全閣僚出席のもとでの質疑
羽田次郎は、3日の午後、テレビ入りの決算委員会で、全閣僚出席のもと質疑させて頂きました。
お忙しい中ご視聴を頂きました皆様には厚く御礼申し上げます。
質疑では、北朝鮮によるミサイル発射時の政府の対応、東京オリンピック・パラリンピックでの汚職・談合事件に関する政府としての責任について、巨額予備費の常態化、新型コロナ予備費と決算剰余金としての流用、及びワクチン接種事業に対する会計検査院報告指摘に対する受け止め等について政府に見解を求めました。
その他、地元軽井沢町で開催されるG7外相会合及び広島サミットを未来志向な多様性を重んじるサミットとなるよう求めました。
羽田次郎は、『国民の誰もが安心して暮らせる社会』を目指し、父孜が貫いた『普通のことばが通じる政治』を受け継いでまいります。
羽田次郎
立憲民主・社民の羽田次郎です。
野田理事の残り時間を関連質問させていただきます。
まず、項目の二番から伺わせていただきますが、北朝鮮による相次ぐ弾道ミサイルの発射と、それを受けた政府の対応について質問いたします。
昨年、北朝鮮によるミサイルの発射回数は三十一回、少なくとも五十九発が発射されていて、それぞれ過去最多となっております。
日本にとって看過できない脅威とはなっています。
防衛省の方、通告はしていなかったんですけど、もし今年何回発射されたかお分かりになればお願いしたいんですが、いかがでしょう。
浜田靖一 国務大臣
今年に入りまして五発でございます。
(発言する者あり)はい、五回でございます。
羽田次郎
報道によりますと、八回は発射されたというようなことが書いてあったんですが、いずれにしましても、昨年同様、高い頻度で発射されているというのは間違いないと思います。
そのうち、今年二月十八日にICBM級の弾道ミサイルが発射されて、このミサイルはロフテッド軌道で六十六分間、六十六分飛翔した後、日本のEEZ内に落下いたしました。
落下が推定された位置は北海道渡島大島の西方僅か二百キロほどの日本海で、今回は航空機や船舶等に被害が及ばなかったとはいえ、国民の生命や財産、これを脅かす事態となっていた可能性も十分あります。
二〇一九年から二二年の間にEEZ内に着弾した四発のミサイルと過去最長距離を飛んだ一発のミサイルについて解析した結果が、先日、日本水産学会で発表をされました。
着弾の影響海域に八隻の船が確認できたそうですが、このうち五隻は高校の実習船だったそうです。
ICBM級弾道ミサイルが発射された際の岸田総理の対応について疑問視されているところがあります。
二月十一日に鼻の治療のために手術を受けられた総理は、二月十八日の十七時二十一分頃、弾道ミサイルが発射されたことを認識された上で、その二十分後、日本に弾道ミサイルが向かっている最中に都内の診療所に入り、術後の経過観察と処置を受けたとされています。
その後、官邸に戻られたのは弾道ミサイルの落下から約二十分後の十八時四十九分、そして十九時四分になってやっと国家安全保障会議、四大臣会合が開かれました。常識的に考えれば、日本に向かってくる、発射を知らされたら真っ先にNSCを招集するのではないかと思います。
内外や外交、安全保障の様々な課題に取り組まれていかなくてはならない岸田総理ですから、もちろん万全な体調管理をしていただきたい、そう思っております。
しかし、術後の経過観察であれば、通院の日程を変更して、弾道ミサイル発射後すぐさま官邸に向かうこともできたのではないかと思います。
先ほど申し上げたとおり、一歩間違えれば大惨事を招きかねない。
当日の岸田総理の御判断は、北朝鮮のICBM級弾道ミサイルが日本国民に影響を及ぼすことはないという確信というか予測に基づいたものであったのか。
そして、昨今、北朝鮮によるミサイルの発射頻度が大幅に増す中で、この状況に慣れのようなものが生じて、岸田総理を始めとした政府の対応に気の緩みがあったのではないでしょうか。
Jアラートが鳴るたびに肝を冷やす国民に比べると、総理の行動は、いざというときに大丈夫かというふうに国民に対して間違ったメッセージにもなりかねないと考えます。
果たして、危機管理上、岸田総理の対応は適切だったと言えるのか疑問を呈さざるを得ませんが、当日、岸田総理がなぜミサイルの落下前に処置を受けるに至ったのか、政府における当時の判断について明確な御説明を求めます。
岸田文雄 内閣総理大臣
まず、北朝鮮のミサイル発射については、昨年は五十回を超える頻度でミサイルが発射されました。
