各常任委員会
今週から参議院でも予算委員会以外の各常任委員会が始まりました。
羽田次郎は、本日昼過ぎより、所属している外交防衛委員会に出席し、大臣所信に対する質疑を行いました。
質疑の中では、“独立国の主権を侵してはならない”という国際法や国連憲章の最も重要な原則を、安保理常任理事国であるロシアが、ウクライナ侵攻という形であからさまに破ったことについて、非常任理事国としてどのような姿勢で安保理に参画し、国連改革に取り組んでいくか、政府に見解を求めました。
その他、トルコ・シリア大地震の日本の対応や、特定秘密漏洩事案についても、政府、外務大臣、防衛大臣に見解を求めました。
羽田次郎
立憲民主・社民の羽田次郎です。
二月六日にトルコ南東部で発生した大規模地震から一か月がたちました。
まず、トルコ、シリアで確認されたおおよそ五万二千人の犠牲者に対して哀悼の意を表します。
トルコの被災状況についてはかなり詳しく報道もされ、国際社会からの支援が続いています。
日本政府は、発災当日に国際緊急援助隊の救助チームをトルコに派遣し、既に数次にわたり医療チームも派遣しています。
先日も、建築・免震・耐震技術等専門家チームが派遣されました。
親日国トルコに対し、命懸けで迅速に対応に当たってくださった派遣員の皆様にも心からの敬意を表します。
トルコの大規模地震に対する技術的な支援は、外務省のウェブサイトで確認できるだけでも一九九九年にトルコ北西部で発生した地震でも行われており、その後も繰り返し実施されています。
そのかいあってか、トルコでは耐震基準が強化されています。
しかし、今回の地震で新しい建物が倒壊した例も多く、基準が徹底していなかった疑いが持たれており、これまでに二百名を超える建築業者や自治体当局者が逮捕されたと報道されております。
技術支援を行っても、不正が横行することで救える命が救えなくなってしまうということは言うまでもありません。
支援をする上でこうした不正に対する対策を講じているのか、外務省に伺います。
林芳正 国務大臣
トルコは一九九九年にも北西部を震源とする地震で大きな被害を受けておりまして、その際にも日本は、国際緊急援助隊を派遣する中で、人命救助に加えて耐震調査また建築物危険度の調査を行うとともに、緊急物資、無償援助等を実施しました。
今次のトルコの南東部を震源とする地震において再度大きな被害が出たことは残念であり、亡くなられた多くの震災被害者に哀悼の意を表したいと思います。
現在、この建築・免震・耐震技術等の専門家チームを派遣いたしまして、被災地の現場調査とともにトルコ政府の復旧復興に向けた技術的な助言等を行っているところでございまして、この度の震災の評価については、今後、同チームの調査結果の精査が必要だと考えております。
もとより、東日本大震災を含め大きな自然災害を経験してきた日本といたしまして、今次震災で被害に遭われた方々に対して最大限の支援を行うべく、発生直後から、国際緊急援助隊の派遣、緊急援助物資の供与、そして国際緊急援助隊の医療チームに必要な資機材を迅速かつ確実に届けるための自衛隊機での輸送など、政府として全力で取り組んできております。
これまでの日本の災害対応、そして耐震等の分野での経験を生かしながら、そして今申し上げました今回の専門家チームの調査結果を踏まえながら、引き続き必要な支援を進めていく考えでございます。
羽田次郎
先ほど、質問の内容としては、やはり、復旧復興の技術支援等も過去に行っていたにもかかわらず、それが生かされてない部分も多々あったのではないかと思いますので、今後、その復旧復興の支援をしていく上でも、そうした不正が起こらないようなその対策ですとか、そうしたことが講じられたのかどうか、若しくは講じることができるのかどうかということをお伺いいたします。
林芳正 国務大臣
先ほどちょっとさらっと申し上げましたけれども、まさにこの震災の評価ですね、これについては、今同チーム、建築・免震・耐震技術等の専門家チームを派遣して現場調査しておりますので、このチームの調査結果の精査が必要だと考えております。
羽田次郎
いずれにしましても、復旧復興支援の後のフォローというのも大変重要だと思いますので、そちらもよろしくお願い申し上げます。
一方で、内戦に苦しむシリアの被災状況に関しては情報が限られています。
