参議院消費者特別委員会 質疑

羽田次郎は、本日、参議院消費者特別委員会で質疑を行いました。

小規模自治体への消費生活相談員の配置不足、相談員の処遇等について、河野大臣及び政府に対し見解を求めました。

また、旧統一教会被害者等を救済する新法の適用対象から漏れてしまう被害者について、今後どのような対応を講ずるかについて方針を尋ねました。

その他、食品表示情報のデジタル化や、「ダークパターン」と呼ばれる、「消費者が気付かない間に不利な判断・意思決定をしてしまうよう誘導する仕組みのウェブデザイン」の規制推進について政府答弁を求めました。

羽田次郎は、消費者被害の防止、対策強化及び改善策等について、今後も政府に要請して参ります。

羽田次郎

立憲民主・社民の羽田次郎です。

 当委員会においては初めての質問となりますので、今後ともどうぞよろしくお願いいたします。

 まず、ただいま中田宏委員からもお話あったこの消費生活相談員に関する話ですが、資料一を御覧ください。
こちらは、令和四年度地方消費者行政の現況調査の結果に基づいて作られた図表です。

 御覧のとおり、消費生活相談窓口等に消費生活相談員が配置されていない政令市を除く市区町村は六百九十四団体で、この比率は全体の約四〇%です。未配置の市区町村の多くは人口一万人以下の小規模自治体となっております。
この図表を見れば一目瞭然ですが、人口の少ない地区の、地方の市区町村ほど相談員を集めにくいと考えられます。

 消費者庁として、資格保有者の地域の偏在状況をどの程度把握しているでしょうか。
お願いします。

植田広信 政府参考人

お答え申し上げます。

 消費者庁で推進しております地方消費者行政強化作戦二〇二〇、これ二〇二〇年四月の策定でございますけれども、それでは、誰もがどこにいても質の高い相談を受けられるよう、専門の国家資格を有する相談員を配置している自治体の人口カバー率を目標に掲げております。
現在、四十二の都道府県が人口カバー率九〇%の目標を達成しておるところでございます。
一方で、委員御指摘のとおり、人口の規模の小さい市区町村で相談員を配置しない傾向も見られております。
例えば、人口五万人未満の市区町村では五六%が未配置ということでございます。

 消費者庁といたしましては、こうした担い手の配置の課題も踏まえまして、相談員を目指す方が、目指す方を国が直接支援する相談員担い手確保事業を実施しているほか、相談員という職についてのPRについても取り組んできております。

 引き続き、地方消費者行政の充実強化をしっかりと推進してまいりたいと考えております。

羽田次郎

おっしゃるとおり、人口の少ない地方の市区町村、多いと思うんですが、そうした市区町村から資格保有者を確保できないといった相談のようなものは受けていらっしゃいますか。

植田広信 政府参考人

直接消費者庁が伺っているというわけではございませんけれども、そういった傾向があるということはいろいろなアンケートでありますとか調査を通じて消費者庁としても十分把握しているところでございますので、そういったところをどうやって配置をしていただくかということについてはしっかりと支援をしてまいりたいというふうに考えております。

羽田次郎

できる限り地域格差が生まれないような、そうした対応をしていただければと思っております。

 この現況調査によりますと、資料二にあるとおり、消費生活相談員の一時間当たりの平均報酬単価は賞与込みで千八百四十一円となっています。
特別区では平均二千七百七十二円ですが、前年に比べて百円減っておりまして、村になると平均千六百三十五円で、前年に比べて十一円減額されています。
これ一時間の単価での減少ですので、この急激な物価高が続いているにもかかわらずという状況で、この消費生活相談員は合格率二四%と言われる大変厳しい国家試験を突破しております。
高い専門性だけでなく、相談者等とのコミュニケーション能力など、多岐にわたる能力が求められています。

 現状の相談員の職務と処遇の間にはミスマッチがあると考えますが、消費者庁の御見解をお聞かせください。

植田広信 政府参考人

お答え申し上げます。

 地方公共団における職員の任用の在り方につきましては地方公務員法に基づき各団体において検討されるものでありますけれども、相談員の方々の能力や経験、キャリアパス等に見合った処遇となることが大事であるというふうに考えております。

 平均報酬額でございますけれども、令和四年に千八百四十一円となり、過去最高の水準となっております。
また、各自治体の類似の職種の中でも、中での位置付けも平均以上としている自治体が大宗ではございますけれども、一方で、いまだ平均報酬額が低い水準のままとなっている自治体も一部では見られておるというふうに認識をしております。

