます。

羽田次郎

先ほど和田委員からのお話の中で、ウクライナ避難民ですらまだまだその支援内容、不十分な部分ある、先日の予算委員会でもそうした質問がされていたと思いますが、ただ、やはり確かに人道上大変な問題で、命からがら逃げてきたというのは、ウクライナ避難民の方々はもちろん、ただ、日本に協力してきた、そうした外務省の、大使館の職員ですとかJICAの関係の方とかというのは、それも命からがら逃げてきて、その人たちとウクライナの避難民との待遇が違うというのはなかなかどうなのかなというふうに思いますが。

 現在、政府の施設で受け入れているアフガニスタン人の方々と実は先日、金曜日ですけど、私、直接お目にかかってお話を伺ってまいりました。
大使館スタッフとJICA関係者で待遇が結構違うな、JICAの方が比較的手厚い支援をされているなというふうに感じました。
その施設にいらっしゃる方々は、グループとしてではなく個別に外務省の職員の方から呼ばれて面談して、八月末までに、施設から退去をするか有償で施設にとどまるか、早めに申出があれば日本側で渡航費用を負担するのでアフガニスタンに帰国するか第三国に移動するか、選択を迫られているそうです。
繰り返し、日本では難民認定が難しい、言語や習慣の違いで永住するのは困難だと、そういったことも繰り返し繰り返し話されているそうで、先行きについて皆さん本当に不安を抱かれていました。

 日本のために働いて命からがら日本にいらっしゃった方々にそうした申出をしているとするならば、岸田総理の人道外交に傷が付くと思われますが、そうした事実はあるのでしょうか。

西永知史 政府参考人

お答え申し上げます。

 日本に退避をいたしました在アフガニスタン日本大使館及びJICA事務所の現地職員に対しては、これまで給与の支給を伴う雇用を継続するとともに、その家族も含め、居住先や食事の無償提供といった各種支援を提供してきているところでございます。

 一方、退避から一定期間が経過するにつれまして、現地職員の個々の方々の状況や意向は次第に多様化している状況にございます。
日本に退避した大使館現地職員及びその家族のうち約十五名が、またJICA事務所の現地職員及びその家族のうち約十名が自ら希望してアフガニスタンに帰国しているほか、複数の現地職員が帰国を検討しているところでございます。
また、日本において長期的な滞在を希望する現地職員の中でも、日本において新たな雇用先を確保したり身元保証人を見付けるなどして新たな生活の基盤を手に入れた者もいらっしゃいます。

 我々としましては、現地職員の個々の意向を最大限に尊重しつつ、今後の支援の在り方についても並行して検討を重ねているところでございます。

 外務省といたしましては、引き続き可能な支援を提供しつつ、適切に対応していきたいというふうに考えてございます。

羽田次郎

先ほど申し上げたような、八月中に退去するか若しくは家賃を払うか、そんなような質問というか、そういうことを促していったとすると、それが適切な対処なのかどうかというと、何か、私、ちょっと適切じゃないように感じるんですが、その辺の事実関係はいかがでしょう。

西永知史 政府参考人

現在我々が行っておりますような現地職員の方々との個々のやり取りにつきましてはお答えを差し控えたいと思いますけれども、住居にいたしましては、将来的に現在の滞在先からの移転が必要となる場合には、住居面でどのような支援を行うべきかにつき、現地職員の個々の意向や状況も踏まえ、個別具体的な検討を重ねているところでございます。

 いずれにいたしましても、外務省といたしましては、個々の現地職員の意向や状況も踏まえながら可能な範囲の支援を行っていきたいと、そのように考えてございます。

羽田次郎

その個々の意向を私も伺ったんですけど、急に今、一定の給与は、もちろん突然日本も撤退したので、急に仕事がなくなるということで、受け入れた方たちに給与を支払うのは当然、それは当然のことだと思うんですが、ただ、突然出ていって普通の家賃を払ったりとか、あと、どれぐらい滞在するかも分からないのにその住居の契約をするというのは現実的に難しいですし、しかも、日本語の教育とかもそれほどされていない中で仕事を見付けたり保証人を見付けたりということを独自に退避してきた皆さんがするというのは現実的じゃないと思います。

