決算委員会

羽田次郎は、昨日の決算委員会で質問。

航空自衛隊の搭乗員が遭難した時に遭難位置の特定が容易な信号を発信する練習機等用の個人携帯用救命無線機を調達したが、検討が不十分で着水後に正常に機能しない可能性があること、また、翌年度に再び不適切な新無線機を購入した理由などについて質問しました。

岸防衛大臣は「全く情けない話で、今後は再発しないように対策する」と答弁。

調達した515個のうち496個が使用されておらず、1億4757万円が不当な使われ方をされていることが明らかになっています。

地味なテーマですが、国民の税金の使われ方を細かくチェックし、適切なものに変えていくのも参議院議員の大切な役割です。

羽田次郎

立憲民主・社民の羽田次郎です。
再び質問の機会をいただきましたこと、まず御礼を申し上げます。

 そして、いつも外交防衛委員会においてお世話になっておる林外務大臣、そして岸防衛大臣におかれましては、本日も御答弁をよろしくお願い申し上げます。

 質問通告表とは順序が変わりますが、まず国際機関における日本のプレゼンスについて、ただいま大野先生からも御質問ございましたが、私もJICA推進議員連盟に入れていただいておりまして、JICAとまた別の視点から質疑を進めたいと思います。

 国際連合を頂点とする一九四五年からの基本的な国際秩序は、プーチン大統領のウクライナ侵略による挑戦を受けています。
民間人への無差別攻撃などウクライナ国内での明らかな戦争犯罪のみならず、物価高騰により発展途上国の人々の生活を脅かす、開発途上国に対する静かな攻撃であると国連のグテーレス事務総長は指摘していらっしゃいます。

 国連安全保障理事会が機能していない、国連改革が必要だという声だけでなく、国連に代わる新たな組織が必要だという声まで世界各国から湧き上がっております。
しかし、こうしたときこそ国連について落ち着いて考える必要がある、私はそう考えております。

 国連憲章は、その前文において、まず基本的人権と人間の尊厳及び価値と男女及び大小各国の同権を示し、次に、正義と国際法の源泉から生ずる義務の尊重を維持することができる条件の確立を、そして、一層大きな自由の中で社会的進歩と生活水準の向上とを促進することを掲げています。

 世界の現状を見れば、ウクライナのみならず、イエメンやエチオピア、ミャンマー等でも人々は武力紛争に倒れ、そうした中で食事もできず、心身が休まることのない日々を送っているはずです。
だからこそ、今、国連は一層の努力をし、踏みとどまらなければなりません。

 第二次世界大戦が終結して十一年目に当たる一九五六年、昭和三十一年の十二月に日本が国連に加盟を認められたとき、時の重光葵外務大臣は、日本国憲法前文を読み上げた上で、次のように述べられました。以上は日本国民の信条であり、日本国憲法の前文に掲げられたところであります。
この日本国民の信条は完全に国際連合憲章の目的及び原則として規定せられているところに合致するものであります。  それから六十六年後の今日、日本は国連でどのような役割を果たしているのでしょうか。
しばしば、日本は分担金や拠出金において多く貢献していると言われます。
二〇〇〇年のピーク時に比べますと現在はその半分以下の分担金になっているとはいえ、それでもまだ重要な貢献をしていると考えられます。

 しかし、国連が担っている世界のルール作りとその維持、また世界の様々な弱者に具体的に手を差し伸べるという実際の活動を担うのは人、人材であります。
一人一人の人間が汗をかき、またリーダーとして人を束ねてこそ大きな活動ができるのではないでしょうか。

 以上の問題意識の中で、日本政府が行っている財政的な貢献だけでなく、人間一人一人の力に焦点を当ててお尋ねいたします。

 まず、国際機関で働いている日本人の人数、できれば世代別の人数も教えていただけると助かります。

股野元貞 政府参考人

お答え申し上げます。

 外務省調べでは、二〇二〇年末の最新値で、JPO、ジュニア・プロフェッショナル・オフィサーを除いて計九百十八名の日本人職員が国連関係機関で勤務しておりますが、日本人職員のそれぞれの年齢につきましては外務省で逐一把握しているものではございません。

 その上で、このうち、一般的に国際機関においてエントリーレベルとされ、若手職員が多いとされる等級でありますP1、P2レベルにつきましては八十七人、これに加えまして、国際機関の若手人材派遣制度でありますJPOとして百四十四人の邦人職員がP2レベルで派遣されております。 