 今後とも、地方消費者行政強化交付金等を通じまして、その支援でありますとか様々な機会を通じた自治体への働きかけなどにより、消費生活相談員の働く環境の改善にしっかりと取り組んでまいりたいと考えております。

羽田次郎

先ほどの問いにも通ずるところがあると思いますけど、やはりそうした小さな村とかでの処遇が余りにも低いと、どうしても人材が集まりにくくなるというのがこの偏在状況にもつながっているかもしれないので、是非そうした手厚い、何ていうんですかね、支援をしていただければと思います。

 消費者教育推進基本法では、消費者教育コーディネーターの配置を進めていくことが課題とされています。
資料三にあるとおり、令和四年度の時点では、配置状況が四十都道府県、十七政令市となっております。
残りの都道府県及び政令市における配置が進まない理由は何だとお考えでしょうか。
また、コーディネーターの育成や配置を促進していくためには、具体的にどのような取組が必要であると消費者庁はお考えでしょうか。

片岡進 政府参考人

お答え申し上げます。

 消費者教育コーディネーターにつきましては、委員から御紹介いただきましたとおり、現在、都道府県、それから政令市への配置を目標として掲げて配置促進を行ってきているところでございます。
資料にありますとおり、現在、四十都道府県、それから十七の政令市において配置をされ、全国では二百六十八名の方が配置をされてございます。

 他方で、未配置の地方公共団体から、その理由について我々聞き取りをしてございます。適した人材の確保が難しい、あるいは必要性が認められないといったような理由が挙げられております。

 我々としては、こうした理由を掲げる地方公共団体に対しまして、消費者教育コーディネーターを配置している自治体につきましては、消費生活相談員あるいは教員のOBの方、元行政職員であったり、行政の、現職の行政職員の方あるいは消費者団体の職員など、多様な人材をコーディネーターとして配置しているということ、あるいは、コーディネーターが関係者の調整役としてうまく機能している具体的な例、特に好事例や成功事例があることを周知することなどを通じて配置の促進に向けて取り組んでいきたいというふうに考えております。

 また、好事例、それから成功事例の横展開を図ることで、既にコーディネーターを配置をしている自治体も含めて、全国のコーディネーターの活動の活性化も図っていきたいというふうに考えてございます。

羽田次郎

四十七都道府県のうち今四十都道府県に配置されていて、あと二つぐらいもう既に配置が決まっているというようなお話も先日伺いましたが、ただ、必要性が認められないというような都道府県もあるというのはちょっと嘆かわしいというか、やはりもう少しこの必要性というのを周知する必要があるんじゃないかと思われます。

 これまでの議論を踏まえて、令和四年度地方消費者行政の現況調査に対する、もし河野大臣、何か御所見があればお聞かせいただけたらと思います。

河野太郎 国務大臣

消費生活相談員の皆さんには、これ資格を取っていただいたり、いろいろとお願いをしているんですが、残念ながら、その処遇の点からいくと、なかなかそこに見合っていない。
さっき中田委員からも御指摘ありましたけれども、相談員の方々の年齢がかなり高齢化していて若い方がなかなか入ってくださらないというのは、これはやっぱり、やりたくてもこの処遇では食っていけないということになってしまうんだろうと思いますんで、この調査を踏まえまして、少しいろんなことを考えていかないといけないのかなと思っております。

 多少抜本的に変えるところは変えるということをやらないと、これ十年後、このままいくと、相談員の方々の平均年齢が十歳上がりました、終わりみたいなことになってしまってはこの分野は機能しなくなってしまいますんで、少しいろんなことを考えて、変えるべきところは変えていかないといけないかなと思っております。

羽田次郎

ありがとうございました。

 次に、昨年十二月の本委員会において、不当寄附勧誘防止法が可決、成立いたしました。
消費者庁におかれましては、先ほども質疑、中田委員からもございましたが、これまで未施行であった罰則規定等についても四月一日から施行すべく準備を進められていると承知しております。

 制定時に付された本委員会の附帯決議では、不当な勧誘行為によって、既に多くの被害者やその家族が困窮している現状に鑑み、新法の適用外となる被害者等に対する支援について検討し、必要な措置をできるだけ速やかに講ずることとしています。

