ウクライナの復興支援

質問内容

羽田次郎

立憲民主・社民の羽田次郎です。
再び質問の機会をいただきましたこと、御礼申し上げます。

 午前中にも各委員が触れられたとおり、昨夜の十八時、ウクライナのゼレンスキー大統領が心に響く国会演説をなされました。
特に私の印象に残っているのは、ロシアに破壊された町に再び市民が戻ってこられるよう、復興について触れられたところです。
午前中の各委員の質問でも復興に関して触れられたところでございますが、その際、林外務大臣、前向きな御答弁をされたと私は受け止めております。

 昨日、ほかの委員会では、戦後を考えてウクライナの復興支援についてどうお考えかという趣旨の質問に対して林外務大臣は、現時点で復興について検討することはできないという趣旨の御答弁をされておりました。
しかし、昨夜のゼレンスキー大統領による国会演説をお聞きになってから、今からウクライナの復興支援についても考えなければいけないんじゃないかと、そういうふうにお考えが変わったという理解でよろしいでしょうか。

林芳正 国務大臣

先ほど小西委員の御質問にお答えして、あくまで個人的な感想というふうに申し上げました。
政府としては、まずこの侵略を止めるということが何よりも大事であって、制裁を更に何ができるのかしっかり考えていく、そして、人道支援、また避難民の支援等に全力を尽くしていくということが急務であるということは変わっておらないわけでございますが、昨日の演説の中で、ゼレンスキー大統領の演説の中で、まさに時間軸を長く取ってその先に思いをはせるということについて私も大変に心を打たれたということを申し上げた上で、いつそういう状況になるか、早くなってほしいと思っておりますけれども、その次の段階としてはそういう思いを持って臨みたいと、こういうふうに申し上げたところでございます。

羽田次郎

本当に前向きな御答弁をいただき、ありがとうございます。

 そして、午前中、私も、それこそ昨日のゼレンスキー大統領の国会演説に対して岸防衛大臣がどんなお考えをお持ちなのかということ、実は私も通告して質問しようと思っていたんですが、田島先生の質問通告の冒頭にその件がございましたので、もしよろしければ、岸防衛大臣がどういった昨日の国会演説に対する印象を持たれたのか、御感想をいただけたらと思います。

岸信夫 国務大臣

ロシアからの侵略を受けているさなかで、大統領が非常にそういった力に屈することなく前向きな演説をされたということに感銘を受けたところであります。
そして、今も話が出ておりましたけれども、その後の復興についてもお話があったということでございます。

 いずれにしても、ゼレンスキー大統領の国会演説、これは、祖国と国民を守り抜くという大統領の強い決意を改めて感じました。
そして、極めて困難な状況にありながら強い勇気を持って国難に立ち向かうという姿勢に感銘を受けたところであります。
防衛大臣として、我が国の国民の生命そして財産を守り抜く自らの使命に思いを強くしたところであります。

 今回のロシアによるウクライナ侵攻に対しては、国際社会が結束して対応すること、そのことが重要であって、我が国としても、G7を始めとする国際社会に連携をして、ウクライナ、また近隣諸国に寄り添った支援を実施してまいりたいと思います。

 我が国は、ウクライナの国民と共にあります。そして、防衛省・自衛隊として、先日、ウクライナ政府からの要請を踏まえて装備品等をウクライナに提供することとし、自衛隊機等によるポーランドへの輸送を実施をいたしたところであります。

 今後とも、関係省庁と連携を取りながら、できる限りの支援を行ってまいります。

羽田次郎

思っていた以上にしっかりした御答弁をいただきましたことを心より御礼を申し上げます。

 先ほど、今の御答弁の中でも触れていただきましたが、三月八日に防衛装備品移転三原則の運用方針を改正してウクライナへ供与した装備品ですが、三回に分けて輸送機で供与したとのことですが、どれくらいの数量を、そしてどのようなものを供与したのか、もしお答えいただける範囲内でお答えいただけたらと思います。

萬浪学 政府参考人

お答え申し上げます。

 ウクライナ政府に自衛隊の装備品等供与を三月の上旬から開始してございます。
御指摘になりましたように、自衛隊機でございますとか、あるいは米軍機、あるいは民航機も使いまして、今輸送をしているところでございます。

 したがいまして、まだ輸送中のところもございまして、ウクライナ側と調整しながらやっているところがございまして、最終的に全ての量等々につきましてはまだお話しできないところでございますけれど、既に引渡しが済んだ品目で申し上げますと、防弾チョッキ、これが約一千九百着、ヘルメットが約六千九百個、天幕、テントでございますけど二百四十式、カメラが約五十台といったものでございます。