また、中堅レベルとされるP3からP5の邦人職員は七百四十三人、幹部レベルでありますDレベル以上の職員は八十八人となっております。

羽田次郎

どういった年代の方が多いのかという部分、関心があるのでございますが、そうしたデータを取れないということであれば仕方ないと思っております。

 日本人職員は現場での活動、フィールドワークも多いと聞いておりますが、どのような事例があるのか、教えていただけたらと思います。

股野元貞 政府参考人

お答え申し上げます。

 委員御指摘のとおり、ニューヨークやジュネーブ等の国連、国際機関本部のみならず、開発途上国を中心とする世界各地で日本人の国際機関職員が活躍しているところでございます。

 例えば、平原弘子氏は、リベリア、ダルフール、キプロスのPKOミッションで勤務した後、国連南スーダン共和国ミッション、UNMISSのユニティ州事務所を勤めていらっしゃいます。
同所長は、現地政府と連携し、人権やジェンダー平等にも配慮して現地のコミュニティーに対する支援を行っております。
また、UNDPインド常駐代表の野田章子氏は、新型コロナ感染症がインドを含む全世界で流行する中で、在宅勤務となった総勢五百人のUNDP職員の安全を確保しながら、プラスチック再利用プロジェクトなど、インドに対する支援を進めております。

 若手の日本人職員の活躍の例としましては、国連WFP在ケニア東アフリカ地域事務所でJPOとして活躍後、最近、バンコクのWFPアジア太平洋地域事務所に正規職員として赴任した田島大基氏がいらっしゃいます。
大手銀行を経て、財務と会計の専門家としてバンコクでも引き続き予算プログラム担当官として御活躍中でございます。

羽田次郎

ありがとうございます。

 国連本部や専門機関の本部等で勤務する日本人管理職の人数はいかがでしょうか。管理職の日本人は例えばどのような部署にいるのでしょうか。
また、そのうち、若いときに国際機関に入り、努力と経験を重ねて幹部職員になった方はどのくらいいらっしゃるのでしょうか。
お答えください。

股野元貞 政府参考人

お答え申し上げます。

 外務省の調べでは、二〇二〇年末の最新値で八十八人の日本人職員が国連機関、関連機関のDレベル以上の幹部職員として在職しております。

 また、御質問のありました主な国際機関といたしましては、例えば、アンドック、国際薬物犯罪事務所ですとか、それからUNCTADといったところで御活躍されている方がおります。

 それで、御質問いただきました若手のJPO制度からそのままDレベル以上の幹部職員に至った日本人の職員でございますけれども、人数で申し上げれば、幹部職員八十八人のうち三十八人がJPO出身でございます。

羽田次郎

ありがとうございます。

 これまでしばしば国際機関で働く日本人が少ないという議論を耳にしておりますが、その背景として、第一に、そもそも国際機関で働きたいと希望する学生や若年層がそう多くないのではないかと考えられますが、その実態というのはいかがでしょうか。

股野元貞 政府参考人

お答え申し上げます。

 日本人の職員数が少ないかどうかにつきまして、職員数の増減、これは様々な要因が絡むために一概にお答えするのは難しいところでございますが、国際機関でのキャリアを含む、に挑む多くの日本人を支援してきた外務省の経験を踏まえて申し上げますと、一つにはやはり言語のハードル、これが影響は少なくないと思われます。
また、国連関係職員として勤務する場合、英語に堪能であることが前提であり、特に英語による高い文書作成能力が求められます。
加えて、通常、国連公用語としてもう一つの言語の習得が求められる、こうした言語の要件は多くの日本人にとって高いハードルになっているものと思われます。

 また、もう一つの理由としまして考えられますのは日本と国際機関における雇用慣行の違い、この影響も無視できない可能性がございます。
国連関係機関でキャリアを積む場合、いわゆる欧米型のジョブ型雇用が基本となり、ポストごとに採用と離職を繰り返す、すなわち関係する機関を渡り歩きながらキャリア形成をすることとなります。
欧米諸国出身者の多くはそうした雇用形態に慣れ親しんでおりますが、日本人の多くにとっては、そうした雇用形態を取る国連機関、関係機関でキャリアを始めること、このハードルは低くないと考えられると思っております。

