ホットラインの設置と軍拡競争の危険など
羽田次郎は外交防衛委員会で質問を行いました。
17日にバンコクで行われることが決まった日中首脳会談での議題にすべきとの思いで、中国との不慮の事態が紛争につながることのないようホットラインを早急に設置すること、また、軍拡競争の危険などについて問題提起しました。
日本にとって安全保障上の情報収集・分析能力を向上させることは大きな課題です。一方で、スパイ天国とも言われる日本における機密情報の管理は長年の懸案事項でもあります。国民の命と尊厳を守りながら、自由な発言の権利、発言、表現の自由を守るにはどうすべきなのか?政府による情報開示と丁寧な説明、そして異なる意見を尊重する、実のある議論が必要なことは言うまでもありません。
小野田紀美防衛大臣政務官が、参議院選挙最終盤の7月7日の個人演説会で「スパイ防止法に反対する人ってスパイじゃないでしょうか」と発言しており、その点についても真意を質しました。
羽田次郎
立憲民主・社民の羽田次郎です。
早速質問をさせていただきます。
現在も東南アジア歴訪中の岸田総理ですが、先週金曜日の参議院の本会議の後、外遊に御出発される御予定だと聞いておりました。
しかし、御自身の発言の責任を取って葉梨法務大臣が辞任され、新たに齋藤大臣が就任されるというどたばたの中、分刻みの総理のスケジュールが大きく変更になってしまったと承知しております。
順番が前後して恐縮ですが、二番目の質問からさせていただきたいと思います。
葉梨法務大臣の辞任で大幅に遅れてしまった岸田総理のスケジュールですが、時系列も含めて日程への影響の有無を御説明ください。
實生泰介 政府参考人
お答えいたします。
御指摘の出発時刻の変更のために、二国間会談が、東南アジアでの一連の、カンボジアでのですね、一連の二国間会談が一度キャンセルになったベトナムそれからラオス、ブルネイのいずれについても、さらにその各国首脳との間で、マルチの多国間の会合の前後の機会であるとか、各会合の待合時間などを活用しながら、十分な時間を取って意見交換を行うことができたというふうに承知をしておりまして、結果として当初の目的は果たすことができたというふうに考えております。
羽田次郎
そういう意味では、十一時間ほど遅れたというふうに聞いておりますが、外交日程には影響がなかったということですけど、海外でも分刻みでスケジュール組まれていると思いますので、岸田総理や随行される省庁の皆さん、そして政府専用機の乗務員、自衛官だと思いますけど、そうした皆さんにも少なからず影響があったはずです。
後手後手の政府の対応がこうしたどたばた劇を生んでしまった。こうしたことは、今後は迅速な判断をお願いしたいと思います。
昨日の昼過ぎの質問取りの際の御説明では、日中首脳会談の予定はまだ調整中というお話でしたが、夕方のニュースで、あさって十七日にタイで行われると報道されており、少しほっといたしました。
様々な懸案事項があるとはいえ、中国は日本にとって最大の貿易相手国であり、民間交流も幅広く行われております。
およそ三年ぶりの日中首脳会談ですから、地球規模の課題に対して前向きな協力を醸成していただく機会にしてほしいという願いと同時に、八月四日、米国のペロシ下院議長の台湾訪問に合わせて行われた中国軍による大規模な軍事演習については、改めて毅然とした抗議を行っていただきたいと思います。
九発のミサイル発射のうち五発が日本のEEZ内に着弾した。中国が日本のEEZ内にミサイルを発射するのは初めてのことだと思いますが、これは外交努力、防衛努力によってとどまらせることはできなかったのか、林外務大臣、浜田防衛大臣にお伺いしたいと思います。
林芳正 国務大臣
中国が八月四日に我が国EEZを含む我が国の近海に向けて複数の弾道ミサイルを発射したことは、我が国の安全保障及び国民の安全に関わる重大な問題であるとともに、地域そして国際社会の平和と安定に重大な影響を与えるものでございます。
八月三日に我が国の近海に訓練区域が設定された時点で、政府として中国側に外交ルートで重大な懸念を伝達しました。
そして、G7として中国側の行動への懸念を表明するとともに、台湾海峡の平和及び安定の維持に対するコミットメント、これを改めて確認し、全ての当事者が冷静さを保ち、自制し、透明性を持って行動することなどを促す外相声明というのを発出させていただきました。
さらに、四日、王毅中国外交部長も参加したASEANプラス3の外相会議において、私から、台湾海峡の平和と安定の重要性を説明するとともに、中国側の一連の軍事活動に対する重大な懸念を明確に表明をしたところでございます。
こうした外交努力にもかかわらず、中国側が我が国EEZを含む我が国の近海に向けて弾道ミサイルを発射したということは極めて遺憾であり、発射後に中国側に対して強く非難、抗議したところでございます。
引き続き、関係諸国とも連携しつつ、安全保障分野における様々な対話や交流を通じ、中国に対して国防政策や軍事力の透明性向上、国際的な行動規範の遵守、こういったことを働きかけてまいりたいと思っております
