外交・安全保障調査会

羽田次郎は、本日開かれた『外交・安全保障調査会』に出席しました。

質疑時間では、G7議長国として、日本が今後どのように国際秩序を構築するべきか。また、安全保障政策の大転換に対する評価について、羽場久美子参考人、土井香苗参考人、目加田説子参考人にお尋ねしました。

羽田次郎

立憲民主・社民の羽田次郎です。

 今日は、参考人の先生皆様方におかれましては、お忙しい中お越しいただきまして、ありがとうございました。

 まず、トルコとシリアの地震で既に五万人近い死者が確認されておりまして、命のはかなさや尊さについて考えさせられております。
そんな中でも世界各地で紛争や内戦が続いている現実に対しては、暗たんたる思いにならざるを得ません。
G7議長国として、国連安保理の非常任理事国として、日本が今後どのように国際秩序を構築し、軍縮を進めるべきか、引き続き御意見を伺えれば幸いです。

 まず、参考人皆様、全員に伺います。  日本には、他国に比べて非常に自制的な憲法があり、防衛装備品も一定の抑制が掛かっていたと考えますが、昨年十二月十六日の安保関連三文書の改定によって、五年間で防衛費が倍増されることが明記されました。
自国民の生命と財産を守る政府は、最悪の事態も想定しながら、周辺国の動向も踏まえて自国を防衛、自国防衛を強化しなければならないという考え方があり、我が国でも一定の理解がされていると思います。

 しかし、我が国が防衛力を増強すれば周辺国も強化するという安全保障のジレンマをどのように回避すべきか。
核兵器保有国が隣接し、安全保障環境が厳しくなる中での今般の我が国の安全保障政策の大転換に対する皆様の御評価ですとか御見解をお聞かせいただけたらと思います。まず羽場参考人から、意見陳述の順番でお願いできればと思います。

羽場久美子 参考人

ありがとうございます。
貴重な御指摘、誠にありがとうございます。

 まさに今、G7の議長国として、そして広島という原爆を受けた地域において、日本がどうしていくかということが問われているのだと思います。

 私の報告でも申し上げたように、現在は、特に二十一世紀の半ば以降、アジアやアフリカの国々が新興国として急速に成長してくる中で、こうした国々とも協力しながら、いかに平和をつくっていくかということが極めて大事なのだと思います。

 現在、軍縮が他方で言われる中で、現実には軍拡が広がり、そして二十一世紀、冷戦が終えんしてから、地域紛争が地球の三分の一近くで広がっているとも言われています。
そして、そのほとんどがやはりアジアやアフリカないしはラテンアメリカの国々であるということも併せて考えていかなければならないのだと思います。

 それに対して、私たちが、今、羽田委員も御指摘いただきましたように、防衛費を増額したり、あるいはミサイルや武器で国を武装していくことで平和を守っていけるのかどうかということについては、まずは国会の場できちんと議論していくことが必要なのではないかと思っています。
今、報告でも、沖縄へのミサイル配備とかあるいは司令塔、地下司令塔の話が進んでいるということを申し上げましたけれども、これは、ほとんど国会でもあるいは自治体の議会でも議論されないままに上から来ている要請というところも問題ではないかと思います。

 日本は憲法第九条をいまだ持っている国で、先制、防衛、専守防衛ということが基本になっている中、敵基地攻撃能力とか反撃能力ということを前面に押し出して、今年の一月にアメリカと日本で2プラス2で話し合われたように、盾と矛という、日本が盾として防衛しながら、アメリカの矛で守ってもらうという方向から、今矛と矛の方向に変わりつつあります。
その矛ということを、果たしてその憲法九条を残したままでやれるのかどうか。これも、やはり国会及び各自治体で議論されていかなければ民主主義とは言えないのではないかと思っています。

 確かに、中国も北朝鮮もあるいはロシアも様々な形で安全保障の脅威であることは一方ありますけれども、他方で、経済的に日本は、中国との貿易関係では、四分の一が中国、そしてASEANや他のアジアを含めれば半分がアジアの国々と貿易しているというところがあります。
これを仮想敵としてしまうと、日本経済そのものが非常に危うくなってくる、あるいはロシアの石油、天然ガスという資源の問題もあります。