羽田次郎

ありがとうございます。

 今御指摘あったとおり、希望者が必ずしも多くない理由の第二としては、二十四時間三百六十五日、国連の公用語の世界にどっぷりとつかりながら専門的な職場で切磋琢磨して競争に打ち勝っていかなければならないことが挙げられると思います。

 今おっしゃられた英語、フランス語、ロシア語、中国語、スペイン語、アラビア語という国連公用語を母国語とする人たちには問題がありませんし、英語を母国語としない国の多くでは教育が実践的で、流暢な英語を使いこなす方が多い印象です。

 翻って、日本の英語教育を俯瞰しますと、改善の努力は見られますが、相変わらず長文読解や重箱の隅をつつくような文法重視のようにも感じられます。
高校などでは英語以外のヨーロッパ言語の教育が減少していて、その背景の一つに、大学受験で選べる外国語の選択肢が限られていることも見て取れます。

 以上、私見を述べさせていただきましたが、文部科学省の御見解はいかがでしょうか。

森田正信 政府参考人

お答え申し上げます。

 今、大学入試における英語以外の外国語の受験についてお尋ねをいただきました。

 大学入試センターが実施しております大学入学共通テストでは、英語以外にドイツ語、フランス語、中国語、韓国語の出題を行っているところでございます。
また、各大学の個別入試におきましても、英語以外に、これは大学によりますけれども、やはりドイツ語、フランス語、中国語、韓国語といった外国語の出題を設定している大学もあるところでございます。

 どのような科目を課すかについては、各大学の入学者受入れ方針に基づいて各大学で判断し実施されているところでございますが、ただいま申し上げましたように、英語以外の語学についても入試科目として設定されている実態はあるというところでございます。

羽田次郎

お答えありがとうございます。

 韓国語とかドイツ語というのはやはり国連の公用語にはなっていないので、そういった意味でほかの、世界で見たらやはりスペイン語ですとかアラビア語も話す方多くいらっしゃると思いますので、そういう意味では、日本もまだまだそうした幅広い語学に対する教育というのを進めていかなければならないんじゃないかなと私は考えております。

 現在のコロナ禍という特殊事情は別にして、国際機関での勤務を志望する若者が増えない第三の理由として日本社会のシステムに課題があるからだという御指摘、先ほども参考人の方からお話もありましたが、そういった指摘もございます。
すなわち、一たび海外の国際機関に出てしまうと日本に戻って転職することが困難なため、一生海外に暮らし、家庭も海外で築かざるを得ず、年を取った親の介護も難しい。
ここは転職を繰り返しながらキャリアアップする欧米人とは大きく違う点だということは、先ほどの参考人のお話とも一致すると思います。

 転職によるキャリアパスの受皿として、大学、NGO、シンクタンク、一般企業などの硬直的人事政策に原因があるのではないでしょうか。この点について経済産業省の御見解はいかがでしょうか。

蓮井智哉 政府参考人

お答え申し上げます。

 御指摘の国際機関での勤務を始めとするグローバルな職務経験や学び直しによるスキルや能力の向上、こういったものを企業が適切に評価すると、あるいは先ほどおっしゃったNPO等も含めて適切に評価するということは、まさにグローバルな経済動向など急速に今変化する経営環境に企業が対応し、特に国際競争力を維持強化する、こういった観点から、あわせて、日本社会で働く個人の能力が十二分に発揮されると、こういった観点、こういった両方の観点からも非常に重要だと認識してございます。

 経済産業省といたしましては、人材を資本として捉えまして、その価値を最大限に引き出すいわゆる人的資本経営、これ今推進しているところでございます。
その具体化と実践に向けまして、昨年七月に検討会を立ち上げまして投資家や企業の経営者に御議論いただきまして、今年の三月に報告書の案を提示しているところでございます。

 これにおきましては、自社の競争力を高めるためには多様な知や経験を持つ人材を受け入れて生かすということが重要であること、さらに、学び直しによるスキル、専門性の獲得につきまして、その成果に応じてキャリアプランや報酬等の処遇に反映することが重要だといったことをまとめてございます。

 また、御指摘ありました、先ほども政府参考人の方から御答弁ありましたけれども、我が国においても、だんだんジョブ型雇用というのが一部進み出しています。
ある大手企業の方をヒアリングしたところによりますと、実はそのジョブ型雇用をしていかないと有為な人材が採れないという面も出てきているというふうに聞いてございます。