浜田靖一 国務大臣
中国が八月四日に我が国EEZを含む我が国の近海に向けて複数の弾道ミサイルを発射したことは、我が国の安全保障及び国民の安全に関わる重大な問題であります。
防衛省・自衛隊においては、中国からの弾道ミサイルの発射に際しても、情報収集、警戒監視を行い、対応に万全を期していたところですが、具体的な自衛隊の体制についてはお答えできないことを御理解いただきたいと思います。
その上で、一般論として申し上げれば、防衛省としても力による一方的な現状変更は決して許容してはならないと考えております。
その試みも含めて、いかに対応していくか、不断に検討していくことが重要と考えております。
これまでも、米国や同志国といった普遍的価値や安全保障上の利益を共有する国々との緊密な連携を図り、共同訓練・演習などを通じて、あらゆる事態に対処する強い意思と連携を示しているところであります。
防衛省としては、急速に厳しさを増す安全保障環境を踏まえ、引き続き様々な取組を進めてまいりたいと考えております。
羽田次郎
ありがとうございます。
ただ、発射後に、外務大臣非難されたり、外相のその意見を表明されたりということをされたようですが、先方の大使館に連絡しても大使は出てこられずに電話だけの対応であったというふうに報道されております。
そして、そういう意味で、自衛隊と、今後、中国軍との偶発的な衝突を回避するためのホットラインの開設について二〇一八年に合意がされていると思いますが、これ事前通告していないので答えられる範囲で結構なんですが、このホットラインについては現状どうなっているんでしょうか。
増田和夫 政府参考人
お答え申し上げます。
今手元に資料がございませんので、正確なところに関しましては後ほどお答えさせていただきたいと思いますけれども、このホットラインにつきましては極めて重要な連絡手段と考えておりまして、中国側と緊密に連絡調整をさせていただいているところでございます。
しかしながら、コロナ禍の中におきまして、調整が少し時間が掛かっておりますが、今、技術的な点につきまして最終的な詰めを行っているところでございまして、私たちとしましては、このホットラインにつきまして、可及的速やかに設置できるように今最終的な調整を中国側と行っているところでございます。
羽田次郎
まさに偶発的な事態が起きてからでは手遅れですので、是非今回の首脳会談も活用されて、しっかりと運用を始めていただければと考えております。
時間の都合上、問い三は割愛させていただきますので、御用意いただいた部分、申し訳ございません。
中国関係について続けて質問させていただきます。
浜田大臣は、中国について、透明性を欠いたまま軍備を増強していると御指摘され、力による現状変更の試みに対して懸念を表明されていますが、中国の軍事費は日本と比較してどの程度の規模との御認識でしょうか。
増田和夫 政府参考人
お答え申し上げます。
中国の国防費は継続的に高い水準で増加してきており、二〇二二年度の国防費につきましては約一兆四千五百四億元と公表されております。
これを二〇二二年度、令和四年度の出納官吏レートを用いて機械的に換算いたしますと、日本円で約二十四兆六千五百七十七億円となり、二〇二二年度の我が国の防衛関係費である五兆一千七百八十八億円の約四・八倍となるところでございます。
羽田次郎
今お話あったとおり、この軍事費の開きというのは、専制主義的な国家と民主主義国とでは、どんどん拡大することがあっても、なかなか縮まることはないと思いますので、先ほど佐藤理事や小西理事からも関連の質問がありましたけど、しっかりと今後の日本の防衛をどのようにしていくかということを今度の防衛関連の三文書でお示しいただきたいと思います。
先ほどの小西理事の質疑でございましたが、司令官を含む元自衛隊最高幹部が旧統一教会の関連団体で活動されているということがございました。
元自衛官の調査は行わないということでございましたが、民間企業でも、ほかの省庁でも、我々議員であっても、先輩とかOBとか、何か頼まれたりするとなかなか断れないものだと思います。
特に上下関係が厳しい自衛隊、組織の性質上そういう組織だと思うんですが、なおそうした働きかけとかあった場合に断りにくいんではないかと推察いたします。
現役の自衛官、防衛省職員に対し、OBからの陳情、働きかけなどを受けたことがあるかどうかだけでも、まずは匿名でのアンケート調査などして、そうした風潮とか空気があるかないかだけでも御確認されたらどうかと思いますが、その点についてはいかがでしょうか。
浜田靖一 国務大臣
自衛隊員は、自衛隊法第六十一条により政治的行為の制限が課せられております。
また、政治的行為であるか否かを問わず、品位を保つ義務が自衛隊法第五十八条により課せられております。
いかなる個人や団体との関係であっても、自衛隊員である以上、これらの義務を遵守した上で行動することが求められます。