首都ダマスカスに送られた各国からの支援物資が、被害が甚大な北西部には反政府勢力の支配下にあるという事情で十分届いていないとの指摘もあります。
EUは、北西部への物資の輸送を加速させるためにシリアへの制裁を一時的に緩和すると表明されました。
シリア被災地域への我が国からの支援状況についてまず御説明をお願いします。
長岡寛介 政府参考人
お答え申し上げます。
シリアにおきましては、正確な数字の把握は困難でございますけれども、報道等によりますと五千九百名以上の方が亡くなられるなど、今般の地震により非常に大きな被害が出ていると承知をしております。
日本政府としては、被災地の方々に最大限の支援を行っていくという考えから、シリアに対して緊急援助物資の供与、それから国際機関、日本のNGOを通じました約一千八百五十万ドルの緊急人道支援を実施してきているところでございます。
今、先生から御指摘ございました甚大な被害を受けたシリア北西部への支援につきましては、トルコからの国境を越えたクロスボーダー支援を含むあらゆる支援が重要と考えておりまして、日本政府としてもシリア政府に対して、地域のいかんを問わず必要とする人々に支援が行き届くよう、繰り返し要請をしているところでございます。
また、このような立場は、安保理の非常任理事国としてロシアを含むほかの安保理理事国にも働きかけをしてきておりまして、今後とも状況を注視しながら適切に働きかけを行っていく考えでございます。
羽田次郎
先ほどEUの制裁措置緩和についてもお話をしましたが、日本として、そういう意味では、シリアに対する制裁措置の状況というのはどうなっているのか教えてください。
長岡寛介 政府参考人
お答えいたします。
我が国としましては、シリアをめぐる国際情勢に鑑みまして、問題の解決を目指す国際平和のための国際的な努力に寄与するという観点から、二〇一一年以降、シリア政府関係者等、これまで合計で五十九の個人、それから三十五の団体に対しまして資産凍結や査証審査の厳格化等の制裁措置を講じてきているところでございます。
羽田次郎
そうした制裁措置が果たして北西部に対する輸送への足掛かり、何ですか、バリアになっているということはないのかもしれませんが、もしEUのように制裁措置を緩和することで多少でも被災地に物資が送られるようになるのであれば、緩和ということも、一時的なその制裁の緩和ということも考えてもいいのじゃないかとも思うんですが、その辺は、外務大臣、いかがでしょう。
林芳正 国務大臣
この危機の発生から十二年目を迎えてなおシリアをめぐる国際情勢に変化がない中で、制裁措置を緩和するということは考えておらないところでございます。
その上で、我が国として、今般のトルコ南東部を震源とする地震を受けて、被災者が必要とする人道支援、また被災地域の一日も早い復旧に向けた支援を実施していく考えでございます。
我が国が講じている制裁措置ですが、シリア政府関係者等の資産凍結等でございますので、これらの措置が今般の地震被害を受けた我が国の支援の妨げになっている、こういう認識はしていないところでございます。
羽田次郎
先ほど参考人からもお話ありましたが、そういう意味では安保理非常任理事国として人道的支援をしっかりと続けていただきたいと思います。
昨年十二月に策定をされた国家安全保障戦略等三文書について、今国会において反撃能力や継戦能力に関する議論が盛んに行われている一方で、国家安全保障戦略には、我が国周辺の厳しい安全保障環境の下で、防衛力を行使することなく国際社会が共存共栄するための外交力の重要性が書かれており、林大臣も先日所信で表明されたとおりです。
同戦略では、ロシアによるウクライナ侵略について、国際社会の大原則が、国際社会の平和及び安全の維持に関する主要な責任を有する国際連合安全保障理事会の常任理事国により、あからさまな形で破られたとの記載があります。
日本は、今年から二年間、非常任理事国の任期中、どのような考えの下で安保理に参画し、どう国連改革に取り組むのか、林大臣の御見解をお聞かせください。
林芳正 国務大臣
今お話がありましたように、安保理がこのロシアのウクライナ侵略、さらには北朝鮮の核・ミサイル活動に対して有効に対応できていないという現状にあり、試練のときにあると言っていいんだと思います。