今年に入りましてもミサイル発射が頻繁に行われている、こうした事態にあります。
その中で、御指摘の二月十八日のミサイル発射が行われた際の対応でありますが、その際の対応として、私自身、手術後の処置のため病院に向かっていましたが、発射直後に報告を受け、私から直ちに迅速、的確な情報提供や安全確認の徹底等について指示を行いました。
政府においては、官邸対策室において情報の収集を行うとともに、緊急参集チーム、招集し、必要な対応を行いました。
また、松野官房長官がミサイル発射後直ちに官邸において必要な報告を受け、私自身も病院で秘書官を通じ逐次報告を受け、必要な指示を行う体制を維持したところであります。
このように、当日、政府が一体となって対応を進めてまいりました。当日の危機管理体制あるいは取組について支障があったとは考えておりません。引き続き危機管理に遺漏ないよう万全を期していきたいと考えております。
羽田次郎
そうすると、ちなみに、そのとき外務大臣と防衛大臣はどちらにいて何をされていたか、お分かりになればお願いします。
林芳正 国務大臣
二月十八日でございますが、私は、第五十九回ミュンヘン安全保障会議等に出席するとともに、今年の日本の議長国下で初となるG7外相会合を開催するためミュンヘンにおりました。
北朝鮮のミサイル発射に関しましては、発射直後に現地において事務方から報告を受けまして、万全な対応を取るように指示したところでございます。
その上で、同日中に行われましたG7外相会合、また日韓外相会談、さらに、本発射を受けて急遽実施することになりました日米韓外相会合におきまして、この弾道ミサイル発射を強く非難するとともに、北朝鮮への対応に関して連携していくということを確認したところでございます。
浜田靖一 国務大臣
本年二月十八日は政務のため東京を離れておりましたが、発射直後に報告を受け、私から大臣指示を出すとともに、東京に戻り次第速やかに登庁し、北朝鮮のミサイル発射への対応に当たったところであります。
いずれにせよ、防衛省では、閣議了解に従い、緊急事態発生時に備えて政務三役が交代で在京する体制を確保しており、北朝鮮のミサイル発射等への対応に万全を期していたところであります。
羽田次郎
そういう意味では、総理、そして外務大臣、防衛大臣、外交、安全保障の要となる皆さんがどなたも緊急対応ができないような状況にある中で、総理、クリニックに行かれたというその御判断が何とも心もとないというか、国民としてはちょっと心配だなという気がいたします。
金正恩総書記は今年の目標として核兵器の保有量を急増させる方針を示しておりまして、七回目の核実験の可能性も指摘されています。こうした厳しい情勢を踏まえ、政府には今後も一層気を引き締めて対応していただきたい。
もちろん、病院に行くななんということは言うつもりはございません。
いつ、どのような形で軍事的挑発を行ってくるのか分からない北朝鮮の脅威を踏まえ、今すぐやらなくてはならないことは何なのか、しっかりと優先事項を判断していただきたいと思います。
岸田文雄 内閣総理大臣
先ほど、関係大臣の二月十八日の段階でいた場所、在京の状況についても御指摘がありましたが、政府としては、先ほど答弁させていただきましたように、官房長官が官邸において報告を受け、指示を出す、こういった体制をつくりながら、外務、防衛両省においては、政務三役、当然のことながら在京をし、そして対応に当たった、こうした体制を取った次第であります。
いずれにせよ、こうした危機管理に遺漏があってはならない、これはおっしゃるとおりであります。
政府としまして、今後、不透明な安全保障環境の中で、国民の命、暮らしを守るために万全を期していかなければならない、そうした強い危機感を持って、緊張感を持って引き続き対応していきたい、このように思っております。
羽田次郎
本当に総理は激務でございますし、一つ一つのミサイルに特別な対応というのをするのは難しいのかもしれませんが、やっぱり、我が国にミサイルが向かっている最中に、私なんかだったら、クリニックに行ったら余計何か起きたらどうしようというふうに心配になってしまうと思うんですけど、やはり総理はその辺は肝が据わっていらっしゃるということなのかもしれません。
いずれにしましても、国民の不安を解消するためにも、いざということが起きたときの心構えを醸成するためにも、総理の判断、行動は非常に重いと思いますので、今後ともしっかりとした御対応をいただければと思います。