 これはウクライナ国政府に対して引渡しでございまして、引き渡した場所はウクライナの近隣国でございます。
その後、ウクライナ政府の手によってウクライナの中で活用されていくものと承知してございます。

羽田次郎

今御説明にあったヘルメットについてですが、八八式二型というふうにお聞きしておりますが、NATOが採用しているヘルメットと比較するとかなり防弾性能が劣って、AK47などの自動小銃による飛弾からは命を守れないんじゃないかという評価も耳にしております。

 市街戦でロシア軍が使用している兵器はどのようなものが主流というふうに情報をお持ちでしょうか。
もしお答えいただけたら。

萬浪学 政府参考人

お答え申し上げます。

 ロシアが市街戦でどのようなものを使っているか克明には承知してございませんが、ロシア式でということでございますと、御指摘もありましたAK47といったような小銃が使われているものが、使われることが多いのではないかと推察してございます。

 他方で、併せて御指摘のところの八八式の鉄帽、ヘルメットでございますけど、これは自衛隊が使用するに当たっては、自衛隊が使う運用場面を想定して必要な性能を設定しておるということと考えてございます。

羽田次郎

やはりAK47のような自動小銃が使われているということで、そんな中、街では大変ミサイル等により多くの空爆がされているという現実がございます。
その八八式二型ヘルメットのストラップは固定式で暴風の侵入を防ぐ形状のパットがヘルメット内部に付いていないため、付いていないという御説明をいただいておるんですが、爆風を受けたときに頭部とヘルメットの内側の隙間から暴風、爆風が入って、圧力で頭蓋骨を損傷してしまう可能性があるという指摘も聞いております。
そしてまた、爆風が下から入ると、ヘルメットの重みも相まって頸部に重大な損傷を与える可能性もあると。

 そして、防弾チョッキに関しては、陸上自衛隊三型の改良型ということですが、これも、NATOが採用しているものに比較すると、重い上に防弾性能が劣るという評価を聞いております。
もちろん他国の防弾チョッキと強度を比較するなどの検証は当然されていると思いますが、今回供与された装備品で実戦のさなかにいるウクライナ兵を十分に守る役割を果たせているのかどうかという懸念も持っております。

 岸大臣はどのようにお考えでしょうか。

岸信夫 国務大臣

今般ウクライナ政府に提供しているヘルメットと防弾チョッキですが、先ほども説明ありましたけれども、自衛隊の運用場面を想定したものであります。
具体的な性能に関わることにつきましては、自衛隊の能力が明らかになるおそれがありますので、お答えは差し控えさせていただきたいと思います。

羽田次郎

そうした実際に評価もされている部分があるということですが、防衛装備品の性能一つにウクライナの人々の命が懸かっておりますし、もちろん常に我が国の自衛官の命も懸かっているので、もし他国の装備品と比べて日本の装備品が劣るというようなことがあるのだとすれば、早急に装備品の改良、見直しをしていただくことを本当に心よりお願い申し上げます。

 次の質問ですが、現在、退避されずにウクライナにとどまっている邦人はどのくらいいらっしゃるでしょうか。

股野元貞 政府参考人

お答え申し上げます。

 一月時点の在留届ベースで二百五十人でありましたが、三月二十二日時点で確認されている在留邦人数は約五十人となってございます。

羽田次郎

配偶者がいるとか、そういった退避できない理由がある方々多くいらっしゃると思いますので、そうした方々の安全対策、そして安全情報の提供、それをどうされているのか、御説明いただけたらと思います。

野元貞 政府参考人

お答え申し上げます。

 在ウクライナ大使館は、在留邦人の方々に対して、自身の身の安全を最優先とした行動を取ることを呼びかけながら、出国先の入国要件等の情報提供を含む様々な形で情報提供を行い退避を支援しているほか、在留邦人からの個別の相談や問合せに応じてきております。

 政府としましては、在ポーランド日本国大使館及びジェシュフ連絡事務所等を拠点として、引き続き在留邦人に対する情報提供や安全確保、出国支援に最大限取り組んでいきたいと考えております。