仮にこれらの法令上の義務に違反する不適切な行為が発覚すれば、法令に基づき調査を行う場合がありますが、現時点において、防衛省・自衛隊としてそのような情報に接しておらず、調査を行うことは考えてはいません。
なお、隊員に対しては、各種法令を遵守し、規律違反行為等が生起しないよう、服務指導を行っているところであります。
羽田次郎
今質問の意味は、そうしたアンケートのようなことをするかしないかということをお聞きしたかったんですが、まあ時間の関係もございますので。
先ほど小西理事の資料にもありましたが、この旧統一教会の関連団体、スパイ防止法を強く奨励しておるんですが、このスパイ防止法の必要性について、外務大臣、防衛大臣はどのようなお考えをお持ちでしょうか。
林芳正 国務大臣
政府として、我が国の国内におきまして外国情報機関による情報収集活動が行われているとの認識に立って、必要な対策を講じていると承知しております。
その上で、いわゆるスパイ防止法の必要性については様々な議論があると承知しておりますが、国の重要な情報等の保護を図ることは極めて重要でありまして、引き続き必要な取組の充実強化に努めてまいりたいと考えております。
浜田靖一 国務大臣
いわゆるスパイ防止法の制定の必要性については様々な御議論があると承知をしております。
また、この種の立法は政府全体として多角的な観点から慎重に検討するべきものであり、国民の十分な理解を得られることが望ましいものと考えております。
その上で、防衛省としては、安全保障に関する情報を始め国の重要な情報等の保護を図ることは極めて重要であると考えており、引き続き情報保全のための取組を徹底してまいります。
さらに、関係行政機関と連携して、我が国の重要な情報等を保護するための取組の充実強化に努めていく考えであります。
羽田次郎
このスパイ防止法に関して、小野田防衛大臣政務官の御認識、お考えはいかがでしょうか。
小野田紀美 大臣政務官
先ほど大臣から、防衛大臣から答弁のありました内容と同一の見解を有しております。
羽田次郎
今年七月七日の参議院選の最終盤、小野田政務官の個人演説会で、スパイ防止法に反対するのってスパイじゃないですかと私は思うんですよとおっしゃっております。
ここだけ切り取られそうで嫌なんですけどともおっしゃっていますが、前後を私確認させていただいたんですが、この部分だけが、この部分だけしかスパイ防止法に触れられていらっしゃらないので、どうかそこはお許しいただければと思います。
小野田政務官は政見放送では、日本の文化と表現の自由を守りますとおっしゃられているので、政策への反対表明をスパイと決め付けるのはいかがなものかと思いましたが、この発言の真意と、もし撤回されるおつもりがあるかどうか、伺いたいと思います。
小野田紀美 大臣政務官
御指摘の発言につきましては、先生おっしゃったとおり、過日行われた参議院選挙の個人演説会において一候補者として発言をしたものです。
いずれにいたしましても、現在は、政府の一員として政府と同一の見解を有しております。
羽田次郎
そうすると、今のお考えとしては、スパイ防止法に反対する人をスパイというお考えはお持ちではないという意味でしょうか。
小野田紀美 大臣政務官
一候補者として発言したものを撤回するものではございませんが、いずれにいたしましても、現在、政府の一員としては政府と同一の見解を有しております。
羽田次郎
しつこくお聞きするのもなんですが、政治家としてのお考えとして、そのスパイ防止法に反対する、一つの法案、政策に対して反対する人をスパイと、そのレッテルを貼るようなことというのはいかがと思うんですが、いかがお考えでしょうか。
小野田紀美 大臣政務官
恐れ入ります。 私はここに防衛大臣政務官として答弁に立っておりますので、個人の見解を述べる場ではないと思っております。
いずれにいたしましても、政府と同一の見解を有しております。
羽田次郎
改めて大臣政務官の御見解というのを理事会で協議していただくということでよろしいでしょうか。
阿達雅志 委員長
ただいまの件につきましては、後刻理事会において協議をいたします。
質問を続けてください。
羽田次郎
いずれにしましても、いつかこうしたスパイ防止法に関して再び審議があるかもしれませんけど、活発な議論のためにも、特に発信力のある小野田政務官におかれましては、スパイとかというレッテルを貼るようなことは慎重になっていただきたいと思います。
そして、スパイ防止法の必要性については、先ほど各大臣からもお話あったとおり、賛成をする声もありますが、調査、取材活動、言論、報道活動、日常的会話等の抑制まで、人権侵害につながりかねないという強い懸念を持つ方々も大勢いらっしゃるのも確かです。
ですので、そうしたことも踏まえて、小野田政務官にも是非、その議論をするときに相手がスパイだとか言うようなことがないようにお願いをしたいと思います。
議論すべき課題はたくさんあって、幾つもちょっと残してしまったんですが、時間に、まあ質問ちょっと長くなりそうなんで、ここで終わらせていただきます。
済みません。
ありがとうございました。