 こうした中で、この報告書の内容をしっかり、産業界に対してしっかりと発信をしていきたいと思っておりまして、それにより、国際機関による勤務を含めました多様な職務経験や学び直しの成果が適切に評価され、処遇に反映されるような環境を整えてまいりたいと考えております。

羽田次郎

今参考人からお話あったとおり、企業も多様性、ダイバーシティーを重視する経営方針を取り始めているとも聞いております。
ただ、そうしたダイバーシティー経営は、ジェンダーやマイノリティー、障害を持つ方々に焦点が当たり、もちろんそれは大変重要なことだと思いますが、他方において、国際機関など海外で活躍してきた優秀な人材を使いにくいといった固定観念で見ているようにも感じられます。
いろいろと申し上げましたが、日本社会の硬直性ないしは排他性が、海外で活躍しようとする若者の意識醸成の妨げになっているのではないかと考えております。

 そのような状況にもかかわらず、国際機関を目指す若い人が大学などで真剣に学んでいることも事実としてございます。
こうした若者の国際機関就職を応援する制度としてJPO派遣制度、先ほどもお話ありましたが、ございますが、その予算はかつて大幅に削減されたと聞いております。
令和四年度予算においては、国際機関における邦人職員増強のために二十七・二億円を計上しておりますが、JPO予算の過去の推移及び今後の方針について外務省にお伺いいたします。

股野元貞 政府参考人

お答え申し上げます。

 お尋ねのJPO予算につきましては、厳しい財政状況にもかかわらず、令和四年度は約二十五・四億円と、令和三年度の約二十三・四億円に比べて二億円の増額となってございます。

 外務省としましては、引き続きJPO事業を通じた日本人職員の派遣を進めていくとともに、今後も時代の要請に合わせて必要な予算を確保してまいりたいと考えております。

羽田次郎

まさにこれからの国際貢献をする人を育てるためにも、是非そうした予算の獲得に取り組んでいただきたいと思います。

 先ほど御答弁を聞いていても、国際機関における日本人幹部職員はまだ人数的には少ないと考えられます。
ですので、しかるべき人材を国際機関幹部として送り込む必要があると考えますが、国際機関の長には、例えばエチオピア出身のテドロスWHO事務局長のように、諸外国には閣僚経験者で国際機関のトップを務めている方も多いと認識しております。実態はいかがなんでしょうか。
また、そうした点も含め、今後日本人の国際機関トップを獲得するために政府として戦略的に動かれているのか、その点については外務大臣にもお伺いしたいと思います。

林芳正 国務大臣

国際機関の職員、これは中立的な存在であるということが求められる。
その一方で、やはり日本人の幹部が世界で活躍するということで国際機関との連携がしやすくなり、また、そうした職員が日本の顔というふうになっていきますことから、政府としても国際機関のトップ、幹部、このポストの獲得を重視しております。

 今年の一月に、万国郵便連合ですが、この国際事務局長に目時政彦氏が就任をいたしました。また、世界税関機構やアジア開銀などの国際機関においても日本人のトップが活躍しております。

 やはり、こうしたトップポストを獲得するためには、今委員からるる御質問いただきましたけれども、知識、経験、語学力、マネジメント能力と、こういったものが兼ね備えた人材の育成が必要であるというふうに考えております。
その経験の中で、今お話がありましたように、閣僚ですとかそういうものも経ていろんなところに活躍をしておられる方が海外にはいらっしゃると。
この間もNATOに行きましたけれども、ここのストルテンベルグ事務総長、これ首相経験者でございます。
まさにヨーロッパでちょうちょうはっしの外交を展開しているというような中からそういう方が出てくるということもあるわけでございます。

 その元になるやはり、先ほどJPOの話もしていただきましたけれども、やはり裾野を広げませんとなかなか山は高くならないわけでございますので、そういった意味でも、JPOや将来の幹部候補になり得る中堅レベルの邦人職員、これも進めていかなければならないと、こういうふうに思っております。

 そういう意味で、内閣官房と外務省が共同議長として開催をしております関係省庁の連絡会議というのがございますが、こういう枠組みを活用しながら、国際機関のトップポストの獲得に向けても戦略的に取り組んでまいりたいと考えております。