次に、東京オリンピック・パラリンピック競技大会に関連した質問をさせていただきます。
コロナ禍で一年延期された上、無観客となってしまいましたが、国民の期待は大変大きなものでした。
日本勢はもちろん、各国選手の活躍に私自身も胸を躍らされました。
ただ、膨大化する経費と同時に、残念ながら、汚職、談合事件が起きてしまいました。
持ち時間の都合上、細かい経緯は申し上げませんが、国を挙げて開催した大会で汚職、談合事件が発生したこと、そして政府の責任について総理の御見解を伺います。
岸田文雄 内閣総理大臣
東京オリパラ大会における一連の事案については、東京オリンピック・パラリンピック競技大会組織委員会が関係企業と結んだ契約に関連するものであることから、当事者の清算法人である大会組織委員会が責任を持って対応いただくものであると考えております。
あわせて、東京都は、IOCと開催都市契約を締結し、大会の開催都市としての責任を果たす立場にあります。
現在、東京都では、副知事をトップとした調査チームを設けて、課題や事件の背景、そして組織の問題等も含めて議論、分析を行うなど、調査の深掘りをしていると承知をしております。
その上で、国の立場でありますが、国においては、スポーツ庁等が設置したプロジェクトチームが大会組織委員会のガバナンスの実情や課題の把握をし、今後の大会運営のための指針、これを策定したと承知をしています。
また、国としては、今回の事案に係る刑事手続や東京都における契約手続等に関する調査の状況の推移、これを注視しながら、明らかになった事案に、あっ、事実に基づき、仮に国費が過大に支出されている場合には返還を命じるなど、法令にのっとって厳正に対応していきたいと考えております。
羽田次郎
厳正に対応いただけるということですけど、政府に何か責任というのを感じる部分はないのかということもお聞きしたんですが、特に。
お願いします。
岸田文雄 内閣総理大臣
まず、御指摘の事案については、この大会組織委員会において責任を持って対応していただくことを考えています。
そして、開催都市として、東京都において今調査チームを設けて、その様々な分析、そして調査の深掘り、これを行っているわけです。国としては、そうしたこの調査等において事実が明らかになった場合には、法令に従ってしっかり責任を果たしていかなければならないと思っています。
東京都の調査あるいはこうした事案に対する捜査進んでいるわけでありますので、その事実を確認した上で、国として法令上負うべき責任、対応すべきことについてはしっかり行っていきたい、このように考えております。
羽田次郎
組織委員会の中には中央政府からの出向者もたくさんいらっしゃったと思いますので、全く、まずは組織委員会、その次は東京都という、何となくその責任に関する感じ方がどうなのかなという気もいたしますが、いずれにしましても、このオリンピックでアスリートが流した汗とか涙とか努力の価値がこうした事案があったことでなくなるわけでも下がるわけでもありませんので、ただ、やっぱり後味の悪さというのがどうしても残ってしまったことが残念です。
先ほど総理からもちょっと触れられましたが、スポーツ庁が昨年十一月に大規模な国際又は国内競技大会の組織委員会等のガバナンス体制等の在り方検討プロジェクトチームを設置して、今後我が国で開催される大規模な競技大会の運営におけるガバナンス体制等の指針をつい先日、三月三十日に決定いたしました。
この指針では、マーケティング業務を広告代理店等の第三者に委託するか否かと、その在り方については大会ごとに組織委員会等の実情に応じて判断して、特定の第三者に独占的に業務を委託する専任代理店方式についても排除するわけではないとしております。
この度の不祥事の根本原因となったこうした運営の丸投げですとか独占を解決できるとは言い難い内容になっていると私は感じます。
今後も二〇二五年に世界陸上、デフリンピック、二六年のアジア大会など、大きなスポーツイベントにおいて同様の汚職や談合等が起こらないように再発防止の徹底が必要ですし、組織委員会等のガバナンス体制を含めた構造的な改革に取り組むべきであると考えますが、文部科学大臣の御見解を伺います。
永岡桂子 国務大臣
お答え申し上げます。