 そうですね、今入国された御家族の中には、中学生までの子供たちは地域の学校に通っているけど、高校生以上は教育も受けられないで、例えば地域でサッカー教室とか課外活動をしたいと言っても、それも禁止されているというふうに伺いました。

 日本語の習得もできず、環境になじめない状況に置かれていて、ただただ無駄に時間を過ごしていると感じているそうです。そうした子供たちや家にとどまっている女性たちへの支援は何かお考えでしょうか。

西永知史 政府参考人

いずれにいたしましても、今委員が御指摘された日本語教育、身元保証、就業等の観点も含めて、個々の、現地職員の個々の意向やその個々の状況を踏まえながら、外務省としては、可能な支援の提供をしつつ適切に対応していきたいと、そのように考えてございます。

羽田次郎

先ほど来申し上げているとおり、先ほど和田委員のお話にもありましたけど、在留資格について、大使館とかJICA関係で雇用関係があった方は、現在、指定書の範囲内での特定活動資格が六か月ごとの更新ということで付与されているそうですけど、今後、長期滞在、私がお目にかかった方たちは長期滞在を希望されてはいるんですが、御家族を含めて指定書の定めがない特定活動が認められるべきだと思います。

 そして、日本語の習得ができないで地域社会との関わりが薄い方々に身元保証人を自前で用意しろというのは、そして就職活動をしろというのはなかなか酷な話だと思いますが、外務副大臣、こうしたアフガニスタン避難民の方々が抱かれているこの先の見通しが立たない現状の不安に対し、政府として今後どのような支援をされていくのか、お考えを伺います。

鈴木貴子 副大臣

先ほど参考人からも答弁をさせていただきましたが、若干私からも補足をさせていただければ幸いです。

 実際問題、小中、いわゆる義務教育の場合には学校へということもありますが、委員御指摘のように高校となりますと、いわゆる試験があっての進学ということで、今現在、実情として高校に進学をしている者、つまり生徒はいないということであります。
ただ一方で、これも全てその個別の、個々人の意向によるところなんですけれども、社会の中で日本語をより学びたいという意向のある者に関しては、実際、そういったその就労希望を、又は日本語学校に独自に通っているという生徒といいますか、そういう若い世代もいるというように伺っております。

 また、先ほどサッカー教室の話も出ましたが、これを、課外活動を禁止をしたという事実はありません。ただ、それぞれのサッカー教室では、そのサッカー教室に入るための、何というんでしょうか、入団テストという技量テストのようなものがあって、その中でいわゆる公正公平に、そのサッカー学校のルールにのっとっての合否というものは存在すると思いますが、外務省としましてそれを禁止をしているという事実はございません。

 また、今後の見通しというところでありますが、もうこれも退避をされてから一定程度の時間が経過をし、まさにその中で個別の意向というものが出てきているということは事実であります。
この事実に鑑みながら、外務省といたしましても、これまでもそうでありますが、これからも個別の皆さんの御意向というものをより細かく丁寧に酌み取りをさせていただきながら、しっかりと支えてまいりたいと思っております。

 なお、外務省のみならず、必要に応じまして他省庁ともしっかりと連携をして取り組んでまいりたいと思います。

羽田次郎

時間となりましたのでまとめさせていただきますが、岸田総理が特に力を入れていられる国際人権問題ですので、一層の御尽力をいただきたいということと、あと、先日来聞いている小松基地での訓練機の事故については、先日報道発表で調査報告されまして、空間識失調という結論だったと思いますが、いずれにしましても、精鋭の隊員が命を落とされたことに対して改めて御冥福を申し上げると同時に、こういった事故が二度と起こらないように、そういう対策しっかりと行っていただきたいということをお願い申し上げ、私の質問を終わります。

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