 このような対象から漏れてしまう被害者に対して、現在どのような支援策を行っているのでしょうか。

竹内努 政府参考人

お答えいたします。

 法テラス、日本司法支援センターにおきましては、昨年十一月十四日に霊感商法等対応ダイヤルを開設いたしまして、以後、旧統一教会問題等に関しまして、委員御指摘の新法の適用対象となるか否かを問わず幅広く相談を受け付けておりまして、これまでに、金銭的トラブルのほか、心の悩みですとか親族関係の問題等、様々な相談が寄せられているところであります。
法テラスでは、これらの相談内容等に応じまして弁護士や心理専門職等の知見を活用するなどして、問題の総合的解決を図るために必要な対応を行っているところでございます。

 法務省といたしましては、関係機関等との緊密な連携の下に、こうした相談対応等を通じて現行制度等の課題の有無や内容などにつきまして把握、分析をした上で包括的な支援体制の一層の強化を図るなど、被害の実効的な救済に万全を尽くしてまいりたいと考えております。

羽田次郎

今、法テラスのお話ございましたが、これまで旧統一教会に関するその相談というのはどれくらいの数が来ているかという、もし数字があれば教えてください。

竹内努 政府参考人

お答えいたします。

 昨年十一月十四日に法テラスに霊感商法等対応ダイヤルを開設いたしましてから昨日三月十五日までの相談の数でございますが、合計で三千五百四件になっております。
これは、旧統一教会に限らず、霊感商法等対応ダイヤルに掛かってきたダイヤル全体を指しております。

羽田次郎

そうすると、霊感商法全般ということで、何ていうんですかね、統一教会関係という分類はされていないという理解でよろしいでしょうか。

竹内努 政府参考人

恐れ入ります。

 手元にございますのは十一月十四日から二月の二十八日までの統計でございますが、これによりますと、相手方を旧統一教会とする相談の件数は六百七十七件でございます。

羽田次郎

ありがとうございます。

 いずれにしましても、そうした対応、今後も重要になってくると思いますので、引き続きよろしくお願いいたします。

 そういう意味では、四月一日のこの新法施行後、消費者庁としてどのような対応をお考えになっているのか、政府の方針をお聞かせください。

河野太郎 国務大臣

四月一日から行政措置、罰則、施行していきたいと思って今準備をしているところでございます。

 施行されましたら、その状況をしっかり注視をしていきたいというふうに思っております。

羽田次郎

先ほどの、その対象から漏れてしまうという人も大勢いらっしゃって、特に法が施行された後ですね、そうした方々の相談も多くなるとは思いますが、是非しっかりとした御対応をいただきたいと考えております。

 次に、消費者庁の令和五年度予算では、新規の予算として、食品表示情報の提供におけるデジタル活用の調査等として、〇・三億円、三千万円が計上されています。

 デジタルツールを活用すれば、スペースに限りのある包装容器での表示と比べて充実した情報を消費者に届けることができると思われますが、具体的にどのような調査を行おうとしているのでしょうか。

依田学 政府参考人

お答え申し上げます。

 容器包装上の表示につきましては、食品表示基準に基づく義務表示事項が相当多くございます。
これに加えまして、消費者の健康志向の高まりに応じて、求める情報の質や量は相当の多様化、複雑化しているというふうに認識しております。
一方では、委員御指摘のとおり、表示事項が増えますと、消費者にとって表示がかえって見えづらくなるという問題もあると承知しております。

 こうした問題に対応しまして、消費者庁では、これまでデジタルツールを活用した食品情報の提供の可能性について様々な実証をやってきたところでございます。
一方で、デジタルツールを活用した食品表示情報の提供につきましては、いわゆる食品の国際基準であるコーデックス規格では、この義務的な表示事項につきましては容器包装上に表示、貼付するということが明確に規定されているところでございます。

 したがいまして、こういった点も踏まえまして、諸外国の動向をよく調査する必要があると考えておりまして、令和五年度は、海外におけるデジタルツールを用いた食品表示情報の提供事例あるいは規制動向の調査を中心に検討を進めてまいりたいと考えてございます。

羽田次郎

ありがとうございます。

 確かに、海外での、これから海外市場をしっかりとマーケットとして定めていかなければならない部分はあるので、そうした調整というのも必要なんだなということを気付かされました。

 それで、消費者への情報提供を充実させることも重要なんですが、必要な情報を分かりやすく伝えることも同じくらい重要だと思います。
また、消費者に対して、そもそもどの程度の情報を伝えれば自主的かつ合理的な食品選択の機会を確保できたと言えるのかということについての検討も併せて進めることが求められていると思います。