三月末に、スポーツ庁が中心となりまして設置をいたしましたプロジェクトチームにおきまして、利益相反の管理や情報公開の在り方等、大規模なスポーツ大会の組織委員会等の適切な組織運営に関する指針を策定をいたしました。
当該指針につきましては、指針の実効性を高めるために、組織委員会等が自ら指針の遵守状況を継続的に説明をするとともに、外部からの質問等に丁寧に対応するべく問合せ窓口を設置するなどの取組を盛り込んでいるところでございます。
文部科学省といたしましては、JOC等のスポーツ界とも連携いたしまして、今後開催都市となり得る地方自治体やスポーツ団体に対しまして、当事者意識をしっかり持って遵守に努めることを促すための事務連絡を発出したところでございます。その趣旨の周知徹底、継続的に図ってまいりたいと考えています。
羽田次郎
この特定の第三者に独占的に業務を委託する専任代理店方式というのがやっぱりこの汚職等の温床になりかねないと思うんですが、これを排除するような方向に持っていかない理由というのはどういうことでしょうか。
永岡桂子 国務大臣
スポーツ庁が中心となりまして設置いたしましたプロジェクトチームにおきましては、羽田委員御指摘の専任代理店制度につきましても検討が行われました。
二月に示された指針案では、大会の成功に向けまして組織委員会等が最もメリットを享受できる方式となるように慎重な検討を行うことが求められるとされております。
その後、国会での専任代理店制度に関する御指摘を踏まえまして改めてプロジェクトチームで検討が行われまして、第三者への委託の在り方につきまして、選択した方式の採用について検討経緯や選択した理由等を対外的に公表するなどということをこれ指針にて追加で盛り込みをしたところでございます。
今後、各組織委員会等におきまして、本指針を踏まえまして、これまで以上に透明性、そして公正性を遵守した手続を経まして適切な契約を行っていただきたいと考えているところです。
羽田次郎
一定程度の、何というんですか、検討は進んでいるということでしょうし、いずれにしましても、せっかくアスリートたちが一生懸命私たちに感動を与えてくださったのが後味の悪いような結果にならないように、是非ともそうした透明性を徹底していただきたいと思います。
スポーツではありませんが、今年の大きなイベントといえば、先ほど三宅委員からも質疑がありましたけど、G7議長国としての広島でのサミットと各地での関連大臣会合が挙げられると思います。
長野県選出の私としてはG7長野県軽井沢外相会合を特に注目していますが、広島における議論の基礎ともなる外相会合でどのような議論を進められていくのか、中国での会合を終えて今晩にもドイツに向かわれる林大臣に方針や方法を伺いたいと思います。
林芳正 国務大臣
四月十六日から十八日にかけて開催されますG7長野県軽井沢外相会合における具体的な議題はまさに現在調整中でございますが、国際社会が直面する喫緊の外交課題についてG7外相間で率直かつ踏み込んだ意見交換を行う機会にしたいと考えております。
そういった意味で、軽井沢は、自然に囲まれて、胸襟を開いてこの議論をする上でも大変うってつけの場所であると私も思っております。
その上で、このウクライナ情勢に関する連携にとどまらず、アジアで開催をするG7外相会合であるということも踏まえまして、自由で開かれたインド太平洋に関するG7の連携等々についても、議長国としてしっかり議論をリードしてまいりたいと考えております。
羽田次郎
是非この議論が広島でのサミットでも生かされることを願いますし、また、先日の外交防衛委員会でもちょっと触れさせていただきましたが、この外相会合の最終日が軽井沢の町議会議員選挙の告示日となっておりまして、ある意味、外相の皆様には日本の政治文化というか、こういうことをやっているんだということを見ていただくこともできるかと思いますが、まず、昨年、風流踊がユネスコの無形文化遺産に登録をされまして、会場から新幹線で隣の駅の佐久の跡部の念仏踊り、これも保存会の皆さんが登録に御尽力されまして、そういう意味では近隣の市町村、様々な文化、そして食事にも各国の皆様に行っていただければと思っております。
未来志向な多様性を重んじるサミットにするためにも、まずは、他のG7加盟国同様、性的マイノリティーに対する差別を禁ずる法律を一日も早く進めていただきたいと考えております。
先ほど総理も児童の虐待ですとか、あとは児童の自殺について言及がありましたが、予算委員会では明確な方針は示されませんでした。
岸田文雄 内閣総理大臣