羽田次郎

ありがとうございます。

 私、ずっと前になりますが、EUの視察に秘書として付いていったことがありまして、その際に、林先生が堪能な英語力で現地で、現地のEUの議員の皆さんと活発に議論されていたことを思い出します。
そういうことを考えると、まだ林大臣はこれから総理も目指してそれを達成されると思いますが、その先に是非、国際機関のトップを務めるということも視野に入れて今後も御活躍していただきたいと念じております。

 冒頭に引用した重光外務大臣の国連演説はこう結ばれております。
我が国の今日の政治、経済、文化の実質は、過去一世紀にわたる欧米及びアジア両文明の融合の産物であって、日本はある意味において東西の懸け橋となり得るのであります。
このような地位にある日本は、その大きな責任を十分自覚しておるのであります。
私は本総会において、日本が国際連合の崇高な目的に対し誠実に奉仕する決意を有することを再び表明して、私の演説を終わります。このように決意表明をされました。

 情勢が緊迫する今こそ、国際社会で貢献するより多くの人材を育成せねばならないという宿題が私たちに課せられていると受け止めています。林外務大臣も一層の御注力をお願いいたします。

 次に、航空自衛隊の練習機で使用するために調達した個人携帯用救命無線機の寸法などが不適切であったことで使用されていなかった問題について質問させていただきます。

 航空自衛隊は、搭乗員が遭難したとき、救難信号を発信し遭難位置を知らせると同時に、捜索機と無線によって送受信するための機器を平成二十九年度と三十年度に調達いたしました。
金額とその契約内容からして、これは先ほど宇都先生が御説明くださったリボ払いではなく物件費に当たるのだと思いますが、平成二十年に航空法改正で遭難位置の特定が容易な四百六メガヘルツでの発信が義務化されたことを受けて、まだその法改正に対応していなかった練習機等について無線機を更新するというわけであります。

 しかし、この新無線機の調達要求事項が実際に使用できる寸法や機能になっていなかったため、二か年にわたり使用できない無線機を購入していたことを会計検査院に指摘されました。

 調達した無線機が収納できない大きさであったことで使用できない状態だったことは、ある意味不幸中の幸いです。
調達した無線機は遭難者がパラシュートで降下中に収納袋から飛び出す仕様だったので、無線機を係留するひもとほかの救命装備品が絡まり、送受信用のアンテナが水面下に沈下し、送受信できなくなる可能性がありました。
これはもう遭難者にとっての死活問題でございます。

 いずれにしましても、寸法の問題も仕様の問題も驚きに値するずさんなミスですが、そうした基本的な寸法や仕様を確認せずに無線機を調達した原因は何だったのでしょうか。

坂本大祐 政府参考人

お答えを申し上げます。

 ただいまお尋ねの無線機についてでございますけれども、無線機を調達するに際しましてはまず仕様を定めることになりますが、この仕様を定める際に、航空機の機種ごとの運用、特徴、こういったものを踏まえて、適切な作動方式、それから収納方法をよく検討する必要があったところでございますけれども、これが不十分であったということでございます。

 これを受けまして、現在、航空自衛隊におきましては、新しい無線機の収納方法などを改善、改修をする、その上で早期の使用開始を図るよう努めているところでございます。

 また、再発防止といたしまして、問題点を教訓事項といたしまして部内でしっかりと周知をするとともに、教訓事項を踏まえたチェック体制を強化することで再発防止を図ってまいりたいと、このように考えてございます。

 防衛省といたしましては、今後同様の事態が生じないよう改善に努めてまいりたいと考えてございます。

羽田次郎

これ通告をしていないので恐縮なんですが、平成二十年に航空法によってその電波が改正されておるんですが、それで義務化された無線機の周波数についてそもそもこの平成二十九年まで更新していなかった理由というのも、もしお分かりになれば教えてください。

坂本大祐 政府参考人

お答え申し上げます。

 ただいま先生御指摘のとおり、法改正ありましたのは平成二十年でございます。
この際に、無線機をいつまでに交換、換装しなければいけないのかという期限は特に定められていなかったと承知をしております。
現在も使用しておりますけれども、練習機等の救難用の無線機、使用可能な状態でございます。