 デジタルツールを活用した食品表示について、想定される課題や留意点を消費者庁にお伺いいたします。

依田学 政府参考人

お答え申し上げます。

 改めまして御説明申し上げますと、食品表示法におきましては、食品に関する表示、これが、食品を摂取する際の安全性の確保、そして委員御指摘の自主的かつ合理的な食品の選択の機会の確保、これ両者に重要な役割を果たしているということに鑑みまして、販売の用に供する食品に関して、食品関連事業者が遵守すべき食品表示基準を内閣総理大臣が定めるということになってございます。

 この食品表示基準では、先ほど申し上げましたコーデックス等の国際基準も踏まえまして、容器包装には、例えば一般の名称とか保存方法、期限表示、原材料名、添加物、栄養成分の量、熱量、こういった様々な事項を包装上の表示に、表示することを義務付けているというところでございますが、委員御指摘のとおり容器包装の表面積が限られているものですから、表示の見やすさを確保しつつ表示すべき事項を適切に容器包装上表示するというのはなかなか両立がしづらい課題だと認識してございます。

 その中で、このデジタルツールの活用というのは、表示の見やすさと表示内容の充実ということを、両立が難しい、難しかった課題を両立させる可能性はあるというふうに認識しているところでございますが、一方で、先ほど申し上げましたような国際基準の存在、あるいは、この期限表示を始めとしまして、容器包装上の表示に関する情報とデジタルを通じた情報が一対一で突合できるのかといった問題もあるということでございます。

 したがいまして、繰り返しになりますが、諸外国でも同じような悩み抱えていると認識しておりますので、消費者庁としては、この諸外国の動向の調査あるいはコーデックスの国際的な議論、こういったものに積極的に参画しまして、引き続き容器包装上の食品表示のデジタルツールの活用の可能性について検討していきたいというふうに考えてございます。

羽田次郎

ありがとうございます。

 包装に書かれている表示ですと、まあ私なんかもだんだん老眼が進んできて、それがよく見えない、特に、おっしゃるとおり、海外に行ったときも、もう細かいことが書かれていて全く見えないような状況ですので、こうしたデジタルツールの活用というのはこれから本当に必要とされているんだと思います。

 続きまして、消費者庁は、AI等のデジタル化の進展により消費生活の中でデジタル技術の役割が増大するほど、消費者取引を取り巻く環境が大きく変化しており、これに対応する消費者法の役割を改めて検討する必要があると有識者懇談会の報告をされています。

 このように、消費者行政においてデジタルの分野が注目すべき問題となっている中、令和四年九月二日には消費者委員会が、SNSを利用して行われる取引における消費者問題に関する建議を行いました。

 建議事項一では、消費者庁は、デジタル化に伴う消費者被害の未然防止の観点から、SNSのメッセージによる広告表示を含め、特定商取引法第十一条の表示義務及び第十二条の誇大広告等の禁止などの通信販売に関する規定の執行を強化することとしていますが、これまでにどのような施策を講じ、またこれからどのような施策を講じようとしているのか、伺います。

 あわせて、消費者庁は、形式的な契約当事者以外の事業者も含めて事業者が販売業者等と連携共同して事業を行っている場合において、特定商取引法の執行を強化することとされましたが、対応状況をお聞かせください。

真渕博 政府参考人

お答え申し上げます。

 今委員御指摘ございましたとおり、消費者委員会の建議もございます。そういったことも踏まえまして、消費者庁におきましては、通信販売に関する特定商取引法の規定の執行の強化に関しまして、インターネット通信販売等につきまして、事業者による特定商取引法上の広告表示義務の遵守を図るために、インターネット通信販売等適正化事業と、こういったものを実施をしているところでございます。
この事業におきましては、特定商取引法に違反する疑いのある事業者を監視するとともに、必要な場合には注意喚起文書の発出を行っているところでございます。

 また、この事業の活用に加えまして、令和三年の特定商取引法の改正におきましては、詐欺的な定期購入商法対策のための新たな規定が設けられております。
こういった条文の厳正な執行にも取り組むことで、通信販売に関する規定の執行強化に努めてまいりたいというふうに考えております。

 また、併せて御質問のございました点につきましては、インターネットを利用した広告表示に係る事案といたしまして、令和三年七月十五日、関連法人とそれぞれ連携共同して健康食品などを販売する事業を行う通信販売業者に対して、令和四年二月二十四日、同様に連携共同して鍵の開錠、修理等に係る役務の提供を行う訪問販売業者に対して、それぞれ行政処分を行っております。