G7の広島サミットにおいては、昨年のエルマウ・サミットに続いて、日本を含めG7として、多様性が尊重される世界を目指していく大きな方向性については確認をしていかなければならないと思います。
そして、そうした大きな方向性に向けて、各国の事情は様々でありますが、我が国においても御指摘の法整備等についても努力を続けていく、こうした姿勢は大事にしていきたいと思います。
ただ、御指摘の差別禁止法案については、今議員立法として国会に提出をされています。
その取扱いについては国会でまた御議論いただくということになると思います。
一方、LGBTの理解増進法案につきましては、超党派の議員連盟において作られた法案を基に各党で今議論を行っている、自民党においてもこの議論を行っているところであります。
是非こうした議論の進み具合を注視しながら、我が国としての法整備、考えていきたいと思っています。
羽田次郎
姿勢とかそうした議論というのは大変重要なことだと思いますが、ただ、防衛費の倍増ですとか、原発稼働期間の延長ですとか、そうした国論を二分する方針については総理のリーダーシップで閣議決定でどんどんと進んでいっておりますので、そういう意味ではLGBTQについても総理のリーダーシップを発揮していただけないでしょうかと思いますが、いかがでしょう。
岸田文雄 内閣総理大臣
LGBTQに向けて、多様性を尊重される社会に向けて努力をしていく、こうした方向性は国としても国際社会に対してしっかり示していかなければならないと思います。
その上で、この関連法案については、先ほどLGBTの差別禁止法、LGBTの理解増進法について答弁をさせていただきましたが、それ以外にも選択的夫婦別氏制度、さらには同性婚制度について様々な議論が行われています。
こうしたこの課題、具体的な法案については、従来申し上げておりますように、多くの国民の皆さんの意見、国会での議論、そして様々な裁判の結果、さらには地方自治体において取り組んでいる様々な制度、こうしたものをしっかりと踏まえた上で議論を進めていくことが重要であると認識をしております。
羽田次郎
本当に、議長国と、まあ議長となるのが岸田総理ですので、是非、G7が、人権感覚に何か日本の総理大臣問題があるんじゃないかなんていうふうに思われるようなことにならないように、是非ともそうした理解が進むような姿勢を見せていただけたらと思います。
次に、決算委員会で度々議論されている予備費について伺います。
今国会の冒頭の本会議でも、巨額に計上されたコロナ予備費や不用額、繰越額がいかに丼勘定であるかということを取り上げさせていただきました。
政府は、昨年六月に当決算委員会が行った措置要求決議を受けて、令和三年度に使用決定したコロナ予備費の執行状況を財務省ホームページ等に掲載いたしました。
この取組自体は、これまで明らかにされなかった予備費の執行状況が公になったという点で一歩前進したと評価できると思います。
ただ、釈迦の耳に説法だとは思いますが、我が会派の小沼巧議員を始め繰り返しの指摘があるにもかかわらず、馬の耳に念仏としか思えない状況が続いておりますので、あえてこの資料二、三、四を添付させていただきました。
我が国の財政には、各会計年度の経費はその年度の歳入をもって充てなければならないという会計年度独立の原則と、国会における予算の議決は毎会計年度行うべしという予算の単年度主義という基本原則があり、いずれも財政の健全性、民主的コントロールを確保する観点から、国の予算は各年度で完結することが望ましいとするものです。
したがって、財政の基本原則からすれば、年度をまたいだ支出を可能とする繰越しはあくまで例外という位置付けで、当初想定していなかった自然災害による計画の遅延などでやむを得ず繰り越すというのが通常です。
この認識を是非、岸田内閣閣僚の皆様に再確認いただき肝に銘じていただきたい、そう願ってこの資料を配付させていただきました。
先ほどコロナ予備費の執行状況を財務省が公表されたことを評価いたしましたが、一方で、令和三年度末の令和四年三月二十五日に使用決定されたもののうち、抗原検査キットの確保九百二十九億円、検疫体制の確保千四百七十九億円、住民税非課税世帯等に対する臨時特別給付金千五十四億円は全額が令和四年度に繰り越されていたことが判明いたしました。