他方、安保理が各地の紛争の解決などに一定の役割を果たしている、こうした面もありまして、多くの国が安保理になお期待を寄せているということもこれまた事実でございます。
我が国は、安保理非常任理事国として、各国との緊密な意思疎通と丁寧な対話を通じまして、安保理が本来の役割を果たすように協力をしてまいります。
その中で、多国間主義と法の支配に基づく国際秩序の維持強化、これを目指してまいります。
安保理改革についてですが、先般、私が主催をいたしました法の支配に関する安保理閣僚級公開討論におきましても、複数の国からも改革が必要であるとの声が上がったところであります。改革実現のためには、議論のための議論ではなくて、具体的行動としまして文言ベースの交渉、これを開始すべきであるというのが我々の考えでございまして、私も、昨年の国連総会の際のG4、日独印、ブラジルの外相会合において、そのための連携を再確認をしたところでございます。
引き続き、このG4や米英仏、そしてアフリカを含む多くの国々と連携しながら、安保理改革に粘り強く取り組んでまいります。
そして、この安保理改革のみならず、国連の総会ですとか事務総長の役割の強化も含めて、国連全体の機能強化、これにも取り組んでまいります。
羽田次郎
ありがとうございます。
今のお話にもちらっと上がったアフリカに関しても、二月の中旬にロシアの兵器を積んだフリゲート艦が南アフリカ東海岸の港に入港したと報じられております。
ロシア艦はインド洋で南ア及び中国の軍艦と合同海上演習を行ったとされますが、民主主義国家として南部アフリカを主導する南アが専制主義的な国々と軍事的関係を密にしていることについて、政府はどのように分析しているでしょうか。
齋田伸一 政府参考人
お答えを申し上げます。
委員御指摘のとおり、南アフリカとロシアとの間には軍事的な関係がございまして、昨年八月にも南アフリカの国防大臣がロシアを訪問しております。
また、今おっしゃられたとおり、二月十七日から二十七日にかけまして、南アフリカ、ロシア及び中国のそれぞれの軍が合同海上軍事演習を実施したというふうに承知をしております。
我が国といたしましては、両国の軍事的関係、それから当該演習の目的や性質、国際情勢に与える影響等につきまして、情報収集にしっかり努めるとともに、注意深く影響を見極めているというところでございます。
羽田次郎
注意深く見極めているということでしたが、他のアフリカの国々でも民主主義対専制主義の争いに同調しない国も多く見られます。
今後、G7議長国として普遍的価値や法に基づく国際秩序を維持、擁護するため、グローバルサウスと呼ばれる第三勢力に対してどのような姿勢で挑もうとしておられるのか、林外務大臣のお考えをお示しください。
林芳正 国務大臣
この国際秩序の根幹を揺るがすロシアの暴挙に対処する上で、国際社会の幅広い支持と関与が不可欠でございます。
そうした観点から、いわゆるグローバルサウスと呼ばれる、経済的発展を遂げて国際社会における影響力が増している途上国、新興国との関係を強化するということが重要であります。
こうした考えから、二〇二一年の十一月の外務大臣就任以来、個別の会談、また訪問に加えて、昨年八月のTICAD8、そして九月の国連総会、十一月のAPECやG20といった多国間会合の機会も捉えまして、グローバルサウスへの関与に取り組んでまいりました。
こうした各国との対話を通じて再確認いたしましたのは、このようなときだからこそ、我が国は日本らしいきめ細やかな外交、これを主導すべきだということでございます。
G7議長国として、多様性と包摂性、これを重視するきめ細やかな外交を通じて、法の支配に基づく国際秩序の維持強化、これが国際社会全体にとって極めて重要であると、この点を強く訴えていくと同時に、気候変動、エネルギー、食料、保健、開発等のグローバルな諸課題の解決に積極的に貢献してまいりたいと思っております。
羽田次郎
御答弁ありがとうございました。
このまま進めますと、また福山先生同様、浜田大臣の質問をできなくなりそうな感じもありますので、ちょっと質問を飛ばさせていただきます。
浜田防衛大臣は先日の所信表明で、危機管理の要諦は最悪を想定することとおっしゃっていましたが、戦後最も厳しく複雑な安全保障環境に直面する今、想定されている最悪とはどのような状況をお考えなのか伺います。
浜田靖一 国務大臣