羽田次郎

是非、在留邦人の安全確保について、引き続ききめ細やかな御支援をいただきますようよろしくお願い申し上げます。

 先日、岸田首相がカンボジアを訪問した際、カンボジア暫定統治機構で職務の最中に落命された国連ボランティアの中田厚仁氏や文民警官の高田晴行警視のお墓をお参りになられました。
そのときの様子を在カンボジア日本大使館のフェイスブックページで伝えておりますが、三十三歳で殉職された高田警視は一九一八年に五歳で殉職されたと翻訳されていて、また、二十五歳で亡くなられた中田氏は二〇一八年に七十二歳で殺害されたと翻訳されております。
そのほかにも、日本が初めてPKOに参加して実際は三十周年でございますが、そこでは五十周年と翻訳されている。
見れば見るほど本当におかしなことが外務省カンボジア大使館のフェイスブックページに出てしまっていると。
まあフェイスブックの自動翻訳のせいなのかもしれませんけど、何しろフォロワー数が二十三万人、注目の多いこの広報ツールがこのまま放置した状態になって、今日も確認しましたけど、そのままの状態でしたが、そうした誤った情報が伝わってしまうのは問題だと私は思います。

 在外公館の発信力を強化するという視点で今後どのような対応をお考えなのか、外務大臣、お答えいただければと思います。

林芳正 国務大臣

この今御指摘のあったフェイスブックは、日本の外交政策や文化の理解を促進する有効な手段として、カンボジア国民を主要な対象としてクメール語で発信をしておるところでございます。

 このフェイスブックユーザーの設定でこのフェイスブックにて自動翻訳した日本語が表示される場合、これはあるわけでございますので、恐らく今委員がおっしゃっていただいたように、この自動翻訳機能、これが適切に作動しなかったものであろうというふうに理解をしております。

 今委員がおっしゃっていただいたように、これ日本人の方も当然御覧になる可能性があるという観点からも、日本語での表記にも意を用いるべきであったと思っておりまして、いただいた御指摘も踏まえて改善の余地があるかどうか、しっかり検討したいと思います。

羽田次郎

前向きな御回答、ありがとうございます。

 本当に多くの皆さんが困ったときに頼りにして、日本人の方も当然見る可能性があるフェイスブックページだと思いますので、是非そうした改善策、お取りいただきますようお願い申し上げます。

 林外務大臣、岸田首相の外遊と同じタイミングでトルコとUAEを御訪問されました。トルコとロシアとウクライナの仲介に、トルコはロシアとウクライナの仲介に意欲を見せるなど、外交的な存在を高めております。
そんな中で、林大臣が数多くの国の中からこの時期の訪問先としてトルコとUAEを選ばれた理由をお聞かせください。

林芳正 国務大臣

この三月十八日から二十一日の日程で、ウクライナ情勢、そして国際原油市場の安定化、さらにはそれぞれの国との二国間関係の強化、この三点における連携の確認を目的として二か国を訪問いたしました。

 トルコは、ウクライナ、ロシア双方との緊密な関係に基づいて仲介努力を行っておるわけでございます。
私がこの訪問する前によく報道されましたけれども、アンタルヤという場所がこのチャブシオール外務大臣のお地元ということもあって、そこでということに向こうの要請でなりましたが、その同じ場所でアンタルヤのこの安全保障に関するフォーラムがあって、実はその場を利用して三大臣、仲介といいますか、ロシアとウクライナとそしてトルコの三大臣会合があったと、こういうことでございました。
その後、チャブシオール大臣は、ロシアとウクライナをそれぞれ訪問されておられます。

 こうした状況の中でトルコを訪問して、昼食も挟みながらかなり長い時間掛けて意見交換を行いまして、トルコが今まで果たしてこられた外交努力についてかなり詳細な御説明、賜ることができました。こうした取組に対して、私からは深い感謝と敬意を表したところでございます。

 また、このUAEでございますが、ウクライナ情勢、そして原油価格高騰、これはウクライナ情勢の前から原油価格が高めに推移しておりましたが、今回の情勢を受けて更にこの高騰という状況でございますので、そういった問題で連携をするために参ったわけでございます。

 アブダッラー大臣とはそういう原油市場についての意見交換もすることができ、先方からはそういった観点で日本をしっかりとお支えするというようなことも、この発言をいただいたところでございます。

 なお、少し時間もありまして、またアブダッラー外相御本人が万博を、日本館にも来ていただいたということも踏まえて、私もアブダビからドバイまで車で移動いたしまして、日本館と、そしてUAEのUAE館と、そして連帯を示すという意味でウクライナ館、訪問することができたということも御報告したいと思います。

羽田次郎

大変詳細な、この短期間の間にそうした深い意思疎通を行われたこと、本当に大変だったと思いますし、お疲れのところをこうして質問にお答えいただいていることに感謝申し上げます。