(資料提示) 資料六ですが、本年三月二十四日の予算委員会で、ここ数年、政府が年度末での予備費使用を乱発している理由について先ほどの小沼巧議員がただしたのに対し、総理は、年度末を切れ目なく対応する必要があるためと答弁されました。
これは、当初想定していなかったのにやむを得ずではなく、そもそも翌年度に繰り越すことを前提としていたとも受け取れます。財政の基本原則に鑑み、そのような繰越しの濫用は許されないのではないかと考えます。
政府は、令和四年度のコロナ・物価予備費についても年度末である先週の三月二十八日に二・二兆円の使用を決定しました。令和四年度が実にあと三日しか残されていないタイミングで巨額の予備費の使用決定で、当然三日で二・二兆円を執行できるはずもなく、繰越しを前提としていると考えざるを得ません。
令和五年度予算にもコロナ・物価予備費が四兆円計上されていますので、なぜ四日待って五年度予算の予備費で対応しなかったのか、理解に苦しみます。
岸田文雄 内閣総理大臣
先般の三月二十八日、使用を決定したコロナ・物価予備費についても、現に足下の物価高騰の影響を大きく受けている低所得者層の方々、あるいは中小零細企業、医療・介護施設などの方々が直面する状況を踏まえて、その必要性や緊急性に鑑み、予備費を活用し迅速に対応することが不可欠であると判断した次第であります。
そして、委員の方から、要は年度末、この三日間で何に使ったのかという御質問でありますが、例えば地方創生臨時交付金については、三月二十九日に自治体ごとに交付限度額等を通知をいたしました。
このことにおいて、地方においては、専決処分やあるいは今後の臨時会、あるいは六月議会等の処理が可能となる、こうした道筋を付けたわけでありますし、飼料の価格高騰対策については三月三十日に全額執行済みであります。
そして、輸入小麦の政府売渡価格の激変緩和、これについては三月三十一日に食料安定供給特別会計へ繰入れを実施し、これ全額執行済みであります。
そして、コロナ対策であります緊急包括支援交付金、これも三月二十八日に交付を決定するなど、できる限り準備の整ったものから順次執行をしているところであります。
そして、御指摘のように繰越しが行われた事業、これにつきましても、自治体における手続等を受けて可能な限り早期に執行するよう調整しているものであると承知をしております。
予備費に関しても、この現下の経済状況において緊急、緊要な事業により一刻も早く支援を行うこと、これは国民の命と暮らしを守る観点から適切であると考え、今申し上げましたような対応を行った次第であります。
羽田次郎
これで国民に理解ができたかどうかちょっと疑わしい気もしますが、更に伺います。
令和四年度二次補正予算で一兆円を計上したウクライナ情勢経済緊急対応予備費、これの使用実績はゼロでした。この一兆円は全額が不用となり、最終的に令和四年度の決算剰余金の一部となると思われます。
コロナ・物価予備費についても、使用残額が令和二年度の五千億円、令和三年度の四千億円と比べて、このパネルのとおりですが、令和四年度は二・八兆円と格段に多く、ウクライナ予備費と合わせて三・八兆円が決算剰余金の一部となります。
資料五、七、八を御覧いただければと思いますが、政府は、今後の防衛費増額の財源として決算剰余金を活用しようとしていることから考えますと、意図的に予備費の使用を抑えたのではないかという民間のシンクタンクの指摘もございます。
物価高騰やエネルギー不足から国民生活を守るために使用されるはずの予備費の金額が、まさか防衛費増額の財源から逆算して決められていたとは考えたくはありませんが、総理の御見解をお聞かせください。
鈴木俊一 国務大臣
私の方から答弁させていただきます。
予備費につきましては、新型コロナや物価高騰といった直面する危機に対しまして臨機応変かつ機動的な対応を行うために、その必要性や緊急性について所管省庁との間で議論、検討を行った上で適切に使用を判断してきたところです。
したがいまして、羽田先生から御指摘がございましたような防衛財源を確保するために意図的に予備費の使用を抑えたということはございません。
その上で申し上げますと、予備費を含めた歳出に不用が生じることが見込まれる場合には、税収等の動向も見極めながら、特例公債法の規定に基づきまして、特例公債の発行額の抑制に努めることとしております。
したがって、歳出不用と決算剰余金の金額が対応するわけではありません。