 そういったこともございまして、どのような無線機を購入するのか検討した上で調達をしたわけですが、少し時間が掛かったという事情でございます。

羽田次郎

しっかり時間を掛けて検討されたその無線機が仕様もサイズも違っていたというのは何とも残念な話ではございますが。

 それでは、その二十九年度に調達してその不備のあった無線機というのをなぜまた三十年度再び調達したのでしょうか。

坂本大祐 政府参考人

 お答えを申し上げます。

 初年度に納入されました新無線機、これ平成三十年の二月に納入をされてございます。
その後、同じ三十年の十一月に次の無線機を調達するため契約をしているところでございますけれども、この契約をした後に運用に支障が生じるおそれがあるということが確認をされたところでございます。
結果的に初年度と同じ仕様の新無線機を調達することになってしまったという事情でございます。

羽田次郎

まあ何とも言えないですが、いずれにしても、納品された五百十五個の無線機のうち四百九十六個が使用されていなかったということですが、残りの十九個はどうなったのか。
そして、四百九十六個の未使用品について、先ほど改修するというお話もございましたが、入れ物の大きさとか無線機の大きさとかを調整して令和三年度中に使えるようにしたいというのが防衛省の意向であったという新聞記事もあったんですが、その後その未使用品はどうなったのか、御説明いただけたらと思います。

坂本大祐 政府参考人

お答えを申し上げます。

 ただいま先生から御指摘ございましたとおり、五百十五個の無線機を調達いたしまして、練習機や輸送機など五つの機種で使用することにしていたところでございます。
このうち、二つの機種に使用いたします十九個につきましては、収納等の問題がございませんでしたので使用することができているという状況でございます。
残りの三機種に使用いたします四百九十六個の無線機につきましては、収納であるとか問題がございましたために、現在、何とか目的どおりに使用するために、経済性も踏まえまして必要な改修、改善の検討を実施しているところでございます。
その結論が出次第、速やかに改修を実施した上で早期の使用開始を図ってまいりたいと、このように考えてございます。

羽田次郎

いろいろと本当に思うところはございますが、今年の一月三十一日に訓練中のF15戦闘機が墜落して二名の精鋭パイロットの命が失われた事故について外交防衛委員会でも質問させていただきましたが、どれだけ熟練したパイロットが操縦していても事故は起きるというつらく厳しい現実を突き付けられました。
調達段階における不注意が原因となり人命に関わる装備の更新が遅れることなどあってはならないと言わざるを得ません。

 会計検査院に不当事項と認定されたこの事案について、岸大臣の御見解を伺います。

岸信夫 国務大臣

全く情けない話でございます。

 個人携帯用の救命無線機は、航空機の搭乗員が遭難した場合にその生命、安全を守るための重要な装備品であります。
現行の無線機の後継機として調達した新無線機の四百九十六個については使用が開始できておらず、調達の、本来の調達の目的を達していないとして不当と認められるとの指摘を受けたところであります。

 これを受けて、航空自衛隊において、新無線機の収納方法を改善して、改修して早期の使用開始を図るほか、問題点を教訓事項として周知するとともに、教訓事項を踏まえたチェック体制を強化することで再発防止を図ってまいります。

 防衛省としては、今後、同様の事態が生じないよう改善に努めてまいります。

羽田次郎

私以上に現役の自衛官の皆さんや防衛省の皆さんがこの件に関しては痛恨の極みだと感じているとは思いますが、是非そうした再発防止策を徹底していただけますようお願い申し上げます。

 残りの時間で、先日、外交防衛委員会でもテーマになりましたウクライナ避難民輸送に関連して幾つかお伺いしたいと思います。

 岸田首相の特使として四月二日、林外務大臣はワルシャワを訪問されました。
その際、避難民の方々を輸送する根拠となる条文について参考人の御答弁が多少混乱していたように思われますが、改めてその根拠条文について御説明いただくと同時に、まず、林外務大臣、政府専用機とその予備機の二機でワルシャワを往復されたと承知しておりますが、避難民の方々は予備機に、林大臣は政府専用機に搭乗されていたのだと聞いております。
その場合、自衛隊法百条の五だったと思いますが、その条文を援用してそもそも輸送できるのかどうかという部分についても御説明いただけたらと思います。

田部井貞明 政府参考人

お答え申し上げます。

 お尋ねのウクライナ避難民につきましては、輸送対象者たる総理特使の任にある外務大臣が来日に向けた調整を行う等の公務を遂行した結果、外務大臣に同行して来日することとなったものです。
これを踏まえ、避難民につきましても、自衛隊法第百条の五の国賓等の輸送の規定に基づき運航する政府専用機に同乗させることとしたものでございます。