 引き続き、複数の事業者が連携共同して事業を行っているような事案についても厳正な法執行に努めてまいりたいと考えております。

羽田次郎

詳細な御説明をいただき、ありがとうございました。

 消費者庁は、最近、特定商取引法上の執行とともに消費者安全法上の注意喚起を行っており、両法に限らず関係する法制度を連携させた運用を図ることとされましたが、どのような連携を図っているのか、そして、消費者が省庁の垣根をまたぐ消費行動を行っている点を鑑みれば、他省庁が所管する法制度との連携も重要であると思いますが、この点についてもお伺いいたします。

真渕博 政府参考人

お答え申し上げます。

 まず、他省庁と消費者庁との連携の取組の例といたしましては、他の行政機関等が得た消費者事故等に係る情報の通知を受けるという、こういう運用をしております。これは消費者安全法に基づいて行っているところでございます。
通知された情報は、消費者庁内の関係課室で共有することによって、それぞれ施策に役立てているというところでございます。

 また、消費者庁内における連携といたしましては、最近の特定商取引法と消費者安全法の運用における連携の具体例、一例ちょっと御紹介させていただきますけれども、令和五年、今年一月に、特定商取引法に基づく訪問販売業者に対する行政処分に併せまして、消費者安全法に基づき、この事業者の関連事業者が行っている屋根瓦及びしっくいの修理等の役務の取引に関して注意喚起を行ったという、こういった事例がございます。

 このような形で、庁内での各法律の連携を図っているところでございます。

羽田次郎

次に、景品表示法検討会は、本年一月十三日に報告書を公表いたしました。
その中では、中長期的に検討すべき課題として、ダークパターンに言及しています。

 ダークパターン自体、明確な定義はないとされていますが、同報告書では、一般的に、消費者が気付かない間に不利な判断、意思決定をしてしまうよう誘導する仕組みとなっているウェブデザインなどと言われているとしています。
昭和の時代に話題になったサブリミナル広告のようなものなのか、このように、人間の行動はささいな要因であっても結果を大きく左右される場合があります。

 事業者がダークパターンを積極的に活用すれば、事業者に有利な行動を消費者に強いることができてしまうことが懸念されています。
同報告書では、ウェブデザインが要因となって消費者が不要な商品を購入してしまったり、必要以上の品質の商品を購入してしまったりと、結果的に消費者の不利益につながってしまう可能性があるにもかかわらず現行の景品表示法では規制が及ばないものや、そもそも景品表示法の規制対象とならないようなものも存在するのではないかと考えられるとしています。

 このような点を鑑みれば、中長期的な課題として捉えるのではなく、消費者庁として早急に課題の、問題点の洗い出しを行うべきではないでしょうか。現状を御説明ください。

真渕博 政府参考人

ダークパターンにつきましては、今委員御指摘ございましたように、一般的には、消費者が気付かない間に不利な判断、意思決定をしてしまうよう誘導する仕組みのウェブサイトなどを指すものというふうに我々承知しております。

 御指摘もございましたけれども、景品表示法検討会におきましては、このダークパターンの行為類型は多岐にわたり得るところ、現行の景品表示法によって規制し得るものもあればそうではないようなものもあるということで、中長期的に検討すべき課題というふうにされております。
その上で、今後の国際的な議論状況等を注視していく必要があるとの御提言をいただいたところでございます。

 我々といたしましては、この提言を踏まえまして、いわゆるダークパターンについては、まずは現行の景品表示法で対応し得る事案、こういったものもございますので、こういうものに対しては同法に基づいて厳正に対処をしていきたいというふうに思っております。
また、同法では対応が困難なものなどにつきましては、引き続き国際的な議論の状況などを注視してまいりたいと考えております。

羽田次郎

間もなく時間となりますが、先ほど触れたサブリミナル広告については、一九九〇年代にNHKや民放連がサブリミナル的表現方法の禁止を明文化しております。
消費者保護の観点からすれば、注視ではなくて、世界に先んじてでも規制に向けた検討を積極的に進めるべきではないかと考えますが、いかがでしょうか。

河野太郎 国務大臣

このダークパターンにつきましては、OECDが今年から来年にかけて実証実験をやると聞いております。
OECDの消費者政策委員会の副議長を我が国は務めておりますので、そういう意味では、きちんとOECDをリードできるように頑張ってまいりたいと思います。

羽田次郎

是非、世界に先駆けた検討を進めてルールメーキングをしていただきたいと河野大臣にお願いを申し上げて、私の質疑を終わらせていただきます。

 ありがとうございました。

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