特に、コロナ・物価予備費やウクライナ情勢経済緊急対応予備費を含めた予備費につきましては、不使用額が確定しながら特例公債の発行をいたずらに行うことは不適当と考えておりまして、その不使用額が増えたからといって決算剰余金の増加につながるものではないということを御理解をいただきたいと思います。
羽田次郎
なかなかテクニカルな話で簡単に理解が進まない部分はございますが、持ち時間残り少なくなってまいりましたので、最後の話題になるかもしれませんが、ワクチン接種事業に関する会計検査院の指摘について話をさせていただきたいと思います。
先週、三月二十九日に会計検査院は、政府が実施したワクチン接種事業に関する検査結果を国会と内閣に報告いたしました。
報告によると、令和二年度と三年度で計四兆二千二十六億円を支出した事業にもかかわらず、厚生労働省が八億八千二百万回分のワクチン確保に当たり作成した資料に数量の算定根拠が記載されていなかったこと、そしてワクチンの在庫数量が記録されていなかったこと、ワクチン事業を実施する都道府県及び市町村に交付した体制確保補助金について、自治体が接種機関等に支払っていた接種協力金を確認したところ、三十市区が策定した支払要綱等の内容が不十分であったため、これらの市区が支払った五十四億九千百五十九万円について本来の使途に使われていたか確認できないことが明らかとなりました。
本当にこの大きな予算を使ったにもかかわらず、こうしたずさんな結果となっております。
感染状況の先行きが不透明な中で国民の命を守るためにも、一刻も早くワクチンを確保し、接種体制を整備しなければならなかったという事情は理解できます。私も大切な兄を新型コロナで失っておりますので、そうした人が増えないように一人でも多くの方に接種していただきたい、そう思う遺族の一人です。
ただ、多額の国費を投じる事業である以上、結果的に不適切な対応であったと言わざるを得ません。
まずは、今回の指摘に対する受け止めについて岸田総理に伺います。
加藤勝信 国務大臣
今委員から御指摘いただいたように、国民の皆さんにワクチンを接種していただくためにワクチンを確保して、そして体制をつくって、またいろんな方の御努力をいただいてこれまで進んできたわけでありますが、会計検査院から今委員御指摘の三点などの指摘をいただきました。
まず、一点目の購入数量の算定根拠を明確にすることについては、当時、購入数量の算定根拠資料は作成をしていたところでありますが、その内容について口頭で補足的説明を要する事項もあったと認識をしており、今後は事後的に第三者が客観的に妥当性を検証できるような形で必要な情報を盛り込んだ資料を作成するべく努力をしていきたいと考えております。
また、二点目の在庫数量の把握については、政府の在庫は、追加購入の決定や自治体等への配送前など適時に確認はしておりましたが、定期的には確認はできておりませんでした。
既に適時に確認することに加えて、四半期ごとに在庫状況を企業と突合して定期的に確認することとしており、引き続きそうした体制で取り組んでまいります。
三点目に、接種協力金の自治体の支払根拠の明確化については、自治体において明確な根拠に基づかず接種協力金を支払う例があったものと認識をしております。
接種協力金自体は、全国民に早急に接種を進める体制を確保するために必要な経費であります。
各自治体において支払内容、支払単価等の根拠を明確に説明すべきであり、これまでも適切な事業の実施を要請してきたところであります。
引き続き自治体を指導していきたいと考えております。
その他の会計検査院の指摘、また、これまでも病床確保料等についても指摘をいただきました。
厚労省においては、今後のワクチン接種始めコロナ対応において、そうした指摘をしっかりと反映して対応していきたいと考えております。
佐藤信秋 委員長
浜田防衛大臣から発言求められておりますので。浜田防衛大臣。
浜田靖一 国務大臣
済みません。
先ほど、ミサイルの発射の合計を聞かれて、これが五発と私が言ってしまいましたが、実際には六回でございまして、そのミサイルの数は八発ということでございます。
大変失礼いたしました。
申し訳ございませんでした。
羽田次郎
時間となりましたが、先ほど和田理事からもお話ありましたとおり、参議院は決算を重視する決算の府でありまして、この議論をしっかりと次の予算に生かしていただきたい。
そして、国民のために適切に予算を執行していただきたい。
そのための委員会でありますので、是非今後ともよろしくお願いいたします。
ありがとうございました。