 そのまさに御地元でランチを御一緒されて、仲介外交について等たくさん意見交換をされたこのトルコのチャブシオール外相は、二十日に、これまでのやり取りを通して言えることは、ウクライナ、ロシアのこの両国が基本的な点で合意に近づいていることというような見方を示されたと。
その直近で外務大臣と会食もされて会談をされた、そしてそのチャブシオール外相はその後ロシア等に行かれたということですが、そのチャブシオール外相の合意に近づいているという見解、林外務大臣もそうした御認識でしょうか。

林芳正 国務大臣

先ほど申し上げましたように、チャブシオール外相がこのロシアとウクライナ御訪問されたのは私の訪問の前でございまして、三大臣をやって、それぞれ訪問された後のタイミングでお会いできたということでございました。

 先ほど申し上げましたように、そこに至るトルコのいろんな仲介を含めた外交上の努力について詳細な説明をいただいたわけでございますが、その中身をなかなか、相手がおっしゃったことということもあり、外交でございますから、詳細に申し上げることはできないわけでございますし、また、外相がその後、二十日でございますかね、今おっしゃっていただいたように、おっしゃられたことに私としてコメントを差し上げるということは控えさせていただきたいと思います。

羽田次郎

外交上の問題でございますし、認識はどうあれ、やはり一日も早く停戦、そして終戦が迎えられることをお祈り申し上げると同時に、引き続き林外務大臣に御努力いただけたらと思います。

 次に、本題の在日米軍駐留経費負担特別協定についてお伺いいたします。

 この特別協定の内容は、日米地位協定第二十四条のいわゆる日米の経費負担原則の特例を定めたものです。
これまでの特別協定は、解釈上、施設及び区域等に含まれるとは解せない基地労働者の労務費や光熱水料等、そして訓練移転費等を特例的、限定的、暫定的な措置として認められてきたとの認識です。

 しかし、今回追加された訓練資材調達費は、米軍が戦闘訓練に用いる資機材を日本が負担するものであり、日米地位協定二十四条の特例といった範囲を超えているように感じます。政府の見解をお聞かせください。

林芳正 国務大臣

我が国は、昭和六十二年度以降、在日米軍の円滑かつ効果的な運用を確保するために、その時々の日米両国を取り巻く諸情勢に鑑み、日米地位協定の第二十四条に定める経費負担、この原則は原則として維持しながら、あくまでも暫定的、限定的、特例的な措置として日米地位協定の特則である特別協定を締結して、日米地位協定により米側に負担義務がある経費の一部を負担してきております。

 この新たに項目として追加された訓練資機材調達費でございますが、この訓練を通じて米軍が各種技能の維持向上を図るということが即応態勢という軍隊の機能を維持する上で不可欠の要素でございまして、軍隊として当然に行うことを前提としている諸活動の一つであるということに鑑みれば、日本に合衆国軍隊を維持することに伴う経費の一部と考えられるわけでございます。
そして、そのような経費はあくまでも日米地位協定の下ではアメリカ側に負担義務があるということでございますので、この同協定の特則である特別協定の下で日本側が負担することとしたということでございます。

 したがいまして、今回の特別協定の内容、これ、地位協定第二十四条の特例の範囲を超えないものというふうに認識しております。

羽田次郎

今回の調達費に関して、負担する資機材と負担しない資機材の線引きについて田島委員からも午前中に御質問ありましたが、核兵器について、そうしたものはあり得ないという御答弁ございましたが、調達費を用いて訓練用の戦闘機等が購入されるということはございませんでしょうか。

岸信夫 国務大臣

訓練資機材、すなわち特別協定で規定している訓練能力に関連する資機材とは、在日米軍が各種技能の維持向上を通じて即応態勢という軍隊の機能を維持するために必要な訓練を実施する能力を向上させることを目的とした資機材のことであります。
したがって、協定上はこのような資機材が調達の対象となるわけでございます。

羽田次郎

その訓練用の戦闘機というのは含まれるのかどうかという質問なんですが、いかがでしょう。

岸信夫 国務大臣

日米間で協議を行った結果、現時点では、ネットワークを介して複雑かつ大規模な訓練を実施するためのシステム機材と戦闘射撃能力を向上するための標的装置、また実践的なサイバー対処訓練を行うための機材、この三つを挙げておるわけでございますが、こういった資機材の調達を想定しておるわけでございます。

羽田次郎

はい。

 時間となりましたのでこれで終わりにしますが、もちろん日米同盟は日本の存立にとって重要な同盟であることは私も承知しておりますので、今後ともどうぞよろしくお願いします。

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