 こうした国家と国民が生きていくため、そして経済を発展させるためという側面と、それから安全、平和をどう維持していくかということを併せて考えながら、国民を含めた議論をしっかりやっていくことが大事なのだと思います。

 貴重な御質問ありがとうございました。

土井香苗 参考人

ありがとうございます。

 私ども人権の団体ですので、人権の面からの御回答をさせていただきたいと思いますが、既に私の意見の後半の方で、人権外交が安全保障にとって核心的に重要であるということを申し上げさせていただいたんですけれども、かつ二つの事例ということで、ロシアと中国に対して、もししっかりとした人権外交を国際社会が、そして日本が行っていたら、今の状況というのは違うものになっていたのではないかというような意見を述べさせていただきました。

 もちろん、安全保障のための様々な政策というものは必要なんだとは思いますが、それだけではなく、やはり予防していくため、そして、そうですね、まず基本、一番重要なのは、予防していくために人権という観点が余りにも日本の外交政策の中で軽視されてきたのではないかというふうに思っており、非常に残念かつ悔しいと思っています。

 一方で、日本の国力というものが以前と比べれば随分弱くなったと国際社会に見られているかもしれませんけれども、引き続き非常に大国であることに違いがなく、人権と民主主義を掲げる国ですので、是非皆様の政治的なリーダーシップをもって日本の人権外交というものを打ち立てていただきたいと思います。

 安保理の非常任理事国ということがありましたけれども、先ほど北朝鮮に関して日本が歴史的なリーダーシップを取りましたということを御報告させていただきましたけれども、ただ残念ながら、それが、何というか、維持されていないのが現状であります。
今回も、例えば安全保障理事会で北朝鮮に、人権面からこそ、核等だけではなく可能な限りのプレッシャーを掛けていくということが必要だと思うのですが、例えば人権に関する北朝鮮の公開会合というものが開けるんですけれども、手続的に、そういったものへの挑戦というものも行われていない状況であります。
エニー・アザー・ビジネスという、その他いろいろという中に北朝鮮問題も入れられてしまっているということでありまして、こういった点におきましても、日本政府が果たせる一つ目の対策というか対応であるかなと思いますので、一歩一歩やれることを全てやっていくというような姿勢に変わっていくということを、そして戦略的に人権外交を位置付けるということですね、そういったことを是非やっていただきたいと考えております。

 以上です。

目加田説子 参考人

御質問ありがとうございます。

 やはり少しでも、市民社会レベルにしても、国際的な会議であったり、あるいは交渉の場なんかに参りますと、日本の価値がどこにあるのかというと、やはり日本の戦後の平和外交だったのかなということを物すごく意識させられることがあります。

 いろいろな、特に東アジアにおきましては、安全保障環境が厳しいというのはそのとおりかと思いますけれども、一方で、やはり日本として今一番欠けているのは近隣諸国との信頼醸成をどういうふうに進めていくのかということだと思います。

 例えば、北朝鮮の脅威というふうに意識された場合に、日本として、例えばアメリカだけではなくて、当然韓国とも密接な連携というのも必要になってくるかと思いますけれども、安全保障上以外の歴史的な今までの、ずっと戦後懸念材料として日韓の両国の間に横たわっているような問題の解決ということについてはなかなか積極的だというふうには言い切れないのではないかと。近隣諸国とやはり信頼をどうやって醸成していくのかと、あるいは失われてしまったものについては再構築していくのかということがやはり最優先されるべきではないかなということを考えております。

 それから、先ほど人道的な軍縮ということについても触れましたけれども、これは、オール・オア・ナッシングでどちらかを取るということではなくて、先ほどコンパティビリティーについて考えてほしいということを申し上げましたけれども、安全保障問題などに積極的に関与しつつ、人道的な外交が進めるということも、これ当然ですけれども両立する話だと思いますので、そういったことに知恵を絞るということが重要になってくるかと思います。

 ただ、先ほど羽場参考人からもございましたとおり、やはり国を武装しているという形で問題を解決していくという方向性については、私、個人的には非常に危機感を抱いているところです。

 以上です。

羽田次郎

もう少し聞きたいところでしたが、時間となりましたので終わりにいたします。

 ありがとうございました。

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