 これは、任務機でございましても予備機でありましても、自衛隊法第百条の五に基づき運航する政府専用機であることには変わりはございません。避難民がそのいずれに搭乗するとしても法的には何ら問題はないというふうに考えているところでございます。

 以上です。

羽田次郎

国賓とともに同乗するという規定でございましたので、果たしてそれで援用できるのかどうかというのは正直気になっておりましたので、こうして確認ができたのは良かったと思っております。

 ただ、大きな飛行機二機に二十名という避難民の数は余りにも少なかったんではないかと思います。
三月十六日と三月二十六日、入国した避難民の数等を見ると、もっと希望者がいたんじゃないかなというような気はしておりますが、ただ、どうしてそんなに少ないのかという質問は水掛け論になってしまいそうなのでやめにしますが、UNHCRが発表したウクライナ避難民の数は四月十六日時点で四百八十六万九千十九人、こんなにも多くの人々が国外に逃れているのを考えますと、日本での受入れが余りにも少ない。
まあ、距離、言語、文化という高いハードルがあるのは確かでございますが、最大限の支援を行うと岸田総理が国際社会に明言していますので、もう少し頑張りようがなかったのかと考えてしまいます。

 ウクライナの隣国ポーランドは二百七十六万三千七百八十六人、ルーマニアで七十三万八千八百六十二人、他国への主要な経由地ともなっているモルドバ、ここは人口が二百六十万人の小国ですが、そのモルドバでも四十二万二千五百五十人の避難民を受け入れています。

 そこで質問ですが、そうした隣国からワルシャワまでの輸送も日本政府として支援すれば、日本としてもう少し避難民を受け入れられるのではないかと考えますが、そうしたお考えや計画は政府にはないか、お聞きいたします。

林芳正 国務大臣

ありがとうございます。

 やはり、今委員からもおっしゃっていただきましたように、言語の壁や距離というのが明らかにあると、こういうふうに思います。
桁が大分違うということは御指摘のとおりでありますが。

 私がワルシャワに参りましたときに現地のNGOとの意見交換をいたしまして、その中でお聞きしましたのは、国外に一旦避難をされているウクライナの避難民の皆様に、少数のサンプルでありますがアンケートを取りますと、やはり事情許せばウクライナに帰りたいという方が今の段階で既に八割いらっしゃると、まあ今すぐ帰るような状況ではないと思いますけれども。
そういうことで、やはりいずれ帰るという御希望があれば近くの国にいたいと、こういう御要望があるんじゃないかということをNGOの方や国際機関の方がおっしゃっておられましたので、ちょっと御参考までに補足をさせていただきます。

 その上で、このポーランド等への移動ということでございます。
毎週、今、政府がポーランドとの直行便を座席を借り上げて、人道的観点から渡航支援を行っております。
この渡航支援の対象は、ポーランド以外の周辺国に滞在している避難民、この対象になり得るということでございます。

 この避難を希望する避難民への渡航支援に関してでございますが、現地の状況を踏まえて当面こうした対応を取っておるところでございますけれども、引き続き、今御指摘のあった周辺の国、モルドバ自体には別途いろんな支援をしておるところでございますけれども、この現地のニーズの把握に努めて適切な対応を政府全体で不断に検討してまいりたいと考えております。

羽田次郎

確かに、言語等の問題もあってなかなか日本という国が選ばれない現実はあると思いますし、あとは、日本に来ることよりも、やはり早く自分の家に戻りたいということを考えると、近隣の国にとどまるという希望があるのかもしれません。
ただ、そうした人たちがワルシャワまで何とかして移動する手段がないと、なかなか日本への座席を確保してもそうした希望者が日本に入ってこれないという現実があると思います。
そうしたお金がないとか身寄りがないとかそういう人、そういった人たちも受け入れるというような方針であると思いますので、そうしたワルシャワへの移動手段というのも是非確保していただきたい、そして日本で、もっと日本の国力に応じた避難民を受け入れていただきたいと思います。

 ウクライナにおける停戦合意の見通しが立たない現状の中で、国際機関での日本人人材の活躍が必要であり、自衛隊員の命を守る装備品の適切な整備が必要であり、国際協調に基づく避難民の積極的な受入れが重要であると思います。
そのための御尽力を外務省、防衛省、JICAの皆様にお願い申し上げ、私の質疑を終わらせていただきます。

 ありがとうございました。

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