所信の中で申し上げた最悪を想定するとは、我が国に対する武力攻撃や侵攻といった事態を念頭に申し上げたものであります。
欧州においては、国連安保理の常任理事国が公然とウクライナを侵略するという事態が起きております。
こうした力による一方的な現状変更が起これば、極めて甚大な人的、物的被害が発生することも明らかであります。所信においても、欧州で起きていることは決して他人事ではないとも申し上げました。
戦後最も厳しく複雑な安全保障環境に対峙する中で、インド太平洋地域、とりわけ東アジアにおいてこのような事態が発生しないよう、力による一方的な現状変更を許容しない安全保障環境を創出するとともに、我が国に対する武力攻撃や侵攻といった事態が生起しないよう、我が国としても同盟国、同志国等と協力、連携して抑止をすること、こうした取組が特に重要であると考えます。
こうした観点を踏まえて、防衛力の抜本的強化を推進し、日米同盟の抑止力、対処力を更に強化し、我が国に対する武力攻撃が発生する可能性を低下させていきたいと考えております。
羽田次郎
今、最悪の想定について、余り具体的な国を想定しているということは多分おっしゃれないというのはあるのかもしれませんが、ただ、最悪の想定、今般、その防衛力整備計画の装備内容でその最悪の想定に対応できるのかどうかということについて私は甚だ疑問を持っておりまして、コマーシャルフライト並みのスピードで飛ぶトマホークミサイルで、核兵器とか、あと極超音速ミサイルとか、そういった武力を保持する国の抑止力になるというのはなかなか考えにくいと思うんですが、浜田大臣の御見解を伺わせてください。
浜田靖一 国務大臣
繰り返しになりますけれども、我が国の防衛政策は、特定の国や地域を脅威とみなし、これに軍事的に対抗していくという発想に立っているわけではなく、御指摘の点についても特定の事象を念頭に置いたものではございません。
その上で、先ほど申し上げたように、安全保障環境に対峙をし、そしていざというときにこの国民の命を守り抜くには、防衛力の抜本的強化は一刻の猶予もない待ったなしの課題であり、国家防衛戦略等において、原油、装備品を最大限活用するため、可動率の向上、弾薬、燃料の確保、主要な防衛施設の強靱化への投資を加速するとともに、スタンドオフ防衛能力といった将来の中核となる能力を強化をすることを今後五年間の最優先課題として取り組むこととしております。
これらの取組を通じ、仮に我が国への侵攻が生起するような事態が生じた場合には、防衛力整備計画に基づいて抜本的に強化された防衛力により、これを阻止、排除し得るものと考えております。
羽田次郎
御答弁ありがとうございました。
装備品の内容については、更に精査をして、しっかり対応できる、ただ必要最小限のものであるということをしっかり考えていただきたいと思いますが、その細かい部分についてはまた改めて質問させていただきます。
最後に、特定秘密漏えい事案について伺います。
昨年十二月に特定秘密保護法違反と自衛隊法違反の疑いで書類送検された元一等海佐について、検察当局が不起訴処分とする方針であると報道されました。
警務隊は起訴を求める厳重処分の意見を付けて書類送検したとのことですが、この事案についての防衛大臣の御見解を、御所見を伺いたいと思います。
浜田靖一 国務大臣
本件事案の検察当局による捜査状況について、また防衛省としてコメントする立場にないことを御理解いただきたいと思いますが、その上で、現職の幹部自衛官による秘密漏えいは、こうした情報を適切に保全管理すべき防衛省・自衛隊の国民の信頼を損ねかねないものであり、極めて遺憾であります。
また、衆参両院の情報監視審査会による勧告は、特定秘密保護法施行以降初めてのものであり、防衛省としても深刻に受け止めております。
大切なことは、このような事案が再び発生することのないよう再発防止を徹底することであり、私の指示に基づき速やかに各種取組を進めております。
さらに、副大臣を長とする再発防止検討委員会において、より実効性のある施策について防衛省全体として検討を進めておるところであります。
我が国の防衛を全うするために、情報保全の徹底が必要不可欠であり、今後、再発防止策にしっかりと取り組み、信頼回復に全力を尽くしてまいる所存であります。
羽田次郎
時間となりましたので、これで終わります。
ありがとうございました。